三ツ峠山 〜秋空と紅葉と大展望と〜


 

【山梨県 富士河口湖町 平成26年10月25日(土)】
 
 10月下旬、朝夕がめっきり涼しくなってきました。この時期は日中は気温は上がり時には夏日になったりするのですが、それでも一雨ごとに秋が深まっていくのが分かります。 さて、今回は富士の雄大な景色を見ようと、山梨県の三ツ峠山に行ってみることにしました。この時期もう紅葉が見ごろかもしれません(ということは人も多いか。)。
 
                       
 
 出発は午前5時半。渋滞がなければ2時間弱で着く距離ですが、現地に駐車スペースが少ないため、早い時間に到着しておく必要があるのです。
 町田街道から高尾山ICで圏央道へ。すぐに中央道に乗り換えて西へ向かいます。山梨県に入って大月JCTで富士吉田市線へ分岐すると、都留IC辺りから正面にどどーんと富士山が現れます。これがビックリするほどの大きさなんです。
 河口湖ICで一般道に下り、河口湖大橋を渡って「御坂みち」(甲府盆地へ抜ける道)を北上。峠のトンネル手前で右折して旧道に入り、しばらく登っていくと三ツ峠山登山口に到着します。

 駐車場

 到着したのは7時過ぎ。すでにほぼ満車の状態でしたが、かろうじてスペースを見つけてドリーム号を停めることができました。まだ時間が早いのでここで朝食をとります。熱々のカップスープとコーヒーで体にスイッチが入ったような気がしました。


Kashmir 3D
 

 車を停めた所から20m先にトイレと広場があり、そこが登山口になります。今日のコースは、そこから林道をひたすら登るというもの(山頂直下には通年営業の山荘があり、そこのジープがこの道を通っているようです。)。稜線に出たら山頂はすぐそこです。
 三ツ峠山は、開運山(1785m)、御巣鷹山(1775m)、木無山(1732m)の三つのピークからなる山で、主峰は開運山。山頂に何基も電波塔が立っているので、遠くからでもよく目立ちます(前に住んでいた新宿の家からも見えていた。)。今日登るコースは何本かある登山ルートのうち最もお手軽な西側からのルートになります。

 登山口

 まったりと食事をしているうちに時刻はとっくに8時を過ぎていました。さて、そろそろ出発しましょうか。まずは登山口まで行って準備体操です。

 

 登山口は稜線の西側なのでまだ朝日は樹冠の上の方にしか届いていません。それにしても朝から素晴らしい天気です。

 

 8時30分、さあスタートです。登山口はこんな感じ。日陰はちょっと肌寒く、まだ上着が必要でした。

 

 登山道を照らし始める朝日。空気が冴え渡っている感じがします。

 クロバナヒキオコシ

 路傍にクロバナヒキオコシのドライフラワーが。秋が深まり、これから低温と乾燥の季節に入りますね。

 

 登るにつれ登山道も明るくなってきました。

 

 紅葉のグラデーションが見事なウリハダカエデの葉。足元にたくさん散っていました。春先に若葉を展開してから半年間、一生懸命役目を果たしてご苦労様でした。

 

 ああ、こんな自然の中を歩けることの幸せ。登りのつらさもどっかに行ってしまいます。

 

 ときおり見上げると頭上にはこんな景色が。

 ノブキ

 これはノブキの果実。木漏れ日のスポットライトを浴びて目立っていました。

 

 つづら折れの上り坂が続きます。

 

 似たような写真が続きますが、ずっとこんな気持ちのいい道ということです。

 

 ブナの紅葉は渋い色合い。

 

 何組かのベンチが設置されている広場がありました。この辺りが行程の半分くらいのところになります。

 マイヅルソウ

 道ばたにマイヅルソウの果実を発見。ルビーのような輝きですね。

 

 赤い落ち葉が絨毯のように広がっています。紅葉は地面にもある、ということか。

 

 これはバライチゴですね。

 マユミ

 マユミが高いところに実を付けていました。淡いピンク色が周りを明るくしています。
 頭上が開けてきましたね。稜線が近くなってきたかな。

 

 傾斜が緩くなってきました。山頂ももうそう遠くはないでしょう。

 カラマツ

 今日はホント快晴ですね。頭上には雲ひとつありません。いいときに山に来たものです。

 

 ほどなく分岐が現れました。右は稜線に出て三ツ峠山荘へ。左は三ツ峠山荘をパスしてその先にある四季楽園という山荘へ続く道。右の道も三ツ峠山荘経由で四季楽園に至ります。ちなみに四季楽園は開運山の直下にある山荘です。

 ナナカマド

 青空を背景にナナカマドの赤が鮮やかです。あースカッとして気持ちいい。

 合流地点

 10時15分、三ツ峠山荘の直下で右手から道が合流してきました。木無山方面からの道です。すぐ先に展望スポットがあるようなので行ってみることに。

 

 出たー、これぞ日本の絶景。いやあ、掛け軸の絵のように美しい富士山ですな。

 

 ベンチもあったのでここでしばらく景色を楽しみながらの休憩にしました。

 

 10分ほど休憩した後、再び歩き始めました。正面の木立に囲まれるように屋根だけ見えているのが三ツ峠山荘です。

 三ツ峠山荘

 思ったより普通の建物の三ツ峠山。通年営業ですから若干の生活感もあるような。軍用車みたいなジープも停まっていました。

 

