2025年 11月 小山内裏公園MAP
 
 
2025年11月4日(火)
 

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 色づき始めたエビヅル。晩秋になるとまさに葡萄(えび)色になります。で、その葡萄色とはやや紫を帯びた暗い赤。語源は山葡萄(やまぶどう、別名えびかずら)だそうですが、よく似た色に伊勢海老の色を語源とする「海老色」(えびいろ)というものもあって、元々は別の色のことだったそうです。今は混同されることが多いとか。
 
 

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 エノキの実が熟しています。若い実は硬いですが、熟すと果肉部分が乾燥し縮んで、表面の果皮に皺というか凹みが出ます。味は甘いですが、いかんせん果肉の量が少なすぎ。
 
 
B
 サンショウの実が赤いというのはあまり知られていないのでは。通常は夏前にまだ緑色の実を収穫することが多いようです。
 
 

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 ヤブツバキの実が開裂し、種子が露わになっていました。いわゆる果肉の部分は分厚いですが、木質で硬く、鳥も食べません。
 
 

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 園東側の散策路。夏場は蚊の巣窟ですが、この時期は歩いていて気持ちいいです。
 
 

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 ヤブムラサキの実は1個ないし2個がポツンと付きます。コムラサキが実を密集して付けるのとは対照的です。葉や枝や果柄や果皮まで軟毛で覆われているのが特徴。実のない時期には葉を触れば分かります。
 
 

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 ツクバトリカブト。花序の先の方はもう実になっていますね。
 
 

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 北側の園路。見上げるとトチノキの黄葉が始まっていました。今年は秋が短いとか言っていましたが、なんだかんんだでもう11月。晩秋に近づいているわけです。
  
  
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 今日は実の写真ばかり。サルトリイバラも豊かに実を付けていました。クリスマスカラーで、華やかです。
 
 

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 秋の陽を浴びているのはクスノキの実。果実は球形で、盃のような形の果床にくっついています。写真の黒い果実の上の方に実が落ちた後の果床が残っていますね。
 
 

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 秋も深まってきました。高い空で雲が舞っているようです。
 
 
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 調整池のヒメガマ。このガマの穂も果実の集合体ですね。
 
 

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 これはクマシデの果穂。ビールの原料のホップみたいです。
 
 

 
 
 
2025年11月5日(水)
 
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 アート作品のようなこれはセンニンソウの果実。自然の造形はいつも人間の想像の斜め上をいっています。
 
 

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 野草見本園のアワコガネギク。泡が吹いたようにたくさん頭花を付けるから「泡」の字を冠しているのだそうです。
 
 

 
 
 
2025年11月11日(火)
 
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 今年もコダチダリアが開花しました。皇帝ダリアの名前の方がポピュラーかもしれません。草本ですが高さは3m以上にもなります。
 
 

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 野草見本園へ。リンドウが咲いていました。朝方には筆の穂先のように閉じていましたが、陽が当たると開いてくれます。もう晩秋ですね。
 
 

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 こちらはノコンギク。写真では舌状花がほぼ白色に見えますが、実際にはやや紫色がかっています。
 
 

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 正月飾りの定番、センリョウの果実。今年ももうそんな季節なのか。
 
 

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 こちらはヤブコウジ。センリョウ(千両)、マンリョウ(万両)にひっかけて十両と呼ばれたりもします。
 
 
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 カラタチバナは百両とも。あとここの野草見本園にはマンリョウとアリドオシ(一両)もありますが、まだ赤い実は見られませんでした。
 
 

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 南広場に下りていく通路沿いにマルバウツギがあります。これは果実ですね。マルバウツギは多摩丘陵では珍しくありませんが、この公園内には少ないです。
 
 

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 数年前に剪定されてすっきりし過ぎる樹形となったイヌザンショウ。でも花や果実はちゃんと付けれくれています。赤い色のものが果実で、黒くつやのあるものはその果肉に包まれていた種子です。
 
 

 
 
 
2025年11月17日(月) その1
 

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 小山内裏公園に紅葉の季節がやって来ました。人ごみの紅葉名所に出かけなくても、身近な自然で楽しめるのがありがたいです。ただ、今年は木々の落葉が早いようで、このピークはそう長くは続かない気がします。
 
 

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 里山広場のユリノキ。高木ですが、尾根道から見下ろす形で眺めることができます。ハンテンボク(袢纏木)の別名のとおり、葉が袢纏のような形をしているのが分かります。
 
