木曽駒ヶ岳 〜4年ぶりのリベンジ登山(後編)〜
(後編) |
【長野県 駒ヶ根市・木曽町 平成29年8月20日(日)】
4年越しの木曽駒ヶ岳、後編です。(中編はこちら)
Kashmir 3D |
無事に木曽駒ヶ岳の山頂に到達し、千畳敷カールを目指して復路を辿ります。現在中岳を通過したところです。
チングルマ(実) |
カールの内側ではまだ花が咲いていたチングルマ。ここ稜線上では実になっていました。「実?どれが?」という感じですが、ふさふさの羽毛の根元に種子が付いています。花の様子からは想像もつかない姿ですね。
ケルン |
大きなケルン。プレートには「中岳〜本岳 キャンプ場」とありました。中岳の西側を巻く道はここで合流してきます。
宝剣山荘 |
12時35分、宝剣山荘まで戻ってきました。ここで少し休憩。陽射しがなく肌寒いので、中の食堂では暖かいものを注文している人が多かったです。
ミヤマダイコンソウ |
ミヤマダイコンソウ。稜線上の風衝地に生えるのだそうです。何も好きこのんでそんなところに…。
乗越浄土 |
10分後、乗越浄土へ。ここからカールの内側に向かって急降下していきます。
乗越浄土の縁に立ったところ。ゴールのロープウェイ駅が眼下に見えていますね。雲のベールが薄くかかり、何か幻想的な雰囲気です。
さあ下り始めましょう。壁の部分は深いU字型に削れています。
クモマスミレ |
高山の礫地に生えるクモマスミレ。花は可憐ですが、葉の剛健な様子が厳しい環境で生きていることを示しています。
クロトウヒレン |
クロトウヒレン。アザミに似ていますが、違う属です。トウヒレンの仲間は刺がなく触っても痛くないものが多いです。
ウメバチソウ |
次々と花が出てくるのでそのたびに足を止めることになり、結果下りの辛さを和らげてくれることになります。これはウメバチソウ。草原や湿原の花というイメージですが、高山にも。なかなか逞しい花ですね。
ミヤマアキノキリンソウ |
秋の野山の定番、アキノキリンソウ。その高山形がミヤマアキノキリンソウで、野山で見かけるものより骨太な印象です。前編でも頭花はこちらの方がだいぶん大きいと紹介しましたが、これは昆虫の少ない高地でも受粉のチャンスを高めるための進化でしょうか。その前になぜ高地にまで進出しなければならなかったのか、いろんな?が湧いてきます。
ミヤマコウゾリナ |
すぐ近くに咲いていたミヤマコウゾリナ。こちらもコウゾリナの高山形ですが、こっちは高山形の方がかなり華奢な印象を受けます。厳しい環境でがっしりした形に育てないのかもしれません。
クロクモソウ |
おお、これはクロクモソウではないですか。5年前、尾瀬の燧ヶ岳の山上で出逢って以来です。ちょっとした感動をもらいました。
チシマギキョウ |
チシマギキョウを下から見上げるアングルで。岩に咲く紫の花。風に揺れる様は涼しげです。
千畳敷カール |
壁面を半分くらい下りて来ました。それにしても雄大な地形。目を閉じて想像してみましょう。大昔、ここを氷河が埋めていたときの様子を。
クモマスミレ |
ここにもクモマスミレ。しかし、よくこんなところで生きていけるものです。土などほとんどないのでは。でも、もうちゃんと実を付けていますね。
シナノオトギリ |
シナノオトギリ。なんか全般的に黄色の花を付けるものが多いですね。
ミヤマダイコンソウ |
ミヤマダイコンソウの花冠をアップで。これも黄色です。
クルマユリ |
緑が多くなってくるとクルマユリなども現れ始めます。濃いオレンジ色とのコントラストが際立っています。
タカネグンナイフウロ |
タカネグンナイフウロ、みんなで首を伸ばしてこっちを見ていますね。