 どどーん! 山荘の休憩所からの眺望。南方向にある富士山から東の丹沢方面にかけての景色です。
 富士山の東麓に広がっている荒地は自衛隊の東富士演習場。その左手にはわずかに山中湖の湖水が見えています。その手前に富士吉田の市街地が広がっていて、そこから左手に向かって桂川が刻んだ谷が延びています。正面には倉見山、杓子山・鹿留山御正体山。その奥には丹沢山塊も見えています。

 

 三ツ峠山荘の裏手は丘のようになっていてここからは西側(写真では左手)の展望が開けていました。

 

 ここからは日本の屋根と言われる山々が一望にできました。
 北(写真右端)には奥秩父山地の国師ヶ岳金峰山(肉眼では金峰山山頂の五丈岩も見えました。)。その左手には八ヶ岳の峰々。八ヶ岳の山塊と南アルプス北端との間はフォッサマグナの谷でズドンと展望が抜けていて、遥かに北アルプス南部の穂高連峰や槍ヶ岳の特徴的な先鋒も望むことができました。
 さらに左手には南アルプスの峰々が続きます。ピラミッドのような姿は地甲斐駒ケ岳。そこから主稜線上には仙丈ヶ岳、北岳と続きますが、その前衛に位置するのが鳳凰三山。地蔵岳、観音岳、薬師岳の三つの峰で、有名な地蔵岳のオベリスクも肉眼ではしっかりと見えました。
 北岳、間ノ岳、農鳥岳は白峰三山とも呼ばれますが、先ほどの鳳凰三山よりもそれぞれが独立した山容をしています。いずれも三千m超の高峰です。 そこからも塩見岳、悪沢岳(荒川岳)、赤石岳、三千m超では最も南にある聖岳へと続いています。これだけの名峰を一望にできるのですから、この山が人気があるのもうなづけるというものです。

 四季楽園

 ひとしきり眺望を楽しんだら先に進みます。いったん丘を下ったところに四季楽園がありました。その前をスルーして最後の登りにかかります。(後に見えている鉄塔は御巣鷹山)

 屏風岩

 開運山の東側山頂直下は屏風岩と呼ばれる絶壁になっていて、クライマーにとっては格好の練習フィールドになっているのだそうです。高所恐怖症のyamanekoとしては、ここから見るだけで内股がゾワゾワしてきそうです。

 

 最後の登りを一歩一歩。見上げるとカエデの黄葉が。バックの青空によく映えます。

 フジアザミ

 これはフジアザミ。大型の頭花を打上げ花火のような形に盛大に付けるアザミです。もう盛りは過ぎて枯れかかっていますね。箱根で見たときには11月上旬でちょうど盛りだったのですが。

 

 山頂直下の傾斜がかなりのもので、地面も火山灰土がザラザラとしているので登りにくいことこの上なしです。

 開運山山頂

  11時15分、山頂に到着しました。随分と賑わっています。所要2時間45分はかなりのスローペースです。

 

 さて、ここからの眺望は…。 おおー、解説無用のこの絶景。さっきの丘からの眺望に加えて、さっきは山荘に遮られて見えなかった富士山も。

 ホツツジ

 さて、どっかに腰を下ろしましょう。これはホツツジでしょうか。綺麗に紅葉していますね。じゃあ、ということでこの前に座ることに。

 

 ちょっと早めですが昼食にしましょう。今日はバーナーを持参しているので、お湯を沸かしてカップラーメンを。山頂は寒いだろうから熱々のラーメンをと考えていましたが、今日は暖かいくらいで、担々麺を食べた後には軽く汗をかいていました。

 ドウダンツツジ

 これはドウダンツツジの紅葉。こんな風景を見ながらの昼食は、たとえカップラーメンでもこの上ないご馳走です。

 

 昼が過ぎて山頂が混み合ってきたのでそろそろ下山することに。下山開始は12時10分です。
 途中、三ツ峠山荘でくつろいでいた犬。ここの飼い犬のようです。

 

 木無山との分岐。ここは右手に下っていきます。

 

 下山は来た道をたどりますが、朝に比べて陽の光が森の中にまでさしこんできているので、登山道も明るいです。

 

 紅葉を見上げながらの下山。 ちょっと歩いては立ち止まり、また歩いては頭上を見上げ、他の人たちにどんどん抜かれていきます。

 ブナ

 これはブナ。輝いていますね。黄金か?

 

 下の方から小さく聴こえていた沢の音がだんだん近く大きくなり、やがて堰堤が現れました。ここからは沢沿いの道になります。

 

 御巣鷹山からの稜線。山腹まで紅葉です。こうして見ると赤い色は少ないですね。

 

 堰堤を過ぎると今回の山歩きもあとわずかです。

 登山口

 1時30分、スタート地点に戻ってきました。まだ車がたくさん停まっていますね。この広場で整理体操をしておきましょう。これをするかしないかで明日の筋肉痛が違ってきますから。

 

 ドリーム号のところまで戻ってきました。振り返ると紅葉のトンネルの先に登山口の広場が見えます。いい雰囲気の場所です。

 

 帰りの準備を終えてから少し辺りを散策。車道の脇には覆いかぶさるようにしてモミジの紅葉が。ブナやミズナラなどのそれとは違って観光地の紅葉のような華やかさがありますね。

 三ツ峠山

  写真は帰りの中央道富士吉田線からの三ツ峠山。こちらから登るルートもありますが、西側からのルートとは違って、距離、高度差ともにきついです。
 
 もうすぐ11月です。山の木々も葉を落として冬に備える季節になります。今日は最高の天気に恵まれ、紅葉と眺望の両方を満喫することができました。またこんな気持ちのいい山歩きをしたいものです。