 
B
 野草見本園のキチジョウソウ。根際に花序があるので、カメラもローアングルです。お目出たいことが起きたときに花を付けるという言い伝えから吉祥草の名を持っています。
 
 

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 初冬の花、ツワブキ。大きく丸い葉がテカテカしています。ツヤのある蕗が転訛してツワブキなんですね。ところで、この季節に花を訪れてくれる虫はいるのでしょうか。
 
 
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 シンボルツリーのケヤキ。10月末に紅葉が始まり、その時はもっさりと葉が茂っていましたが(こちら)、3週間でこんなすっきりした姿になっていました。
 
 

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 モミジバフウ。鮮やかな紅葉に目が行きがちですが、球果がぶら下がっているところにも注目です。
 
 

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 イロハモミジの紅葉。小春日和の陽を受けて、まるで熾火のような色合いになっています。日本の美ですね。
 
 
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 さりげなく蔓を垂れているのはクズ。こちらはグッと渋い感じの黄葉です。侘び寂びに通ずる何かを感じるのはyamanekoだけ?
 
 

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 アラカシの堅果。どんぐりの典型のような姿をしています。殻斗は横縞タイプ。他のどんぐりでは鱗タイプのものもあります。
 
 

 
 
 
2025年11月17日(月) その2
 

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 早実グラウンドとの境に立つクヌギ。輝くような黄葉です。木の根元には特徴のある果実がたくさん落ちていました。
 
 

A
 こちらはしっとりとした色合いの黄葉。リョウブです。果穂が伸びていますね。大昔にはこの実を救荒作物として、植えることが奨励されたのだとか。リョウブを漢字で「令法」と書くのはそれを法令で定められたからだそう。でもなんで「法令」ではなく「令法」?
 
 
B
 散策路にこんなものが。これはぺちゃんこになったマムシです。でもこの道は歩行者か自転車くらいしか通りません。どうやってこんなに万遍なく平らに潰されたのでしょうか。
 
 

C
 黄葉も木によって様々です。これはアカシデ。ぶら下がっているのは枯葉ではなく果穂です。果穂には果苞と呼ばれる小さな翼のようなものが連なっていて、その果苞の付け根に果実が付いています。
 
 

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 こちらはヤマコウバシ。葉はこの状態になっても硬くしっかりとしていて、このまま翌年の春まで枝に残ります。
 
 

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 枯れ色の中で緑色の葉を見たらなんだかほっとしますね。このナンテンもそうですが、センリョウやマンリョウなど緑色の葉に赤い実の取り合わせがお目出たいとするのは、そこに生命力を感じるからなのではないでしょうか。
 
 
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 緩い坂道を歩いて東側の丘に上っていきます。こんな道を歩くことのできる幸せ。しみじみと感じます。
 
 

G
 ミズキの黄葉を見上げると…。葉の一枚一枚が自ら発光しているかのようでした。
 
 
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 ナンキンハゼの果実。まだほとんどは熟す前の緑色の果実でしたが、中には早くも実が開裂し、種子が露出しているものもありました。白いのは蝋質の仮種皮と呼ばれるもので、本当の種子はその中にあります。蝋質の部分で栄養価を高めて鳥に食べられようとする作戦でしょうか。
 
 

I
 エノキも黄葉し始めました。今はまだ緑色がかっていますが、黄葉が進むと真っ黄色になります。「黄色」って元は「木色」だったりして。
 
 

 
 
 
2025年11月24日(月) その1
 
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 南広場のイチョウ。10年くらい前に植栽されたもので、ずいぶんと大きくなりました。ちなみにこの株は雄なので銀杏は成りません。
 
 

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 イチョウの葉。葉の組織内の緑の色素が壊れ、元からあった黄色の色素が目立ってきた状態。
 
 

B
 ムラサキシキブの実は熟し、そろそろ枯れていくところです。この先、まず葉が落ちて、実はもうしばらく枝に残ることが多いです。
 
 

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 適度に人の手が入った雑木林。冬になると更に明るい林になります。
 
 

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 生け垣によく用いられるハナゾノツクバネウツギ。アベリアという名で親しまれています。これは花冠が落ちた後に残された萼。これ自体花みたいですね。実際の花は白色で漏斗状をしています。
 
 

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 毎年いち早く春を告げるカワヅザクラ。なぜか数輪花を付けていました。おまけに若い葉もちらほらと。季節を間違えたようです。
 