駒ヶ根市街 |
雲間から麓の街並みが見えました。帰宅後、航空写真で確認したところ、どうやら駒ヶ根市の中心市街地の少し南側のようでした。
ロープウェイ駅から、下りロープウェイの乗車のために整理券を配り始めたと放送しているのが聞こえて来ました。今日はたくさんの人が上がって来ているので、下りるのにも大渋滞です。yamaneko達があそこに着く頃には何番目になっているんだろう。
シナノキンバイ |
稜線上に比べると花の種類が圧倒的に多くなります。これはシナノキンバイ。
ヨツバシオガマ |
ヨツバシオガマ。花をよく見ると、嘴の長いツルの頭に似ている形をしています。
もうカールの中程まで下りて来ました。乗越浄土は白い雲の中です。
さて、この先、八丁坂分岐を経て、ロープウェイ駅に向かいます。
ミヤマバイケイソウ |
ミヤマバイケイソウ。バイケイソウの背丈を低くして、花を地味にしたよう。葉はコバイケイソウにそっくりです。バイケイソウとコバイケイソウの両方の特徴を備えているみたい。
コイワカガミ |
もう花期が過ぎようとしているコイワカガミの中で比較的元気なものを。高山の夏を彩る花です。
ミヤマアシボソスゲ |
スゲの仲間はよく分からないですが、ミヤマアシボソスゲでどうでしょう。
アオノツガザクラ |
1cmにも満たない小さな壺型の花。この姿から「サクラ」の名が付いた理由が思い浮かびませんが、どうやらもともとのツガザクラの花冠が薄桃色で、そこから「サクラ」の名が付いたようです。「アオノ」は花が薄緑色がかっているからでしょうね。
八丁坂分岐を過ぎ、ゴールにずいぶん近づいて来ました。振り返るとこの風景です。
ヤマハハコ |
野に咲く黄色いハハコグサの仲間。山地に咲くのでヤマハハコ。
午後2時、ロープウェイ駅まで戻ってきました。人がたくさん滞留しています。
いつのまにか稜線から雲が取れていました。この風景、あらためて雄大だなぁ。
みんなロープウェイの順番が来るまでこの辺りで時間を潰しているようです。
yamaneko達も整理券をもらわなければ。乗車予定時刻は4時25分。待ち時間は2時間以上もあります。では、ということで、カールの下の方に下りる散策路を歩いてみることにしました。最も低いところには「剣ヶ池」という池があり、そことの標高差は40mほど。整理体操にちょうどよいです。
イブキトラノオ |
イブキトラノオです。花期はほとんど終わりかけです。この花を初めて見たのは広島の吾妻山だったか。懐かしいです。
ゴゼンタチバナ |
これはゴゼンタチバナ。ちょうど綺麗に咲いているように見えますね。でも、白い花弁に見えるものは苞(蕾を包んでいた葉)で、本当の花は花冠中央の短い棒の先にありました。もう散ってしまって実が膨らみつつある状態です。
剣ヶ池の畔に下りて来ました。見上げるとロープウェイ駅の建物が。
ちょっとした広場があり、カールをバックに記念撮影をする人が多数。必ずしも登山の格好をしている人ばかりではありません。
駒ヶ岳ロープウェイ |
そんなこんなで2時間が過ぎ、ようやく下山の順番がやって来ました。
菅の台バスターミナル |
ロープウェイの乗車時間は7分ほど。しらび平駅でのバスの乗り換えもスムーズで、バスターミナルのある菅の台に到着したのは5時半でした。概ね12時間の行程だったということになります。
今回は4年越しの木曽駒ヶ岳でしたが、天候にも恵まれ念願の山頂に立つことができました(結局山頂からの眺望は得られませんでしたが。)。前日の木曽路観光と併せて満足感一杯で帰路につきました。
で、週末の中央道のお約束、小仏トンネルを先頭とした大渋滞にもしっかりはまり、予定どおり夜中に帰宅しました。