三頭山 〜初夏の奥多摩で森林浴(前編)〜


 

 (前編)

【東京都 檜原村 平成29年5月21日(日)】
 
 梅雨入り前のこの時期、街も野山も輝いています。休日ごとに予定があってなかなか遠出ができないので、今回は奥多摩にあって比較的アクセスの良い三頭山に行ってみることにしました。ここを訪れるのは3年半ぶりです(前回の様子
 
                       
 
 アクセスがよいと言っても都心からは車で3時間、yamanekoの住む多摩地域からでも2時間以上はかかります。特に武蔵五日市から先の道が南秋川に沿ってくねっていて、案外長いんですよね。この道は「奥多摩周遊道路」といって、奥多摩湖に抜けることができるので、ライダーやチャリダーに人気の高い道。事故のないよう気をつけて走らなければなりません。

 正面入口

 午前9時半、都民の森の正面入口に到着。残念なことに既に駐車場が満車だったので、ここからさらに奥多摩周遊道路を1kmほど上ったところにある数馬第1駐車場に向かいました。正面入口と数馬第1駐車場との間はマイクロバスがピストンしていて、それで戻ってくればよいのですが、待っているのも無駄なような気がしたので、下りということもあり歩いて戻ってきました。所要時間は15分でした。


 Kashmir 3D

 今日は、正面入口から舗装路を上がり森林館へ。そこからチップが敷かれた散策路を三頭滝に向かいます。その先で山道になり、谷を遡る形で稜線のムシカリ峠まで登っていきます。峠からは山頂までは一登り。名前のとおり3つあるピークを西、中、東の順に踏んで下山路へ。前回は鞘口峠まで稜線を下りましたが、今回は途中から山腹に下りていこうと思います。

 森林館

 歩き始めて5分ほどで森林館が見えてきました。ここは都民の森の中心的な施設で、森林に関する展示や木工体験など様々なプログラムが用意されています。

 ヤマシャクヤク

 足元にはまさに見頃のヤマシャクヤクの群落が。もともと自生のものを保護して増やしているのだと思います。



 森林館からは山腹を等高線に沿うようにほぼ水平移動です。木漏れ日の差す気持ちのいい小径。足元にはチップが敷かれ歩きやすいですな。

 秋川渓谷

 途中に展望のきく場所がありました。正面の谷の向こうが都心方向。今日はこの谷を遡って来たのです。

 サラサドウダン

 サラサドウダンの花。少し見上げる位置に咲いていて、下に入ると雪洞(ぼんぼり)にほのかに照らされているような明るさを感じました。別名をフウリンツツジといい、これは花冠の形を風鈴に例えたものです。



 陽射しはもう初夏のそれ。日向と日影のコントラストがくっきりとしています。

 カツラ

 ハート型の可愛い葉が並ぶカツラの枝。渓畔林を構成する種類の木です。カツラは大木となることで知られていますが、スギのような純林はほとんどなく、単独で聳えていることが多いようです。

 マルバウツギ

 涼しげなマルバウツギの花。



 休憩スペースが現れました。陽射しが強すぎて誰も休んでいませんね。
 ここで道を逸れて左手の階段を下りると三頭大滝のビューポイントがあります。yamanekoも休憩を兼ねて観に行きました。

 滝見橋

 そのビューポイントとはこの吊り橋。その名も滝見橋。つまり橋自体が観覧席になっているということです。

 三頭大滝

 写真では大きさが分かりにくいですが、落差は35mあるそうです。ワイドレンズに換えて撮ったのですが、滝壺まで画角に入りませんでした。

 ヤマグルマ

 この吊り橋のたもとからちょうど目の高さに花を付けるヤマグルマ。高いところに花を付ける木なので、このアングルで花を見ることができるのは希です。以前来たときからここにあることは知っていたので、今日の楽しみのうちの一つでした。花弁も萼片もない変わった花です。

 ヒトツバカエデ

 名前のとおりカエデの仲間ですが、掌状に裂けた特徴的なカエデの葉とは見た目がまったく違います。葉が対生に付いているのはカエデの特徴ですね。陽を透かして輝いています。



 道はもう山道になっています。

 チドリノキ

 これもカエデの仲間。チドリノキです。やはり葉は対生。名の由来は、翼果の形状が千鳥に似ているからだとか。千鳥というよりブーメランのような形をしていますが。

 ミツバツチグリ

 森の中に花の少ないこの時期、ミツバツチグリは目立っていました。

 カツラ

 カツラの大木。何年前からここにいるのか。存在感ありまくりでした。

 オヒョウ

 カツラとともに渓畔林を構成する樹種のオヒョウ。葉先のとんがりが3つある珍しい葉の形をしています。

 休憩デッキ

 稜線までの行程のうち3分の2あたりのところに休憩デッキがあります。休んでいる人もいましたが、yamanekoはスルーして、稜線のムシカリ峠を目指しました。
 このペースで行くと、ちょうど山頂あたりでお昼でしょう。森林浴を楽しみながらゆっくりと歩いて行くことにします。(後編に続く