玄岳 〜静かな山で一年を振り返る(後編)〜
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(後編) |
【静岡県 熱海市 平成27年12月27日(日)】
玄岳のんびり山歩き、後編です(前編はこちら)。
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熱海駅からバスで登山口まで移動し、そこからまっすぐ玄岳山頂を目指しました。歩き始めて1時間45分での山頂到着です。ここからは玄岳の北側に下り、氷ヶ池を経由して下山します。
山頂の看板には「799.2m」とありますが、国土地理院の地図では798mとなっています。伊豆半島は今も本州に食い込み続けているとのことなので、この辺りは隆起していてもおかしくはないんですが…。
昼食 |
豪華ランチ。熱海駅でバスが出る時刻を気にしながら慌てて買ったものです。ところで熱海駅では駅につきもののコンビニがなかなか見つかりませんでした。あるのはお土産物売り場ばかり。なので売られている弁当も駅弁価格で概ね1000円前後です。ようやく見つけたコンビニは人の流れから離れたところにぽつんとあり、スペースもかなり狭かったです。やはりコンビニがあると客の多くがそっちに流れるのでJR側から土産物業者さんへの配慮が働いたのでは、とバス停に走りながら考えた次第です。
三角点 |
おにぎりを食べながらふと横を見ると三角点があるではないですか。ササ藪の際にひっそりと。
山頂 |
山頂も日陰になったり日向になったり。陽が当たるとこんなに穏やかです。親子3人組も登ってきて、山頂は総勢5人になりました。
沼津アルプス |
去年の山納めに歩いた沼津アルプス。あれからもう1年経ったのか。(そのときの様子はこちら)
下山開始 |
12時ちょうど、下山開始です。正面に愛鷹山を見ながら急斜面を下っていきます。
伊豆スカイライン |
眼下に伊豆スカイラインが見えました。稜線に沿って伸びる総延長約40kmの自動車専用道。その間信号は一つもないそうです。UFOみたいな建物は1960年代後半に数年間営業していたという熱海高原ロープウエイの玄岳駅の跡で、かれこれ50年間も放置されているそうです。
マユミ |
登山道脇にみごとなマユミの木が。制約なく育つとこんなにも立派になるんですね。
相模湾 |
この時間、熱海市街や真鶴半島にも冬の陽射しが降り注いでいるようです。
急傾斜 |
ササ原の急斜面を下っていくのですが、刈った後のササが地面にたくさん転がっていてツルツル滑るので要注意。
ときにはこんなに深いところも。前が、前が見えない…。
玄岳駐車場 |
ここで一旦伊豆スカイラインに下りて行きます。眼下に見えているのは玄岳駐車場。北側の眺望が素晴らしいとのことです。
解説板 |
駐車場には丹那断層の解説板がありました。丹那断層は、箱根山の南端から眼下の丹那盆地を通り伊豆市に至る約30kmの断層で、7百年から千年の周期で大地震を起こしているそうです。駐車場から現物の地形を眺めながら読むとよく理解できました。
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Kashmir 3D |
玄岳と丹那断層との位置関係はこんな感じです。断層付近は岩盤が破砕されていることから浸食が進みやすく、多くの場合、谷の地形になっているといいます。
再び山道へ |
玄岳駐車場で小休止した後は再び山道に入っていきます。写真左に延びる小径です。
再び急傾斜 |
ここから氷ヶ池まで一気に下っていきます。トラロープが張ってあるので、雨でぬかるんだときなどには頼りになると思います。
氷ヶ池 |
12時30分、氷ヶ池の畔まで下りてきました。静かです。さっき山頂に先着していた男性がここでも先着していて、その方いわく、写真中央の雲の中に富士山があるとのこと。山頂でもそうでしたが、ずっとシャッターチャンスが訪れるのを待っているのだそうです。
反対の東側。奥の丘の上が稜線部で、そこに伊豆スカイラインが通っています。この池ではその名のとおり、昔、氷の切り出しが行われていた由。あの稜線を越えて熱海に運んだのでしょうか。yamanekoもこれから池の縁を歩いて向かいます。
ツルウメモドキ |
ツルウメモドキの実。リースを作る人や生け花をする人には歓ばれる植物です。
ヘクソカズラ |
ヘクソカズラの実がたわわに。でも割ってみるとあまり果肉はないんですよね。
もう少し、あの先が稜線部です。
伊豆スカイライン |
伊豆スカイラインに出ました。写真奥が箱根方面です。50mほど進み右手に分かれる側道に入ります。
マツムシソウ |
法面の芝地に貼り付くようにしてマツムシソウが咲いていました。花冠の大きさは直径3cmほどです。でも、何でこんな状況に?
