高畑山・倉岳山 〜輝く緑の中を登る(後編)〜


 

 (後編)

【山梨県 大月市 平成27年5月3日(日)】
 
高畑山と倉岳山を巡る山歩き。後編です。(前編はこちら


Kashmir 3D

 鳥沢駅をスタートして、桂川を渡り、まずは高畑山へ。そこから次の倉岳山に向かうべく両峰の鞍部に近い天神山までやって来たところです。

 穴路峠

 天神山を過ぎると道は急降下となり、すぐに穴路峠が見えてきました。峠は切り通し状になっていて、その底が十字路になっています。まっすぐ登り返せば倉岳山。左に折れれば小篠沢、右に折れれば旧秋山村に至ります。

 峠を過ぎてからの登りは、急、緩、急と続いて山頂に至ります。

 フデリンドウ

 フデリンドウ。高さ5pにも満たない小さな花です。でも緑色と茶色の世界の中で青色はかなり目立っていました。

 結構な斜度ですな。急、緩、と来たので、ここが最後の急坂でしょうか。



 荒い息を押さえながら登ること20数分。平坦なところに出ました。写真右手から登ってきて、ここから写真奥に向かって歩いていきます。山頂はこの先。標高的にはほとんど山頂と同じくらいのところまで来ています。

 緑のトンネル

 これぞ緑のトンネルといった気持ちいい山道。立ち止まって深呼吸です。

 何やら人の声が聞こえて来ます。あそこが山頂ですね。

 倉岳山山頂

 11時10分、倉岳山の山頂に到着しました。高畑山から1時間での到着です。山頂には10人くらいの登山者が休んでいました。

 南方向

 南側の眺望。見えているのは道志村との境界をなす山並み。富士山は右端の雲の中です。

 ランチ

 ちょっと早いけどここで昼食にします。カップラーメンとおにぎり。食後にコーヒー付きです。食事中にも次々と登山者がやって来ていました。結構人気の山のようです。

 下山

 山ガールに笑顔でシャッターを頼まれていい気分になったところで 、そろそろ下山開始。11時50分出発です。

 急斜面

 滑りやすい急斜面を下りていると、子どもたちに続いてお母さんが登ってきました。「あとちょっとですか。」と尋ねられたので、「30分くらいですかね」と言おうとしたのですが、笑顔で「はい、そう思って登りましょう。」と応えておきました。ハハハ…と笑ってくれて、こっちの疲れも少し飛んでいきました。

 立野峠

 立野峠が見えてきました。時刻は12時10分です。ここまでなかなか急な山道でした。

 ここからは梁川駅に向かって下って行きます。案内標識には「約1時間10分」とあります。

 立野峠からは植林地の中へ。yamanekoに先行して犬連れの男性が下って行きました。犬はトイプードルだったと思いますが、小型犬にとっては大変な散歩なんじゃないでしょうか。

 先ほどまでの明るい尾根道から一転して薄暗い感じに。でも適度に陽が差し込んで気持ちのいい下りです。
 この谷筋は月屋根沢といいます。何か曰くのありそうな名前ですね。月屋根という名前は標高の高い谷の地形をツキヨと呼んだことに由来するとの説があるようです。yamanekoはこの名前を聞いたときに、夜、谷筋を覆う梢の間から煌々と月の光が差し込んでいるような情景を思い描きましたが。

 チドリノキ

 これはチドリノキの葉。こう見えてもカエデの仲間です。カエデといえば「蛙手」に由来するとおり手のひらを広げたような形がポピュラーですが、見た目だけでは分からないものです。また、クマシデの葉にも似ますが、あちらは葉の付き方が互生なので見分けはつけやすいです。ところでなぜチドリなのか。???

 水場

 しばらく下ると水場が現れました。喉が渇いていたので、すくって飲んでみましたが、それほど冷たくはありませんでした。
 急な下りは少なくなり、この辺りから沢に沿って下って行きます。

 ルイヨウボタン

 道の脇にルイヨウボタンを見つけました。まるで保護色のように周囲に同化していましたが、確かにこの花に呼びかけられたような気がしたのです。決して派手ではないけどその他大勢とは違うという気構えのようなものをこの花には感じます。

 月屋根沢

 聞こえるのは沢の音と鳥の声のみ。最高に気持ちのいい山歩きです。

 ときに沢を離れて山腹を巻き、

 また沢を渡って水際を歩く。

 渓谷

 苔むす岩の累々たる重なりを縫うように水が流れ下っています。もう随分と谷筋を歩いていますが、一向に苦になりませんね。

 林道

 1時10分、林道との合流地点が見えてきました。あの明るさが下界に降りてきたという感じにさせます。
 林道に出たところで小休止。ここからは舗装路になるので靴の紐を若干緩めてリラックスです。

 林道に出るとこんな感じに。急に視界が広くなり、暑いほどの陽射しが降り注いでいました。

 クサノオウ

 これはをクサノオウですね。ケシの仲間です。強い毒性があるので要注意ですが、里山には(都市郊外にも)そこいらじゅうに生えています。

 東方向

 やがて立野という集落が現れ、桂川に架かる梁川大橋を渡るとゴールの梁川駅はすぐそこです。この風景は梁川大橋から東方向を見たところ。桂川が削った谷の下流側を見ています。左側の集落は網の上地区。右手奥の尖った山は矢平山(860m)です。

 梁川大橋

 梁川大橋の突き当たりに国道20号線が通っていて、それを横切ると梁川駅です。この辺りでは川底からすると見上げるような高い所に国道と中央本線が通っています。集落もその高さにあるのです。

 西方向

こちらは西側、桂川の上流方向です。谷が深いのがわかりますね。奥の大きな山は扇山です。桂川の両岸の山々はみなだいたい同じような標高なので、元々は同一の地表面だったのかもしれません。

 梁川駅

 橋を渡りきって梁川駅に到着しました。時刻は1時30分です。7時55分に鳥沢駅を出発して5時間半かかったことになります。yamanekoにしてはペースが速い方でした。それにしてもこの駅舎。ジオラマかと突っ込みたくなる風情ですが、ここでもちゃんとスイカが使えるということに感心。

 時刻表を見ると東京方面へは概ね1時間に2本程度。さっき上り電車が行ったばかりのようで、あと30分近く待ち時間があります。(写真は下り電車)のんびりと待ちますか。

 改札を通り、跨線橋から見た南側の風景はこんな感じ。奥にあるのが倉岳山です。こうして見るとなかなか堂々としていますね。「おーい、さっきはありがとうなー。」一度登ったことのある山はみんな友達のような親近感を覚えるんですよね。

 線路は続くよどこまでも。中央本線はこの先もほぼ甲州街道に沿い、その先ではほぼ中山道に沿って名古屋まで続いています。日本の屋根と呼ばれる山岳地帯を貫く路線なので、難工事の連続だったでしょうね。
 
 しばらくベンチで休憩して、1時56分発の高尾行きに乗車。その先では八王子、橋本で乗り換えて、3時過ぎには帰宅していました。
 このゴールデンウィーク、特段旅行などの予定はありませんでしたが、輝くような新緑の中、気分転換にちょうど良い山歩きをすることができたので満足感、大です。