高畑山・倉岳山 〜輝く緑の中を登る(前編)〜
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(前編) |
【山梨県 大月市 平成27年5月3日(日)】
巷はGW真っ只中。今年は連休スタートから好天に恵まれています。ベランダから望む丹沢の山々も緑が輝いて見えています。こんな時期に野山に出かけないわけにはいかないということで、今回は山梨県大月市にある高畑山(986m)と倉岳山(990m)に行ってみることにしました。昨年から行きたいと思い地図なども準備していたのですが、延び延びになっていて、ようやくの実行となりました。
まずは京王線で橋本駅に向かい、6時44分発の横浜線に乗り換え八王子駅へ。そこから中央線に乗り換えて二駅先の高尾駅で中央本線へ三たび乗換え。目的地の鳥沢駅に着いたのは7時41分でした。下車した人の大部分が山登りスタイルで、その他にはゴルフ目的と思われる中高年が数人(予約していたと思われるタクシーに乗り込んでいきました。)と地元の方とおぼしき人が数人。
鳥沢駅 |
鳥沢駅はなかなかの侘び寂び度。下車した人たちもすぐにいなくなりました。駅前の空きスペースで準備体操をして、7時55分にスタートです。
出だしは国道20号線を東に向かいます。結構いたはずの登山客の姿があまり見えなくなったのは、駅の北側に位置する扇山に向かう人が多いからでしょう。yamanekoが目指す山は南側にあります。
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今日のコースは、鳥沢駅から南下して桂川を渡り、小篠沢を遡っていきます。途中から山腹に取り付き稜線の西側に回り込んで高畑山の山頂に立ちます。次の倉岳山には穴路峠を経由する稜線歩き。倉岳山からはさらに東に向かい、立野峠から月屋根沢を下っていきます。林道に出たらゴールの梁川駅はすぐそこです。
目的の山々 |
途中から国道に別れを告げ、並行する中央本線のガードをくぐって南側を線路に沿って歩きます。すると右手に目的の山々が。中央が最初に登る高畑山です。左がその次に登る倉岳山。両者はほぼ同じ標高ですが、ここからだと高畑山の方がちょっと奥にあるので、少し小さく見えています。右の尖って見える山は大桑山で、今回は登りません。こちらも標高はほぼ同じです。
堀之内地区 |
やがて道は線路を離れ堀之内という集落の中を南下していきます。正面に倉岳山が見えています。あの山の右側から登り、左側に谷に下りて行くことになります。休日の朝ということもあり人影は疎ら。この先で行き合った初老の男性に挨拶をして「怪しいものではありません」アピールしておきました。
虹吹橋 |
集落の端から河岸段丘を一段下りると桂川に架かる橋が現れました。実際の河床は更に20mくらい下にあり、かなり深い渓谷になっていました。この橋は虹吹橋。正面左に高畑山が見えています。
桂川 |
橋の上から上流側を見るとこんな感じ。桂川は富士五湖の一つ山中湖を水源とする川で、流れ下って神奈川県に入ると相模川となり、最後は平塚市付近で相模湾に注ぐ一級河川です。ここ大月市辺りでは広い河川敷をもたず、蛇行しながら深く下谷しています。
百蔵山・扇山 |
橋を渡るとまた段丘を上ります。途中、目に入ってきたのは川を挟んで並ぶ北側の山々。奥に見えるのは百蔵山(1003m)。2年前に登ったことがあります。手前のどっしりとした山は扇山(1137m)です。
登山口 |
段丘の上の小篠という集落を抜けるとフェンスに突き当たりました。ここが登山口になります。右端にある逆三角形の部分も扉になっていて、登山者はここから出入りするようになっていました。
ダンコウバイ |
ダンコウバイの若葉。とはいえ芽吹いたばかりの黄緑色ではなく、しなやかさを残しつつもしっかりとした濃い緑色になっています。これから落葉までの間、光合成をして栄養を作り出す役割を負っているんですよね。
堰堤 |
フェンスから緩い坂道を数分歩くと小篠貯水池の堰堤が現れました。この堰堤を左側から回り込んで堰堤脇の湖畔に上がっていきます。ツツジで書かれている文字は「おしの」(小篠)ですね。
