生田緑地 〜多摩丘陵の夏・6月〜
【川崎市 多摩区 平成20年6月28日(土)】
ボヤボヤしているうちにもう6月も終わりじゃないですか。ということは今年も半分が過ぎていったということになります。早っ!
そしてこの生田緑地観察も6回目。すっかり夏めいた生田緑地で今日ものんびりしてきます。
戸隠不動参道 |
今回も電車でやって来たので北口の戸隠不動参道から入ります。それにしても緑が濃くなってきました。
アカメガシワ | ミズキ |
まず、目についたのはアカメガシワ。今ちょうど雄花が花穂を伸ばしているところです。この時期にはありふれた姿をしていますが、この木はやっぱり芽吹きのときがきれいですね。(若葉はこちら)
ミズキの実は晩秋には紅く、そして黒く熟していきます。いかにも鳥に食べてくださいと言わんばかりの大きさと付き方。そうやって生息地域を広げていったのでしょう。
戸隠不動跡 |
今日は戸隠不動跡を直進し、尾根沿いに枡形山展望台を目指します。始めて歩くコースです。
観察路 |
この尾根沿いの登り道を歩いていくと枡形山の頂上に至ります。山といっても丘のようなものですが。
林の中なので風はほとんどありません。虫除けを塗っているからよいようなものの、そうでなかったら今頃格好の蚊の餌食です。
オカトラノオ |
夏の花、オカトラノオもちょうど見頃です。
アサダ |
ちょっとめずらしい樹皮。これはアサダです。あまりなじみのない樹木ですね。それもそのはず、アサダは日本全国に分布しますが、個体数が少ないためになかなか出会うことの少ない樹木なのだそうです。別名の「ミノカブリ」はその樹皮の様子から付けられたもの。カバノキ科なので、花はハシバミやハンノキと同じように房状に垂れ下がる姿をしています。
枡形山展望台広場 |
あっという間に頂上の枡形山展望台広場に出ました。標高84mです。戦国時代にはこの地形が天然の要害となり、山頂に枡形城が築かれていたそうです。
東の谷地のどん詰まり |
展望広場は素通りして、西口駐車場に向かう道を辿ります。途中、右手には東の谷地の最深部、即ちどん詰まりの森が目の高さより下に広がっていました。とても都会の一角とは思えない風景です。
ガクアジサイ | 両性花 |
涼しそうな花を発見。ガクアジサイです。漢字で書くと「額紫陽花」。本来の生殖機能を持つ両性花の周りを装飾花が額縁のように取り巻くことから、この名が付いたといいます。装飾花はその派手な容姿で昆虫を引きつける呼び込み担当です。
西の谷地の入口 |
いつものスタート地点、西の谷地のどん詰まりにやってきました。ここから観察路を下っていきます。
緑の回廊 |
尾根の中腹を通る緑の回廊。こんなところをただ歩くだけでも体からアクが抜けていくようです。
モグラ塚 |
地面にほぐれた土の盛り上がりを発見しました。モグラ塚です。餌を求めて地中を移動するときに掘り出した土を地上に積み上げているのです。とはいえ常に新しい通路を掘り進んでいるわけではなく、一度掘った通路はそのまま移動通路として頻繁に利用しているそうです。しかし、硬い土をあの小さな体で掘り進んでいくそのパワーには驚かされます。人間がやっても結構疲れますよ。そのためモグラは大食漢なのだそうです。(穴には土をかぶせておきました。)
ヒュウガミズキ |
春先に黄色い花を付けていたヒュウガミズキ。直径3pほどのハート型の葉が可愛いです。でも、触ってみると見た目より硬くてガサガサした感じでした。
シオカラトンボ |
シオカラトンボ(♂)です。あちこち飛び回ってもしばらくするとまた戻ってくるので、写真を撮るには扱いやすい奴です。それは縄張りを警護する行動で、他のトンボとかが入り込むと、すぐさまピューっと飛んでいって追い散らします。
ハンノキの森 |
小川が流れるハンノキの森。ここには涼しい風が吹き渡ります。
エゴノキ |
先月満開だったエゴノキが、今日は卵形の実をたくさん付けていました。あの花の数だけ実が付いているのだから、その数も半端ではありません。美味しそうに見える見ですが、食べるとその名のとおり「えぐい」そうです。(食べてみたことはありません。)
ウメ | カキノキ |
谷地の平坦地まで下りてきました。この辺りには民家周辺に植えられていた樹木が見られます。カキノキの実もだんだん大きくなってきました。秋が楽しみです。ウメの木にはわずかに1つだけ実が付いていました。梅の実が実る頃の長雨ということで「梅雨」。今年の梅雨は雨も少なめです。関東地方の水瓶の貯水量は大丈夫でしょうか。
田植えも終わり… |
西の谷地の小さな田んぼは田植えが終わったばかりのよう。まだ夏草も生えていません。最近は品種改良のおかげで田植えも4月中に行われるところが多いですが、ここは昔ながらに6月に田植えが行われたようです。
定点写真 |
この場所の定点撮影も6回目。先月に比べると全体的に「鬱蒼」感がアップしたようです。どんよりとした空、蒸し暑さが伝わるでしょうか。
コブシの果実 |
細長かったコブシの若い果実が、ところどころボコッボコッと膨らんできて、例のコブシ独特の形になりつつあります。なるほど、こうやってあの形になっていくのか。初めて見ました。
アシも伸びた |
この木道の先は生田緑地の北口。これでぐるっと一周回ってきたことになります。ゆっくり歩いて約2時間。のんびりできました。
さて、次回から今年も後半へ。これから生田緑地はどのように変化していくでしょうか。(来月はもっと暑いでしょうね。)