赤田代・燧裏林道 〜花の湿原・静寂の森(前編)〜
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(前編) |
【福島県 檜枝岐村 平成26年9月3日(水)】
午前5時半起床。明け方は冷え込むかなと心配していましたが、思ったほど寒くはなく、気持ちのいい朝を迎えました。昨夜は早くから寝たのでぱっちり目が覚め、いつものモヤモヤ感なしです。今日は赤田代を散策してから御池に戻ります。(昨日の様子はこちら(前編・後編))
元湯山荘 |
朝食は6時からです。 食後ゆっくり身支度をして7時30分に出発しました。 まずは御池とは反対方向の赤田代に向かいます。
![]() 〔今回のルートを大きな地図で〕 |
尾瀬エリア Kashmir 3D |
赤田代は広大な尾瀬ヶ原の北東端に位置しています。
赤田代 |
元湯山荘の隣にある温泉小屋(そういう名前の宿)を過ぎるとすぐに見えてきました。 赤田代です。
ヨシが茂る中を木道がまっすぐに延びています。自分たち以外誰もいません。
オゼミズギク |
「尾瀬」の名を冠する植物はいくつかあり、オゼミズギクもそのうちの一つ。葉の裏に腺点という組織が多いということでミズギクの変種とされているそうです。素人的には見てもよく分からないので、尾瀬に咲いているミズギクということでよしと。
ミヤマワレモコウ |
普通のワレモコウより雄しべが長いという特徴をもつミヤマワレモコウ。素人的には山奥に咲いているから…、いや適当はいけませんね。
ドクゼリ |
ドクウツギ、トリカブトと並んで三大猛毒植物だそうです。花も葉も茎も全体に毒があり、特に地下茎は猛毒だそうです。おお怖っ。
ウメバチソウ |
どちらかといえばカラッとした草原に咲くイメージのあるウメバチソウ。湿原にも咲いていました。広島県の吾妻山だったと思いますが、この花には自然観察を始めた初期の頃に出会った懐かしい思い出があります。
拠水林を抜けてその先へ。
ヤマトリカブト |
出た、猛毒三人衆のうちの一人。トリカブトの中でも更に毒の強い種だそうです。
オゼヌマアザミ |
これも「尾瀬」の名を冠した花。オゼヌマアザミです。総苞片が釘のように太く鋭いので、一発で見分けられます。
ところで、「尾瀬のヌマアザミ」か「尾瀬沼のアザミ」か。図鑑をめくってみても標準和名でヌマアザミという種はなく、キセルアザミを別名ヌマアザミと呼ぶことがあるとか。でもキセルアザミは下を向いて咲くアザミなので、この花を「尾瀬のヌマアザミ(キセルアザミ)」と称すとは考えにくいですね。ということはやはり「尾瀬沼のアザミ」ということかもしれません。
アケボノソウ |
花びらの上に散りばめられた斑点を夜明けの星に例えてアケボノソウと名が付いたそう。名付けた人、詩人か?
トモエシオガマ |
次から次へと花が繰り出されてきます。これはトモエシオガマ。花が巴状に付くのが特徴。
サワギキョウ |
サワギキョウは優美な姿をしています。藤娘を舞う歌舞伎役者のようなイメージ。
分岐 |
8時15分、分岐が現れました。直進すれば見晴、右に行けば東電小屋を経てヨッピ橋に至ります。
下田代 |
分岐のベンチのところから撮った写真。ここから先は尾瀬ヶ原本体の下田代です。昨日から見てきた湿原とはその広さにおいて格段の違いがあります。写真最奥で雲に包まれているのが至仏山。あの麓まで湿原が続いています。
だーれもいません。ベンチに仰向けに寝てこの広い大地と広い空を独り占め(二人占め?)しました。
さて来た道を戻りましょうか。
イワショウブ |
イワショウブ。いい感じに色づいています。
温泉小屋 |
温泉小屋まで戻ってきました。今週末まで休んでいるそうです(スタッフが里に下りている)。この向こうに元湯山荘があります。
元湯山荘を通り過ぎてそのまま進み、8時40分に三条ノ滝への分岐にやって来ました。左へ行くと平滑ノ滝を経て三条ノ滝へ。昨日、逆に歩いて来た道です。右は段吉新道で、約2q先の兎田代上分岐で左に向かった道と合流することになります。ここから兎田代上分岐までは標高差は40mの上り。段吉新道は御池への近道で、140m下って180m上る左の道に比べれば楽勝の道です。初代の温泉小屋主の星段吉さんが昭和12年に拓いたバイパスだそうです。ありがたや。
ベニテングタケ |
さてその段吉新道を歩いて行きます。この道ではどんなものに出会うのか。
さっそく現れたこれはベニテングタケですね。
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コイチヨウラン |
妻が足元に見つけた小さな花。花冠は1p弱です。調べてみるとこれはコイチヨウラン(小一葉蘭)。初めて聞く名前でした。イチヨウランと同様に一枚だけ葉を付けるランです。
しかしよく見つけたものです。yamanekoが見過ごしたものを妻はよく見つけるので「鬼の目」と呼んでいるのですが、「あぁ? 鬼嫁?」とよく聞き返されます。きっと彼女なりに心当たりがあるのでしょう。
小さなアップダウンを繰り返しながら少しずつ登っていきます。
段吉新道はずっと森ですが、ときおり渡るこんな流れがアクセントになって退屈はしません。
ヒメオオクワガタ(?) |
朽ち木にクワガタムシの雌が。帰ってから図鑑と首っ引きで調べたところ、おそらくヒメオオクワガタでは。
静かな朝の森。こんな世界をのんびり歩けるなんて。本当に心が解放されるようです。
大橇沢 |
段吉新道で最も大きな沢、大橇沢(おおそりさわ)を下って上ってパスして行きます。この辺り、初夏にはトガクシショウマが咲くのだとか。
ツタウルシの赤ちゃんが早くも紅葉していました。
兎田代上分岐 |
9時25分、兎田代上分岐に到着しました。三条ノ滝からの道が左から合流してくる地点です。
タマゴタケ |
引き続き御池に向けて歩いて行きます。
これは昨日も見かけたタマゴタケ。一日でずいぶんふっくらとしましたね。
燧ヶ岳 |
ふと見上げると燧ヶ岳の山頂が望めました。最高峰の柴安ーです。
さあ、御池まではあと4qくらい。朝露で濡れた木道に注意しながら、ゆっくりとゴールを目指します。(後編に続く)
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