 

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 シャクチリソバに実ができていました。食用にされるソバより二回りほど大きいです。ソバ畑は日本の原風景のように思いますが、現在ソバの供給はほとんどがロシア、中国、アメリカなどからの輸入に頼っているのだそうです。現地でも普通に消費されているそうで、いったいどんな料理になるのか興味があります。
 
 

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 イタヤカエデの黄葉。カエデの仲間には似た者同士が多く、例えばこのイタヤカエデはオオモミジによく似ています。ただ、春に花を見ると一目で見分けることが可能。オオモミジは花序が垂れ下がりますが、イタヤカエデは花柄が立ち上を向いて咲きます。
 
 

H
 おお、ミツバアケビの実だ。子供の頃には秋の山遊びのおやつでした。甘くて美味しいんですよね。ちょっとしたスイーツ並みなのですが、可食部が脆く市場での流通は難しいです。と思っていたら、何年か前に群馬県片品村の道の駅で売られているのを見ました。実が開裂する前のものでしたが。「アケビが売り物になるなんて…」と軽く衝撃を受けつつも、買って帰りました。
 
 

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 イロハモミジです。単一の色に紅葉するものも見事ですが、このような色づき方も奇麗です。
 
 

J
 これはヤマユリの刮ハ。これから3つに開裂し、中に詰まっている薄い種子がバラまかれます。写真はその前段階として果皮が少し開いて網目状の隙間ができている状態。これは中に風を取り込んで、種子の乾燥を促すためなのでは(yamaneko説)。
 
 
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 トキリマメの果実が鈴生りに。エンドウ豆の実を寸詰まりにしたような姿をしていて、それがぱっくりと開き、中の種子(豆)が露出しいている状態です。これが完熟状態。
 
 

 
 
 
2025年11月24日(月) その2
 

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 鮎道沿いのカタクリ自生地。そこにリュウノウギクが咲いていました。葉を揉むと竜脳に似た香りがするとのことですが、その竜脳が何だか分かりません。図鑑によると、ボルネオやスマトラなどに自生する竜脳樹という木から抽出される香料だそうで、箪笥の防虫剤の樟脳の香りにも似ているそうです。ということはショウノウギクになっていた可能性もあるということか。
 
 

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 コウヤボウキ。長い花茎の先端に1つだけ頭花を付けます。頭花を構成するたくさんの舌状花は先端が巻いていて、吹き戻し(吹くとピューと伸びて、ピロピロピロと巻き戻るやつ)に似ています。
 
 
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 これはコマユミの果実。なかなか渋い状態ですが、実はしっかり熟しています。枝に板状の翼が付いているものはニシキギと呼ばれます。
 
 

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 ヒサカキの果実が黒く熟していました。小枝には来年の花芽も付いていますね。
 
 

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 メタセコイアの葉は一見とげとげしいですが、触ってみると柔らかく、まったく痛くないです。この葉のように見えるものは、正確には側枝と呼ばれ、葉の集合体。本来の葉は長さ2、3cm、幅1mmほどで、これが奇麗に並んで側枝を形作っています。
 
 

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 この時期、一番生き生きしているのがツワブキです。「私の出番がやって来た!」と言わんばかりに咲き誇っていました。
 
 

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 野草見本園へ。これはマンリョウの実。緑色の葉に赤い実がお目出たいと、昔から正月飾りに使われます。
 
 

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 こちらはアリドオシ。枝に鋭い刺があり、これが蟻をも突き通すほど鋭いということのよう。アリドオシはセンリョウ、マンリョウになぞらえて「一両」と呼ばれることもあります。野草見本園では、これらの周囲にセンリョウ、カラタチバナ(百両)、ヤブコウジ(十両)も植えられています。
 
 

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 たわわに実ったゴンズイの果実。赤い果実は肉厚で、それが裂けて中から黒くつやのある種子が露出します。普通、鳥に種子を運んでもらうタイプの植物は、果肉と一緒に中の種子も食べてもらいますが、ゴンズイの場合は鳥は種子のみをついばむのだとか。赤い果肉は鳥へのアピール度が高いと思いますが、別に肉厚にする必要はなかったということですね。
 
 

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 南広場のトウカエデ。葉は小ぶりで、3裂するのが特徴。樹皮はささくれるように剥がれていきます。
 
 

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 やっぱり紅葉は青空にこそ映えますね。そのあでやかなトウカエデもそろそろ散り始めです。