高原の家・七塚 〜自然探検隊で遊ぼう(1)〜


 

【広島県庄原市 平成16年10月16日(土)】
 
 この週末は「高原の家七塚」の主催イベント「自然探検隊」のお手伝い。8月の開催に続き今年2回目の探検隊ですが、yamanekoは前回は参加していないので初めてのお手伝いになります。 「高原の家七塚」とは
 このところ秋雨でぐずついた天候が続いていたので、天気予報で週末の二日間ともに晴れマークがついていたのを見てホッとしました。楽しいイベントになりそうです。

 放射霧

 開会1時間前の午前9時、高原の家七塚に到着。辺りは真っ白な霧に包まれていました。
 この季節、中国山地の山里では早朝から深い霧に包まれることがたびたびあります。これは、雲のない天気の良い日に地表面の放射冷却で地表に接している空気が冷やされることによって起きる現象で、この霧に包まれた日は決まってすばらしい秋晴れの一日になるのです。

 開会

 午前10時、開会式が行われるホールは地元庄原市や近隣の市町村から集まった51人のちびっ子(小学校3年生〜6年生)たちでざわついていました。同じ小学校の友達同士の子もいれば兄弟姉妹で参加している子たちもいます。中には1回目の自然探検隊のときに友達になって久しぶりの再会という子供たちもいるようです。

 午前10時半。案の定、雲一つない秋晴れになりました。
 写真は高原の家の前に広がる畜産試験場です。なだらかにうねる丘の上には、牛舎ありサイロありポプラ並木ありで、青空のもと、なんとも牧歌的ないい雰囲気を醸しています。

 グラウンドへ  自己紹介

 さあ、せっかくこんなに良い天気なんだから、さっさと外に飛び出してグラウンドヘ下りていきましょう。
 まずは5つのグループに分かれて自己紹介。この二日間、基本的にこのグループで行動することになります。yamanekoの担当は第2班。照れてる子、話し出したら止まらない子、みんな一人一人違った個性が光る子どもたちです。

 蕎麦の収穫

 自己紹介が終わったら、お昼までの間、蕎麦の収穫です。
 yamanekoの年代でも蕎麦の収穫をしたことのある人は少ないと思います。そもそも蕎麦の実がどんな形をしてどんなふうに生えているのかも知らない人が多いのでは。子どもたちにとっても初めての経験でしょう。

 蕎麦の実  「こんなに採れた!」

 蕎麦の実は穂先に数個ずつ付いていて、片手でこそぎ取るようにして収穫します。力もいらないので子どもたちでも面白いように収穫できます。両手にたまった蕎麦の実にフッと息を吹きかけると、花殻などのゴミが飛んで実だけが残ります。子どもたちはそんなことにさえ驚きを隠さず、楽しそうに何度も吹いていました。

 ゲジゲジ

 「ギャー、ゲジゲジ!」って引きまくっているのは大人だけ。子どもたちは何のためらいもなく虫とつき合っています。
 

                        

 
 午後は森に入ってキノコ探しです。
 場所は太古のピラミッドとして有名(?)な葦嶽山。高原の家からは15qほど離れているので、移動は貸し切りバスを利用します。大人のわれわれには何ともない距離ですが、子どもたちの中には乗り物酔いをする子も結構いたりして、注意が必要です。

 登山口

 登山口と山頂との標高差は約150m。道もしっかりしているので子どもたちの足でも不安はありません。でも道の脇は急斜面の藪になっているので、キノコを探しに入るときにはスタッフのサポートが欠かせません。なにしろ子どもたちは好奇心の塊ですから。

 登山道

 さすがに若い! 子どもたちはどんどん登っていきます。「どこにもないよー。」と言う子もいれば、キノコを見つけるのが上手な子もいて、あった、ここにもあった、とひょいひょい採っています。

 ムラサキシメジ?

