もみのき森林公園 〜第2回ひろしま山の日〜
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【広島県廿日市市 平成15年6月1日(日)】
5月に台風が上陸するなんて。このやけに気の早い台風4号はまるで狙いすましたように広島にやってきて、そしてさっさと通りすぎていきました。やれやれ…。
空を覆っていた厚い雲は足早に四散して、「台風一過」の青空の下、「第2回
ひろしま『山の日』」の幕開きです。
オープニング |
会場は西中国山地のど真ん中にある「もみのき森林公園」。第1回の去年は東広島市にある「龍王山憩いの森」で、里山の様相の濃いところだったので、今回はまた雰囲気が違ってどんなイベントになるのか楽しみです。
広島自然観察会が催すのは「自然観察教室」。公園の後ろに控える小室井山の中腹まで登り、最近整備された「もみのき湿原」をまわって、自然の中にたっぷりと浸ろうという企画です。ですから「教室」といっても先生は我々指導員ではなく自然そのものです。
他のブースでは、野の花工房、親子木工教室、探鳥会…。ダッチオーブン試食会やパラグライダー教室までも。ホント盛りだくさんのイベントです。
観察会受付の様子 | PRパネル |
参加者の皆さんは約40人。3つのグループに分かれて、時間をずらして順番にスタートしました。1グループあたり10数人とスタッフ3人という構成で、観察会としては理想的な人員です。
次のグループとは十分な距離を保っているので、静かな森の中に自分たちのグループだけといったシチュエーションとなり、変に気が散ることもありませんでした。
森の中で |
ハンカイソウやオタカラコウの葉が展開しています。ここは森の中でも比較的明るく、加えて土壌が湿潤だからこれらの植物には適した場所なのでしょう。
しばらく行くと巨大なミズナラの老木に、これまた巨大なフジの老木が取りついていました。
お互いに長年の風雪に耐えきたことは容易に想像できます。
昔は光を奪い合い争ったこの老巨人達も、今はお互いが支え合ってようやく立っている感があります。いわば昔からの好敵手であり無二の親友といった風情です。
そして今は降り注ぐ陽の光だけでなく、自分たちを責めたてる風雪さえもあるがままに受け入れて、泰然と「生」を全うしているかのように見えます。
二人とも、次の世代に命をつなげることができたでしょうか。
グリーンのサンシェード |
森があまりに静かなので、みんなで立ち止まり目を閉じてみることにしました。
耳を澄ますとどんな音が聞こえるだろう。鳥の声、風の音、葉が擦れ合う音…、自分の息遣いも。
短い時間でしたが、ここの自然の一部になれたような気がしました。(そう、あくまでもそんな気がしただけです。)
見上げると… |
昼食は登山道脇に腰をおろして。
オオルリの声が聞こえます。先週の下見のときにも聞こえていたので、きっとここらは彼のテリトリーなのでしょう。
梢を揺らす風がなんとも心地よいです。
弁当をあらかた食べ終わった頃に第2グループがやって来ました。皆、楽しそうな顔をしています。そしてデザートのグレープフルーツゼリーを食べ終わった頃に第3グループがやって来ました。手には昨日の台風で落ちた葉をたくさん持っています。「今日は高い枝を見上げなくても、落ちている葉でしっかりと観察できるよ。」と、嬉しそうです。
さあ、そろそろ先発しなければ。第3グループが腰を下ろすのと入れ違いにリュックを背負います。
「もみのき湿原」 |
午後はもっぱら下りです。
途中、最近整備された「もみのき湿原」の脇を通りました。もともと湧水による湿原だったところですが、斜面の地形ということもあって保水力が低かったのでしょうか、レンゲツツジなどの木本が多数入り込みかなり乾燥が進んでいたようです。それでもヤマドリゼンマイやコバイケイソウなど湿地特有の植物がいきいきとした姿を見せていました。
この公園内では貴重な植生の場所ということで、学術的にもその保全の意味が認められるところです。今日もボランティアの方々がはびこった木本を伐採していました。ただ、この湿原を湿原として維持するためには人間の力を継続的に必要とすることでしょう。そして、その力が跡絶えたときには、あらためて乾燥化の道をたどるのかもしれません。それがこの場所の自然条件にかなった姿なのでしょうから。
ヤブウツギ | サワフタギ |
今日からはや6月。梅雨入りも間近です。
でも今日は夏空を思わせるような青い空です。
時計の針は午後2時を回りました。
自然の中にタップリと浸かり心身ともにリフレッシュ。ふくらはぎに軽い疲れを感じながら出発地点に戻ってきました。時間をおいて他のグループも。
怪我人もいなかったようで、とりあえずホッとしました。
来年の「第3回 ひろしま『山の日』」は、広島市にある県立緑化センターと市立森林公園とで行われるとか。今回以上に盛大なイベントになることを期待しています。
帰りに加計町の「よしお」に寄って、いつものように鯛焼きを1個買いました。前のお客さんが根こそぎ買っていったので次が焼き上がるまでしばらく待ちましたが、焼きたてを食べることができたので、それはそれでラッキーでした。
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