上りきるとこんな風景が。鏡のような湖水が周囲の山の緑を映し込んでいました。静寂の中、動くものもなく一瞬時間が止まったような感覚に陥りました。
貯水池を過ぎると本格的な山道に。足元の石を避けながらゆっくりとしたペースで登っていきます。
岩の間を流れ下る水のすぐ脇を登山道が延びています。いい雰囲気ですね。この谷を遡ると、最後は高畑山と倉岳山との間にある穴路峠に至ります。
分岐 |
8時55分、高畑山との分岐が現れました。ここで谷筋の道と分かれて、高畑山に続く山腹を登っていきます。
傾斜は一気に増しましたが、さっきまでの鬱蒼とした森の道とは異なり新緑の広葉樹の下を歩く道なので、気分は晴れ晴れとしてきます。
斜度は30度ちょっとでしょうか。写真のように路面が水平のところは良いのですが、時折山肌の傾斜と同じくらい斜めになっている箇所もあり、ズルズルと滑り落ちないように気を使いました。
フユノハナワラビ |
これはフユノハナワラビ? でも手前の葉は明らかにゼンマイのそれ。たまたま同じところに生えていたということか。
分岐から20分で支稜線に出ました。斜度は緩むことなく続いています。
時折木立の中にあるヤマツツジの朱い花に足を止めたりして、小休憩を繰り返して登っていきます。
チゴユリ |
下界ではもう花期が過ぎたチゴユリですが、山の上ではまだ新鮮な花を付けていました。森の花は控えめなものが多いような気がします。
仙人小屋跡 |
道は途中から下り傾斜になり、しかもその下りが結構長く続いたので、道を間違えたかと不安になり始めた頃、案内板が現れました。ここは仙人小屋跡という場所。いつの間にか稜線を離れ西側の山腹に回り込んでいて、ここから再び稜線を目指して直登します。それにしてもこんな場所に植林地があるなんて、林道もないようなのに管理はどうやっているんだろう。結構手入れされているように見えますが。
ところで仙人小屋とは、戦前から昭和50年くらいまで仙人のような人が小屋を建てて実際に住んでいたのだそうです。ただ、見た目が仙人っぽいというだけで、世捨て人というわけではなく、実際にはかなり気さくな人だったそうです(ネット情報)。
胸を突くような坂道に息も上がります。途中で何度も立ち止まり深呼吸をしました。深呼吸は浅い呼吸をたくさんするよりガス交換の効率が良いとのことです。
で、ようやく稜線に出ました。 ふぅ〜。
ここからは傾斜も若干緩やかになりました。山頂も近いはずです。
ヤマボウシ |
この葉はヤマボウシでは。公園とかでよく見かけますが、山の中で見ると「これ何だっけ?」。すぐには分かりませんでした。
おっ、なんか山頂っぽい雰囲気です。
高畑山山頂 |
10時ちょうど、高畑山の山頂に到着しました。南西側の展望が開けています。
富士山 |
雲間から富士山の山体が見えていますね。やはりでかい山です。富士山の手前右脇の山は杓子山、左脇は二十六夜山です。いやぁ、それにしても吹き上げる風が気持ちいい。まさに薫風というやつです。
山頂には先客が二人のみ。鳥沢駅から終始yamanekoの前方100mを歩いていた人たちです。
見上げる木々の枝先は風にそよいで揺れています。ここに寝転んで日がなのんびりするのもいいかも(しませんが)。
倉岳山へ |
山頂には10分ほど滞在。先に山頂を後にした二人組に続いてyamanekoも倉岳山に向けて出発しました。 まずは穴路峠を目指します。
坂道は緩急を繰り返しながら続いています。ああ、それにしてもこんな森の中を歩ける幸せよ。
倉岳山 |
途中、木立の間から倉岳山が見えました。西側から見ると三角錐の姿をしているんですね。
天神山 |
穴路峠の手前にある小ピーク。天神山です。さっき倉岳山が見えたところからすぐのところにあります。
天神山からの北方向の眺望。この風景を見られただけでも今日登ってきた甲斐があったというものです。正面奥には東京都の最高峰、雲取山まで見えています。
続きは後編で。
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