生田緑地 〜多摩丘陵の夏・7月〜
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【川崎市 多摩区 平成20年7月26日(土)】
夏本番がやってきました。梅雨のさなかはうっとうしいだとか、早く明けないかだとか言っていましたが、明けたら明けたで強烈な暑さを恨めしく思ったりします。勝手なものです。
さて、生田緑地の観察も折り返しを過ぎました。盛夏の里山はどんな感じでしょうか。
尾根筋の道へ |
今回は久しぶりに車で行きました。したがって、西口駐車場からスタート。暑いせいか車も少ししか停まっていませんでした。
いつも下りていく西の谷地への入口を素通りして、尾根筋の道へ入ります。それにしても暑い。せっかく塗った虫除けも汗で流れてしまいそうです。
ヘクソカズラ |
さっそく小さな花に出会いました。ヘクソカズラです。よく見ると綺麗な花なんですが。なにしろ名前が…。別のかわいらしい名前で呼ぼうという動きもあるようですが、本人にとっては「大きなお世話」といったところでしょうね。
ムクゲ |
こちらはムクゲ。韓国の国花です。涼しそうな花ですね。一説によると、古代「あさがお」と称していたのはこの花のことだともいいます。
下りへ |
しばらくすると道は一気に下っていきます。
それにしても風がまったくありません。半端なく蒸し暑いぞ。どうりで人が少ないはずです。
ヤマユリ |
木陰にヤマユリ。いつ見ても豪奢です。
コバギボウシ |
ヤマユリにほど近いところにコバギボウシが咲いていました。花冠はこれ以上開くことはありません。うつむき加減に咲くこともあり、控えめな印象の花です。これがオオバギボウシとなると、花も大きく、かつ、葉もこんもりと茂るので、まったく印象は異なります。
東の谷地へ |
木陰はあるのですが…(汗)。
コウスバカゲロウ |
コウスバカゲロウを見つけました。枯れ枝とうまく同化していましたが、人間様の目はごまかせません。漢字で書くと「小薄羽蜉蝣」であって、「小薄馬鹿下郎」ではありません、念のため。この虫は、ご存じアリ地獄の成長したものですね。ちなみにアリ地獄のときは貪欲に餌を採るのにもかかわらず糞はせずに、成虫になってからまとめてするのだそうです。きっとスッキリするでしょうね。
ヒヨドリバナ |
早くも秋の花、ヒヨドリバナです。まだ咲きはじめですね。
コブシ |
早くも色づいてきたコブシの果実。ゴツゴツしてだんだん拳(こぶし)に似てきました。まだまだ大きくなりますよ。
(6月の様子、5月の様子、4月の様子、3月の様子)
ヤマゼリ? |
ヤマゼリだと思いますが…。
ノカンゾウ |
草むらの中に咲くノカンゾウ。そよとも風が吹かないので、ぶれることなく撮影できています。
定点写真 |
春先までは開けた感じの場所でしたが、夏になって両側の木が葉を茂らせ、真ん中のスペースに迫ってきているように感じます。あと、先月と比べるとアシの丈が高くなってきています。
水田 |
西の谷地を奥に向かって見た景色です。これぞ里山風景といった感じですね。この1枚の写真を見るだけで、yamanekoの子供の頃の忘れていた記憶がずいぶんとよみがえりました。こんな感じのところで遊んでいたりしたのです。ヒグラシの鳴き声とともに陽水の「少年時代」が聞こえてきそうです。
何アカネ? |
田んぼの畦草の葉先に赤トンボが。赤トンボは大きくナツアカネとアキアカネに分けられますが、その見分け方は簡単でなく、特に雌の場合は専門家でも間違いやすいのだそうです。yamanekoが教わったのは、大まかに言って「池の上を飛び回っているのがナツアカネ、田んぼの上を飛び回っているのがアキアカネ」というもの。大雑把すぎますね。さて、このお方はどちらでしょうか。(本人曰く、「何とでも呼べ…。」)
ジュズダマ |
一定年齢以上の方は「お手玉」をご存じだと思います。そのお手玉の端布で作った袋の中に入れていたのがこのジュズダマの果実です(小豆を入れることもありました。)。数え歌のような唄にあわせてジャグリングのような遊び方をするのですが、最近ではそんな遊びをしている子どもを見かけることはありませんし、お手玉自体、民芸品店にでも行かなければお目にかかれません。単純な遊びであるからこそ、熱中できたのでしょうね。
ネットで調べてみると「お手玉の会」なるものがいくつかあるようで、日本の伝統も廃れているわけではないようです。もっとも袋の中に入れるのはジュズダマや小豆ではなく、プラスチックペレットだそうですが。
(ジュズダマの冬の姿)
サトイモ畑 |
谷地を少しさかのぼるとサトイモ畑がありました。ときおり虫捕り網を持った子供達とすれ違いますが、この畑が何の畑なのか知らないんだろうな(ひょっとしたら連れの親御さんも知らないかも。)。
この場所は、大都会の中にあって毎回懐かしい気持ちを思い起こさせてくれる貴重な場所です。本当によくぞこの里山を残しておいてくれたという感じです。いろいろな人や団体がここの保全に関わっていると思いますが、これからも長く残してほしいと心から思います。
今をさかのぼること、ン十年。あの頃、自分も虫捕り網を持って走り回っていたなぁ。
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