蓼科山 〜大地溝帯に立つ展望台(後編)〜


 

 (後編)

【長野県 立科町 平成27年7月12日(日)】
 
 岩ゴロゴロの蓼科山。後編です(前編はこちら)。

 Kashmir 3D

 将軍平を過ぎ、山頂直下までやって来ました。斜度も大きくなり、ちょっと登っては立ち止まるを繰り返しています。

 そして真下を見ると人の列。

 ミネザクラ

 立ち止まるといろんなものが目に入ってきます。これはミネザクラの残り花。厳しい環境で咲いていますね。

 蓼科山頂ヒュッテ

 傾斜が緩くなってきたと思ったら蓼科山頂ヒュッテが見えてきました。もう山頂はすぐそこです。

 蓼科山山頂

 山頂は野球場くらいの広さで一面岩に覆われています。その広場の東端に最も高くなっているところ(写真中央)があり、そこに三角点があるようです。

 三角点

11時45分、三角点のあるポイントに到着しました。見渡す限り岩だらけです。

 南東方向

 眺望は最高と聞いてはいましたが、東西南北、遮るもののない大パノラマです。目の前にゴツゴツとした北横岳があり、その右手奥に八ヶ岳連峰が続いています。北横岳の左手遙か奥には金峰山、甲武信岳などの奥秩父の山々が。

 南西方向

 南西の方角には南アルプスの北端部(写真左)。仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳が望め、雲の向こうに北岳が見え隠れしていました。大きな谷(伊那盆地)をはさんで壁のように連なっているのが中央アルプス(写真右奥)。木曽駒ヶ岳も見えています。

 穂高岳・槍ヶ岳

 西方向には穂高連峰と槍ヶ岳。山雑誌の表紙みたいじゃないですか?

 西方向

 西から北西方向にかけてパノラマ的に。穂高連峰(写真右)から南側に伸びる稜線の先に乗鞍岳が見えます。

 北西方向

 一方、穂高から北側には北アルプスの北部、鹿島槍ヶ岳、五竜岳などの後立山連山(写真右)も。正面手前の台形の山は美ヶ原で、その遙か奥に立山と剣岳が見えています。

 立山・剣岳

 立山をアップで。白い峰々のうち左側にある台形の山が立山。右端の三角の山が剣岳です。松本盆地の向こうに聳えていて、ここからの直線距離は約80kmです。

 北東方向

 北東方向で存在感を放っているのは浅間山。写真右端にはテーブルマウンテンのような形が特徴の荒船山も見えています。

 ところで標高が高いとはいえ、なんでこんなに眺めがいいのか。それはここが大地溝帯(フォッサマグナ)のど真ん中だから。「地溝」といっても深い谷のようになっているわけではありません。地形の基盤としては深い谷状(といってもとてつもなくでかい。)になっているのですが、そこが他の地層で埋められ、見た目比較的低地になっているというもの。ここではそのど真ん中に火山が連なっていて、そのうちの一つが蓼科山なのです。なので周囲に障害物がなく遠くの高い山々をぐるっと見渡せるというわけです。
 フォッサマグナの成因は日本列島の形成と深く関わっているのだとか。日本列島がアジア大陸から離れて独立する際に、くの字型に中央部をへし折られるような形になったそうで、その折れてちぎれた部分が原始の日本海と太平洋との海峡のようになっていて、そこに泥や砂が堆積していき、その後再び分断されていた日本列島が圧縮され近づいていった際に海に積もった部分が隆起して現在のような陸地になったと考えられているそうです。いったいどれほどの力が日本列島に加わったのか。神か。
 フォッサマグナの構造については糸魚川市のHPが専門的、かつ、分かりやすいです(こちら

 昼食時の眺め

 ひとしきり眺望を楽しんだら、岩の上に腰を下ろして昼食です。コンビニおにぎりとゆで卵ですが、目の前に八ヶ岳を眺めながらのおにぎりはまた格別の味でした。

 食事が終わったら山頂部分を散策。真ん中あたりに小さな祠があったので安全祈願をしておきました。

 方位盤が設置されている反対側の縁に行ってみましょう。

 南アルプス、中央アルプス、北アルプスが一望です。眼下に車山、霧ヶ峰など。方角としては松本盆地方面です。

 白樺湖と車山

 白樺湖をアップで。見るからに避暑地という雰囲気ですね。

 12時35分、下山開始。

 蓼科山荘

 下りだすとすぐに急傾斜に。眼下の蓼科山荘を鳥の目で見ているようです。

 コイワカガミ

 これはコイワカガミでしょうか。



 ぐんぐん下っていきます。前掛山に縞枯れ現象が起こっているのが分かりますね。

 蓼科山荘

 1時ちょうど、蓼科山荘に到着しました。リュックを下ろして休憩です。

 長門牧場アイス

 暑さに負けてアイスを購入。長門牧場アイスでした。長門牧場は蓼科山北麓にある本州でもっとも高いところにある牧場です(25年くらい前に行ったことがあります。)。ヨーグルト味で、美味しかったです。400円なり。

 ウソ

 往きには気がつきませんでしたが、ベンチの前にバードフィーダーが。ウソがつがいで来ていました。聞くところによるとウソがミネザクラの芽を食べてしまうので、ここではヒマワリの種を与えてサクラを守っているのだとか。おかげでよく人に慣れていて、平気で足元までやってきます。それどころかアイスを食べているyamanekoの膝の上に乗ってきました。可愛かったです。

 休憩後、再び下り始めます。上の写真、平地のようにも見えますが、急傾斜です。

 天狗の露地

 ひたすら下ること20分、天狗の露地までやってきました。ここはスルーです。

 更に黙々と下っていくと、やがて鳥居が見えてきました。

 七合目

 七合目に到着しました。転ぶこともなく無事に下りてきました。時刻は2時ちょうどです。ここから更にゴンドラ乗り場まで下ります。

 途中、車道を横切り、さらに下っていくと…。

 ゴンドラ乗り場

 ゴンドラ乗り場が見えてきました。時刻は2時15分、下り始めて1時間40分でした。

 御泉水自然園

 ゴンドラとセット券を買っていたので、御泉水自然園に寄ってみることに。敷地は広大なので、ほんのさわりだけ。本気で廻ろうとすると5時間くらいはかかりそうです。



 森の中に入っていきます。 湿地があり木道が巡らされていました。ここを散策して帰りましょう。

 無音の世界

 森の中にぽっかりと空いた空間。こんなに標高の高いところに大きな湿地があるなんて。なんか不思議です。

 コバイケイソウ

 コバイケイソウ。午後の光の中、気だるそうに揺れていました。
 
 2時50分、駐車場まで戻ってきました。整理体操をしようにも、既に各所の関節がギシギシ言っています。
 前のホテルの売店で土産の饅頭を買って帰途に着きました。先月中央道で激混みに巻き込まれたので、距離は長くなりますが関越道で帰ることに。中央道は基本2車線。関越道は3車線なのです。
 佐久平までは延々と下り坂が続き、八ヶ岳連峰の裾野の広大さを実感しました。そして佐久南ICから高速道路へ。で、関越道の状況はというと何箇所かでの事故により埼玉県内全域で断続的に渋滞が発生していて、渋滞を抜けるのに1時間半くらいかかりました。こっちが正しい選択だったかは不明ですが、7時半頃、無事に帰宅することができました。