木曽駒ヶ岳 〜4年ぶりのリベンジ登山(中編)〜


 

 (中編)

【長野県 駒ヶ根市・木曽町 平成29年8月20日(日)】
 
 4年前に悪天候で登頂を断念した木曽駒ヶ岳。今回は晴天で受け入れてくれました。その中編です。(前編はこちら


 Kashmir 3D

 ロープウェイで千畳敷カールまで上がって来て、そこから木曽駒ヶ岳に向かって歩き始めました。

 花畑

 八丁坂分岐を過ぎ、急な山道(八丁坂)を登っていきます。乗越浄土を見上げると前面に花畑。こういう風景を目にするとしばし苦しさを忘れさせてくれます。

 チシマギキョウ

 風に揺れる紫色の一群。チシマギキョウです。みんな同じ方向を向くんですね。雨水が花冠の中に入ってこないように俯き気味になってるんでしょうか。

 カール内部

 ずいぶん高く登ってきました。カールを見下ろすとこんな感じ。茶色の建物(ロープウェイ駅)から伸びる道を歩いてきました。あのカールの縁で標高2600mくらいです。その向こうは一気に1000mくらい落ち込んでいます。



 そそり立つ壁を横に見ながらジグザグの山道を登っていきます。標高2700mを超え、空気もずいぶん薄くなった気がします。

 ウメバチソウ

 高原で出逢うことの多いウメバチソウですが、こんな高いところにも生育しているんですね。厳しい環境でよくも命を繋いでいるものです。

 乗越浄土へ

 ほぼ垂直に感じる岩壁を登っていきます。まるで空に向かって登っていくかのよう。なるほど! まさに天に、あそこを乗り越えたところにある浄土に向かって歩みを進るということか。



 カールの中に雲が上がって来たようです。ここはもう雲上の世界なんですね。



 そして…、おお、ようやく登り切ったぞ。9時25分、無事に乗越浄土に上がってきました。八丁坂分岐から45分かかりました。標高は2850mです。

 乗越浄土

 乗越浄土は思ったより小広いところでした。たくさんの人が休憩しています。yamanekoたちもアンパンでエネルギーを補給しましょう。
 東方向(写真奥)には伊那前岳(奥のピーク)。木曽駒ヶ岳には伊那側、木曽側それぞれに前衛の峰があり、伊那側の峰には「伊那前岳」、木曽側の峰には「木曽前岳」と名付けられています。伊那の人々、木曽の人々、それぞれから厚い信仰を集めていたのでしょう。

 宝剣岳

 南の方角には宝剣岳。その先に小さくサギダルの頭も見えています。それにしても空が広い。中央アルプス最高峰なのだから当たり前ですね。

 中岳

 北の方向にはこれから向かう中岳の丸いピークが見えています。目的地の木曽駒ヶ岳は中岳の後に隠れてここからは見えていません。赤い屋根は天狗荘。乗越浄土から木曽駒ヶ岳までの間には天狗荘を含めて3つの山小屋があります。

 宝剣山荘

 さあ木曽駒ヶ岳の山頂を目指して歩きましょう。登山道は宝剣山荘の裏側を回り、天狗荘の横を通って伸びています。

 宝剣岳

 宝剣岳の西面。カールの内側から見ていた姿より一層荒々しい印象を受けます。



 宝剣山荘の裏側にある小高いビューポイントから西側を望む。雲に埋められている辺りは木曽谷になります。わずかに覗いているのは風越山では。しかし、木曽側も鋭く削れていますね。



 さあ、あらためてスタート。まずは正面に見える中岳に向かいます。



 平坦な道が終わり、中岳への上り坂にとりつきました。ずいぶん雲が出てきましたね。



 坂の途中から乗越浄土を振り返ると、山小屋がもうあんなに小さく見えます。

 ホツツジ

 標高が高いからか風衝地だからか、ホツツジの株はどれも小さいです。

 コケモモ(実)

 足元の赤い実。これはコケモモの実ですね。北欧ではこれでジャムを作るのが定番だそう。日本でも最近は観光地の売店などでも売られています。あとコケモモソフトとかコケモモパイとか。

 中岳山頂

 10時20分、中岳の山頂に到着しました。乗越浄土から30分です。奇岩が林立する山頂でした。



 中岳では足を止めず、そのまま木曽駒ヶ岳との鞍部に向かって下っていきます。

 トウヤクリンドウ

 乗越浄土からは極端に花が少なくなりましたが、そんな中で出逢った数少ない花の一つがこのトウヤクリンドウ。右の写真の状態が満開の姿です。トウヤクとは漢字では「当薬」と書き、これはセンブリのこと。トウヤクリンドウにはセンブリと同じく健胃の薬効があるからだそうです。



 鞍部が近づいて来ました。雲が切れ、木曽駒ヶ岳の山頂も見えています。鞍部に建つのは駒ヶ岳頂上山荘。

 木曽駒ヶ岳

 さあ、最後の登りに取りかかりましょう。うむ、地味にきつい坂道です。

 コマクサ

 おお、コマクサが。もう傷んでいる株も多いですが、その中でも元気そうなものを写真に。

 中岳

 坂の途中から中岳を振り返ると、こんな風景。左奥は伊那前岳です。中岳の山頂を踏まない巻き道が右手に延びていますが、途中に崖が切り立ち危険な箇所があるとのこと。yamaneko的には多少しんどくても怖くない方ですね。

 ウサギギク

 ヒマワリを小さくしたようなウサギギク。やっぱり苦しいときには花に癒されます。それにしても厳しい環境で生きていますね。

 タカネナナカマド

 これはタカネナナカマドの若い実。まだ萼片が残っています。(タカネナナカマドを早口で3回言おうとしても舌がついてきません。)

 ヒメウスユキソウ

 中央アルプス特産のヒメウスユキソウ。名前のとおり、ウスユキソウの仲間では最も小ぶり。木曽駒ヶ岳のものが基準標本だそうです。別名をコマウスユキソウとも。



 花々で気を紛らわせつつ登ることしばし。11時ちょうどに木曽駒ヶ岳山頂に到着しました。中岳から下って登って40分でした。

 駒ヶ岳山頂

 人気の山だけあって、山頂にもたくさん人がいました。



 伊那駒ヶ岳神社  木曽駒ヶ岳神社

 山頂には、伊那側に伊那駒ヶ岳神社、木曽側に木曽駒ヶ岳神社の二つの神社がありました。それぞれ麓には里宮もあるそうです。yamaneko達はもちろん両方の神社にお参りしました。



 平坦なところを選んで腰を下ろし、昼食です。頭上には抜けるような青空が…、周囲が真っ白で眺望がきかないのが残念ですが、まあ良しとしましょう。

 下山開始

 山頂でくつろぐこと45分。そろそろ下山を開始しましょう。うむ、これは雲の中に下りて行く感じです。

 鞍部

 12時ちょうど、中岳との鞍部にやってきました。駒ヶ岳頂上山荘にもさようなら。



 そしてまた中岳への登り。一歩一歩、黙々と。

 中岳山頂

 鞍部から15分ほどで中岳山頂に到着しました。このガス、いかにも高山という感じですね。見てのとおりみんな風を防ぐ上着を着ています。じっとしていると冷えてくるんですよね。8月なのに。なにしろ標高3000m近いところですからね。
 さあ、ここからは下りオンリー。怪我に気をつけてロープウェイまで戻りましょう。(後編に続く)