市立森林公園 〜第3回山の日〜


 

【広島市東区 平成16年6月6日(日)】
 
 「ひろしま『山の日』県民の集い」は回を重ねて今年で3回目。
 「山に親しむ、山を楽しむ、山に学ぶ」をテーマに、身近な森林や山とのかかわりのきっかけ作りを目的とした、実体験プログラムを多く取り入れた楽しい催しです。
 主催は、その回ごとに組織される実行委員会で、今回の実行委員長は(株)広島バスセンターの伊藤社長、アドバイザーは広島大学の中越教授となっています。
 ちなみに、第1回は東広島市の「龍王山憩いの森」、第2回は廿日市市の「もみのき森林公園」でした。今回はメイン会場を広島市立森林公園に据えて、それに尾根ひとつで背中合わせの広島県緑化センター、さらに尾根を越えて瀬野川寄りにある立石山国有林の3会場を結んでの広域開催となっています。

 オープニングセレモニー
 (伊藤委員長)

 プログラムには、自然観察教室を開催する我々広島自然観察会のほかにも、たくさんの団体が名を連ねています。
 登山や木工教室、ネイチャーゲーム、そば打ち体験、「間伐材でベンチをつくろう」なんてのもあります。「さくらの森の下刈り作業」とか「ひのきの森の手入れ」とかはけっこう根性がいるかもしれません。
 開会前にザッと降った雨のせいで中止となったものもあったようですが、オープニングセレモニーが始まる頃には雨も上がり、どのブースもやる気満々のようでした。

 さあ、始まりです

 今回の催しのための準備が動き出したのは去年の「山の日」が終わってしばらくしてから。第1回の実行委員会は8月下旬に行われました。当初問題となったのは交通アクセス。会場までは公共交通機関がないのでどうしてもマイカー使用を前提とした運営とならざるを得ません。晴天であれば参加者は5千人は見込まれます。駐車場待ちで列をなす自家用車からアイドリングの排ガスがモクモクと…。これではイベントありきで本来の目的を見失っていると言われかねません。市内中心部からシャトルバスを運行してもらうよう提案した結果、何回かの委員会での協議を経て実現にこぎつけることができました。ただし最寄りのバス停からの運行となりましたが。

 1班スタート

 自然観察教室の観察コースは園内の散策路沿いと、そこから森の中に少し入ったあたり。登山をする団体は遠く呉娑々宇山まで足を伸ばしますが、我々は身近な自然を観察します。「いつでも、どこでも、だれとでも」我々の観察会運営の基本スタンスです。
 1班は軽妙なトークが特徴のRさんがリーダーです。スタート直後は普通は雰囲気も固くなりがちなものですが、早くもあちこちから笑い声が。今回もつかみはOKのようです。

 2班もスタート

 2班のリーダーは自称「観察会青年部」のYさん。(いずこの青年部も高齢化の波に洗われている昨今、当会も例外ではありません。とても青年と呼ぶにははばかられる…)
 「説明より質問を」 リーダーのテクニックの一つですが、彼は徹底してこのスタイルを貫いています。

 まずはしっかり見てみよう

 この辺りは公園の中なので、ほとんどの植物が植栽です。みんなどっかで見たことのあるものばかり。それだけによく知っているつもりになっています。そんなものほどよーく観察してみると新たな発見があるものです。
 観察会のリーダーはやみくもに植物の名前を教えたりはしませんが、唯一参加者に対してこちらから教えることがあるとすれば、それは自然の見方、感じ方でしょうか。そんなリーダーぶりを続けていると、黙っていてもみんなが自分から興味あるものを探し出して楽しんでくれるようになるのです。(yamanekoはまだまだその域には達していません。残念ながら。)

 ヤブムラサキ

 雲の切れ間から青い空がのぞくようになりました。でもまだ濃い色の雲も広がっています。山の天気はめまぐるしく変わるもの。そういった意味では「山の日」にふさわしい天気かもしれません。

 「何か感じませんか?」

 ”テッペンハゲタカ(いやカケタカ)” 近くの林でホトトギスが鳴いています。”ケキョケキョケキョ” ウグイスもやかましいほど鳴いています。双方ともよくとおる声です。ホトトギスはウグイスなどの巣に託卵するので、何かトラブルでもあったのかも。
 しかし、あんな小さな体でよくもまあ大きな鳴き声が出せることよ。肺活量(?)もたいしたものです。 

 自然はみんなに語りかける

 参加者の中には足の不自由な方もおられました。スタッフがさりげなくサポートします。
 年齢、性別、体力、興味の対象などなど、観察会に参加する人は様々です。その日のメンバーを理解し、その日にできる最大公約数を求めながら、参加したみんなが楽しさを共有できる観察会。yamanekoが理想とする観察会のうちの一つです。そして、次は自分が伝えたいといった気持ちになれる観察会であれば最高です。

 クリ(雌花)

 そろそろお昼が近づいてきました。自然の中にいると腹が減るのは何故でしょう。
 今日はその名も「山のおべんとう」という弁当を予約してあります。地元の弁当業者さんが山歩きのときのための弁当を開発したのだそうです。

 どうですか、彩りもいいでしょう。コンビニ弁当よりちょっと高めですが、味がしっかりしていて美味かった。予約してあったこの弁当を開会式直後に食べてしまって、昼食用にもう1個現地調達した人もいたというからあきれます。早弁か!(当然2個目も完食していました。)

 会場遠景

 今回の自然観察教室は広島自然観察会の事務局が中心となって運営したものです。定例観察会の他にもこういったイベントにも積極的に参加して、地域に根ざした活動を続けていくことができればいいと思います。
 来年の第4回は、豊田郡本郷町にある県立中央森林公園で。はたしてどんな「山の日」になるのか、広島自然観察会がどんな催しを準備できるか、今から楽しみです。(そのときまでにはyamanekoも進歩していたい…)