尾瀬ヶ原 〜尾瀬で霧と雨に包まれる(後編)〜
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(後編) |
【群馬県 片品村 平成27年8月23日(日)】
霧と雨の尾瀬散策。後編です(前編はこちら))
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尾瀬エリア Kashmir 3D |
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〔今回のルートを大きな地図で〕 |
8時50分に鳩待峠をスタートして1時間半以上経っていますが、未だに山ノ鼻に到着していません。
マルバダケブキ |
マルバダケブキの花をアップで。
ツルニンジン |
その下にはツルニンジンの花が咲いていました。ソバナと同じキキョウの仲間です。
トチバニンジン |
ニンジン繋がりでトチバニンジン。植物にはニンジンと名のつくものがいくつもありますが、概ね根(または地下茎)の形状が人参に似ているということからのネーミングでしょう。トチバニンジンはウコギ科です。
ルイヨウボタン |
これはルイヨウボタンの若い実ですね。これから青く色づいていきます。
大きな花崗岩のところまでやって来ました。ここで少し休憩してアンパンで栄養補給です。
ハンゴンソウ |
ハンゴンソウ。漢字では「反魂草」と書きます。葉が揺れる様が死者の魂を手招きしているかのように見えたからその名が付いたのだそうです。夕暮れ時に見たらちょっとゾクッとするかも。
川上川 |
もうほとんど傾斜はなくなり、川上川の流れも緩やかになっています。この川は山ノ鼻の先からはヨッピ川となり、下田代で尾瀬沼から流れてきた沼尻川と合流して只見川となって尾瀬から流れ下っていきます。
イワナ |
橋のたもとを覗いてみると、いました、イワナです。国立公園内なので釣ってはいけません。
ツリガネニンジン |
これはツリガネニンジンでしょうか。似たようなのがいくつかあって分かりにくいんですよね。そういえばこれも「ニンジン」。キキョウ科です。ちなみに本家(?)のニンジンはセリ科です。
軽快に歩く妻。元気ですな。山ノ鼻はもうすぐです。
尾瀬ビジターセンター |
10時50分、尾瀬ビジターセンターに到着。なんとここまでに2時間もかかってしまいました。一般的な所要時間の2倍かかっています。まあ、花を見かけるたびに立ち止まっていたのだからしょうがないですな。
ヒヨドリバナ |
と言いつつまた花が。何ヒヨドリかと考えましたが、最も基本的なヒヨドリバナでした。
クロバナヒキオコシ |
クロバナヒキオコシの花はごく小さいですが、緑をバックに暗紫色が映えるので案外目に付きます。
至仏山荘 |
至仏山荘の前のベンチで昼食。山ノ鼻にはこの至仏山荘の他に2軒の山小屋があります。この頃から細かい雨が降ってきたので、弁当を持ったまま屋根のある休憩所の中に移動。そこでゆっくりと昼食を食べ終えました。
ゴマナ |
11時35分、レインウエアをしっかり着込んで再び歩き始めます。 ここからは湿原歩き。どんなものに出会えるでしょうか。
おっ、これはゴマナですね。
サワギキョウ |
デジカメを雨から守りながら写真を撮っていきます。これはサワギキョウ。背筋がピンと伸びていますね。下から順に咲いていくようです。
イワショウブ |
一つ一つの花に水滴を抱えているイワショウブの花。今が盛りで、湿原中に咲いていました。yamanekoの好きな花の一つです。
クガイソウ |
これから咲こうとしているクガイソウ。花は紫色をしています。
オオマルバノホロシ |
これはオオマルバノホロシ。ナスの仲間ですね。
オゼミズギク |
オゼミズギクもあちこちに咲いています。ちょうど今が盛りのようです。ところで雨の中でこんなに写真を撮っていてデジカメは大丈夫か、だんだん心配になってきました。生活防水のレベルは超えているように思うのですが。
ヒツジグサ |
時刻は12時。池塘にはヒツジグサが咲いていました。未の刻(午後2時前後)に咲くからこの名になったとのことですが、実際にはもう少し早い時間から咲くようです。
拠水林 |
湿原の周囲は霧(雲?)で隠されていて、まるで異界の野を歩んでいるような感じがします。雨は決して強いわけではありませんが、霧雨よりも雨粒がはっきりしている降り方。写真を撮るたびにカメラを拭く作業が必要です。
牛首分岐 |
12時30分、牛首分岐までやって来ました。ここを左手に折れて東電小屋を目指します。ここからだと3kmほどです。ちなみにここをまっすぐ行くと、竜宮を経て見晴に至ります。
ジャコウソウ |
ジャコウソウ。麝香(じゃこう)とはジャコウジカの分泌物を乾燥させて作る香料のことだそうですが、この花、名に反してそれほど良い香りはしないんですよね。それともそれはひょっとして自分の貧弱な嗅覚のせいか?
コオニユリ |
コオニユリは雨粒を載せている分、余計にうなだれているように見えます。花被片のポップアートのような模様が目を引く花です。
ヨッピ橋 |
1時20分、ヨッピ橋に到着しました。その手前には竜宮に向かう分岐があります。ここは直進して橋を渡ります。
東電小屋 |
ヨッピ橋を越えるとそこはヨシッポリ田代。この辺りはクマの目撃情報が多いところです。黙々と歩いて行くとやがて遠くに東電小屋が見えてきました。
小屋は左手(西側)の景鶴山から張り出してきた尾根が湿原に接する辺りの高台に建っています。地盤がしっかりしていますからね。
東電小屋玄関 |
1時40分、東電小屋に到着しました。出発から約6時間、ようやく雨から解放されます。 チェックインを済ませて、濡れたレインウエアなどを乾燥室に入れさせてもらいました。もう風呂に入れるとのことなので、さっそくいただくことに。雨の中の歩きで固くなっていた筋肉をゆっくりとほぐします。
夕食は5時半からとのこと。まだたっぷりと時間があるので、コーヒーを注文して展示室(談話室っぽい)でくつろぐことに。ここには色々な図鑑や資料、写真集などがあって自由に閲覧できました。yamanekoは檜枝岐村史という本を見つけて熟読してしまいました。檜枝岐村は尾瀬の北の玄関口で、福島県になります。ここは新潟県魚沼市(旧湯之谷村)なんですがね。ちょうどこの付近で群馬県と福島県と新潟県の県境が接しているのです。
夕食 |
夕食はワンプレートで。系列の山小屋にも泊まったことがありますが、確かみんな同じプレートだったような。味、ボリュームは共に満足のいくものでした。そもそも山小屋で温かい料理をいただけるなんて、ありがたいですね。
夕食後、展示室で山小屋の支配人さんから尾瀬の歴史や自然、この小屋の成り立ちなどについてのレクチャーがあり、宿泊者のほとんどがその話に聞き入りました。軽妙な語り口で楽しい時間を提供してもらいました。
それも7時前には終わってしまい、あとは静寂の時間。もちろん部屋にテレビなどはなく、それどころかコンセントもありません。スマホの充電すらできないのですが、もとからここは完全な圏外でした。
そして消灯時間の9時には真夜中のような静けさでした。(翌日に続く)
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