 もともと注意力も散漫なyamanekoとしては、キノコ探しなど得意なはずがありません。上の写真のキノコも指導員の前田さんがそっと教えてくれたものです。子どもたちにはさも自分で見つけたように教えてあげましたが。ここに正直に告白します、ハイ。

 秋晴れ

 バックの青空に吸い込まれそうな木立。冬の乾燥から身を守るため早くもきれいに葉を落としています。

 葦嶽山(左)

 一つ手前のピークからようやく葦嶽山の姿を望むことができました。何の変哲もない山に見えますが、太陽信仰のピラミッドだったとする説があるのは結構有名ですよね。

 山頂

 登りはじめからおよそ1時間。あっという間に山頂です。
 空気か乾燥しているせいか、あまり汗をかきませんでした。山頂の広さはテニスコート半分くらい。思ったより狭かった。でも子どもたちは満足げです。

 山頂から北方向を望む

 山頂から北方向を眺めると山並みの最奥に猿政山の姿を見ることができました。右隣にあるはずの吾妻山は手前の山に遮られて見えません。

 かわいいの、めっけ

 子どもたちのビニール袋にはいろんなキノコが入っています。中には木の実とか変わった形の石とかを入れいている子も。そう、それでOK。「何だろう?」、「面白そうだな」でいいんです。キノコ探しはきっかけでしかありません。いろんなものに興味をもって、自然の不思議さ、おもしろさに触れてほしいと思います。難しい話はもうちょっと大きくなってからでも遅くはありません。
 

                        

 
 夕方、高原の家に戻ってきました。荷物を部屋に片づけて、まずはお風呂です。
 しばらくして風呂をのぞいてみると、モウモウとした湯気で中がよく見えません。よくよく目を凝らしてみると、なんと風呂場全体がプールとなっていました。洗い場も水深10pほど。そんな中で湯をかけ合ったりして大騒ぎしています。「コラーッ! みんなこっち来ーい!」 ここはきっちり叱るべきところです。

 夕食

 風呂の後は夕食。子どもたちは勝手に食べ始めることなく、はみんながそろうまでちゃんと待っています。ほ〜ぅ、えらいじゃないか。ちょっと見直したぞ。

 クラフト作り

 夜のプログラムは落ち葉などを使ったクラフト(手作り工芸品)作り。拾ってきた葉っぱを画用紙に貼り付け、それのカラーコピーをとってパウチ加工をします。すると手作り感満点の下敷きができあがるのです。

 何作ろっかなー

 グループごとに分かれ、好きな素材を選んでさっそく取りかかります。いきなり貼り付け始める子、熟考の構えの子。ここでも様々な個性が表れます。

 ウサギでーす  トンボでーす

 しかし、子どもの発想や想像力にはホントびっくりさせられます。yamanekoも作ってみましたが、その発想の広がりのなさにガックリ。どうやってもどっかで見たことのあるものになってしまうのです。

 マイワールド

 創作意欲に駆り立てられ自分の世界に入り込んでしまっている子も。辺りは全く見えていない様子で集中しています。この子の頭の中には今どんな世界が広がっているのでしょうか。

 いいでしょ?  左が現物、右が完成品でーす

 9時過ぎまでかかって、どうやらみんなできあがったようです。
 カッターナイフで手を切ってしまって病院に連れて行った子もいましたが、やがて平気な顔をして戻ってきて、今まで以上に楽しそうに遊んでいたので、ホッとしました。(その子の歳に似合わぬ気丈さには感心しました。将来大物になるかも。)
 結果的には大事には至らなかったものの、この点に関してはスタッフとして反省しなければなりません。ケガは防げなかったのか、ケガをしたあとの対応は適切だったか、子どもたちの安全確保についてあらためて検証しなければなりません。
 

                        

 
 さあ、これから就寝です。が、子どもたちがすんなり寝るはずもありません。興奮して眠れない子、おうちが恋しくなってきた子、部屋が暗いと眠れない子、などいろいろです。
 
 やがて夜も更ける頃、子どもたちの部屋が静かになりました。明日もきっといい天気。楽しいことがいっぱいでしょう。
 
 (自然探検隊で遊ぼう(2)へつづく)