玄岳IC |
側道をしばらく歩くと熱海新道から入ってくるゲートがありました。ここが玄岳ICです。ゲートの脇をすり抜けてここから熱海新道を下っていきます。有料道路だった時代は歩行者の進入は禁止されていたようですが、今はフリーのようです。
熱海新道 |
交通量はほとんどゼロ。ごくまれに車が通りすぎる程度です。のんびり歩くには好都合です。
センニンソウ |
まるで雪が降り積もったかのように見えるセンニンソウの実。
1時5分、往路で渡った橋が見えてきました。ここは左手の木立の中に入り、登山道に合流して下っていきます。
午後の陽射しは早くも低く、木々の影が長く伸びています。
ヤママユガの繭 |
ヤママユガの繭が落ちていました。裏返すと丸い穴が空いていたので、無事に羽化できたのだと思います。
1時30分、舗装路が見えてきました。あとはバス停まで一直線です。
畑地の脇にカキノキが。実を採る人もいないのでしょうか。高齢化が進んだ集落ではよく見かける光景ですが。
相模湾 |
坂道を下っていくと正面に相模湾。対岸に見えるのはおそらく江ノ島や鎌倉辺りになるでしょう。
ビワ |
ビワは今、開花を待っている状態。自然はもう次の季節に向けて準備を始めているんですね。
下山完了 |
1時40分、バス停に到着。下山完了しました。時刻表を見るとバスはほんの数分前に出た後でした。でも30分間隔で運行しているので、次の便までじっくり整理体操をしながら待つことに。バスの中ではできませんからね。何事もプラス思考で。
駅前温泉 |
2時過ぎにやってきた次の便に乗り、2時半、熱海駅に到着しました。せっかく熱海に来たので温泉で疲れを癒して帰ろうと思います。あらかじめネットで調べておいた駅至近の「駅前温泉」へ。地元の共同浴場といった風情の温泉で、のんびりと湯に浸かれました。料金は500円。アメニティなどは用意されていないので、持参する必要があります。湯はyamanekoにとってはかなり熱めでした。
温泉の後は |
体の芯から温まった後はちょっと一杯引っかけてから帰ることに。駅前温泉から2、3軒隣の店がやっていたので、そこに決定。
店に入ると常連さんとおぼしき人が一人、カウンターで飲んでいました。テレビでやっている有馬記念の中継で店の人と話が弾んでいるようでした。こっちは荷物があるし、馬券も買ってはいないので、テーブル席へ。つまみに頼んだアジ刺し。美味でした。
復路は、東海道本線と相模線とを乗り継いで、在来線のみで帰りました。所要2時間。温泉とビールの効用もあり、ほとんど意識を失っていたと思います。
平成27年も暮れようとしています。1年前、沼津アルプスで山納めをしたときの記事で「来年は何か地元の活動に関わってみようかな。」と書いていましたが、実際に里山保全のボランティアグループに参加し、活動を始めました。一応有言実行です。
さて、来年は。50歳代も後半に入るので、体のメンテに心がける一年ということにでもしましょうか。高齢期を長く健康に過ごすには今のうちの土台作りが重要といいますから。
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