赤田代・燧裏林道 〜花の湿原・静寂の森(後編)〜
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(後編) |
【福島県 檜枝岐村 平成26年9月3日(水)】
赤田代から燧ヶ岳の北側を周り、御池に向かう野山歩き。後編です。(前編はこちら)
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尾瀬エリア Kashmir 3D |
昨日は御池をスタートして三条ノ滝を経由し、赤田代手前の元湯山荘で一泊。今日の野山歩きはそこから戻る行程です。
昨日下ってきた道をゆっくりと上っていきます。地味にしんどいです。でも、木漏れ日の森の中を歩くという気持ち良さもあって、さして苦にならないんですよね、これが。
ヤマアジサイ |
ヤマアジサイご一行様。ひっそりと咲いています。この夏、この花をいったい何人の人が見たでしょうか。
ギンリョウソウ |
おっ、なんだ? 一見小石のようにも見えますが、これはギンリョウソウモドキ。芽(?)の状態で、これから伸びるところです。
裏燧橋 |
10時5分、裏燧橋を渡りました。元湯山荘を出てここまで約2時間半です。
平ヶ岳 |
橋の上から。谷が荒々しくえぐれていますね。まだ新しいようです。正面に見えているのは平ヶ岳。どっしりとした姿をしています。
橋を渡ったところで小休止としました。ベンチに腰を下ろして水分補給。両手を後ろに突いて空を見上げます。心なしか空が高いように見えるのは秋が来ているからなのか。
分岐 |
10時30分、渋沢温泉への分岐を通過しました。
天神田代 |
分岐のすぐ先にあるのが天神田代。ごく小さな湿原です。
天気予報がいい方に外れて、今日も晴天。木々の梢越しに差してくる日光が本当に気持ちいいです。
ゴゼンタチバナ |
ゴゼンタチバナの実にも初秋の陽は降り注いでいます。写真のとおり背が低いですが、これでも樹木なんですよね。
木道を塞ぐようにして倒木が。周囲への散らばり方を見ると、ここで朽ちつつあるというよりも、立ったまま朽ちていた木が最近倒れこんだということでしょうね。
西田代 |
10時55分、西田代まで戻ってきました。ここから湿原が続きます。
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イワショウブ |
この時期、どの湿原にもイワショウブは咲いています。 これは花が終わって実になりつつある状態。
横田代 |
西田代の先には横田代。別名をノメリ田代といいます。なだらかな斜面になっていて、前のめりになりそうだからでしょうか。
キンコウカ |
これは花が終わった後のキンコウカ。これから湿原を黄金一色に染める草紅葉が始まりますが、その主役となる植物です。
ヒメシャクナゲ |
ヒメシャクナゲ。もう花は終わって、実の時期に入っていますね。背が低いのでなかなか目立ちません。
横田代を過ぎて再び森の中へ。木道の両側の緑はザゼンソウの葉か?
いくつもの小川を渡ります。こんな場所は慎重に。
上田代 |
11時15分、上田代に出ました。素晴らしい開放感!! こんな風景を独占とは、なんと贅沢な。
はーぁ、脚がパンパン。ちょっと早いですが、ここで昼食に。御池に着いてから食べるのもなんか味気ないので。
昼食 |
元湯山荘で準備してもらったお弁当。一見総菜弁当っぽいですが、毎日歩荷さんが運び上げているんだろうか。いや、賞味期限を考えるとそれはなさそうだな。やっぱり小屋で作っているのかな。
荒沢岳 |
こんな風景を見ながらの昼食。幸せなひとときです。遠くに見えているのは新潟県の荒沢岳(1969m)。ここから直線距離で20q弱です。なんとも気持ちいいなあ。
アキアカネ |
目の前に赤とんぼが止まりました。これはアキアカネ。赤とんぼの種類の見分けは難しく、胴体部分の黒い模様で判別します。帰宅後、写真と図鑑とを横に並べて確認しました。
食後の休憩を終え、上田代を出発。森の中を下ります。
大ブナ |
威風堂々といった大ブナ。高さ30mくらいはありそうです。
姫田代 |
上田代から一段下の姫田代に到着しました。だんだん御池が近づいてきました。
ここからまた森を下ります。
足元には今年の枯れ葉が。やっぱりもう秋といってもよいのでは。
御池田代 |
最後の湿原、御池田代に到着です。
ハンゴンソウ |
ここの湿原は特に花が多いような気がします。これはハンゴンソウ。漢字では「反魂草」と書き、亡くなった人の魂を呼び戻すという意味の名前です。掌状に避けた大きな葉が風に揺れて手招きしているように見えるからです。
オニシオガマ |
太い花茎のオニシオガマ。花穂の下から上に向けて咲いていきますが、その間、花穂自体がぐんぐん伸びていくんですよね。最終的には1m弱くらいにはなります。
サラシナショウマ |
ゆったりと風に揺れて優しい印象のサラシナショウマ。
おお、御池の登山口まで戻ってきました。
御池駐車場 |
12時15分、御池の駐車場です。無事に戻ってきました。荷物を解いて整理体操。そのあとしばらく休憩です。売店の横に「ブナの森ミュージアム」があったのでそこも観てみたいです。なにしろこれから長丁場の運転が待っているので、ここでしっかり体力を回復させねば。家に帰るまでが遠足、いや野山歩きですからね。
ヤナギラン |
駐車場の出口に咲いていたヤナギラン。高原の夏を彩る花です。でも場所的にこれは植栽か?
今回は秋の初めの尾瀬でしたが、ここははいつ来てもいいなあ。余韻に浸りつつ、午後1時30分、東京に向けて出発です。
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