おおの自然観察の森 〜静かな湖畔で〜
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【広島県大野町 平成16年4月24日(土)】
「おおの自然観察の森」 広島県西部、大野町の山の中にある静かな森です。
聞こえるのは鳥の声と風の音だけ。今日はゆったりとした休日を過ごしにやってきました。
マルバノキ |
この森の特徴はマルバノキ(別名ベニマンサク)。中部地方、近畿地方と広島県、高知県に隔離分布する樹木で、広島県でもここの他に自生しているところを知りません。でも、植栽のものはときどき公園などで見かけますし、現にこの森の入り口の散策路沿いにもたくさん植えられています。自生のものは県の天然記念物に指定されているそうです。
この時期、広げたばかりのみずみずしい葉を見ることができます。その名のとおり丸いハート形の葉です。
果実の殻 |
径1.5cmほどの果実の殻がたくさん枝に残っています。マルバノキの花は秋に咲き、その翌年の秋に実を熟すので、この殻は一昨年の秋に咲いた花が実を結んだものということになります。写真のとおり花も背中合わせに2個くっついて付いています。
アカメガシワ |
「アカメガシワの若葉の表面をこすってみるとおもしろい。」 先週の観察会でRさんから聞いたので、さっそく試してみることにしました。
これまで葉そのものが赤いと思っていましたが、赤いのは葉の表面に密生している星状毛の色であって、その星状毛は擦るとポロポロとはがれ落ちてしまいます。そしてその下からつやつやとした緑の葉が現れるのです。そのコントラストの鮮やかさにちょっとした驚きを覚えてしまいました。(この驚きがあるから野山歩きはやめられないのです。)
この星状毛は葉が成長するにつれて徐々に落ちていき最後にはごくふつうの緑の葉になってしまうのですが、その過程で葉脈のみに星状毛が残る時期があり、これはこれでおもしろい葉の姿になります。
ミツバアケビ |
ミツバアケビの花が満開を迎えていました。大きな雌花の下に小さな雄花が房状にぶら下がっています。
秋には甘い果実を実らせることでしょう。ところで、スイカやブドウのように種なしのアケビが開発されたら果実として流通するだろうと考えるのですが、いかがか?
モリアオガエルの池 |
イモリ |
モリアオガエルの池にはアカハライモリがたくさん泳いでいました。四本の足を体にぴったりとつけて、しっぽをくねらせて滑るように泳いでいます。イモリは「井守り」 昔から用水(井)を守るとされていました。ちなみにヤモリは「家守り」 家を守ってくれているのです。でもイモリは両生類でヤモリは爬虫類、仲間同士じゃないんですね。
タムシバ |
タムシバはすでに白い花を落とし、次の葉の展開を待っています。青空にすっくと立つスマートな姿が印象的でした。
シロモジ |
この森にはシロモジもたくさん自生してます。
シロモジは葉の形に特徴があって、「ゴジラの足跡」と呼んでいます(個人的に)。秋の黄葉もそれはみごと。マルバノキの紅葉や開花もあって、この森には秋に訪れることが多いです。
クロモジ |
シロモジが出たら、クロモジも。こっちは和菓子に添えられる高級つまようじの材として有名です。
どっちもクスノキの仲間です。
「ベニマンサク池」 |
あと一ヶ月もすると、この池のほとりでハッチョウトンボの姿を見ることができます。
ハッチョウトンボは体長2cmにも満たない小さなトンボ。でも、その真紅の体が立派に自己主張しています。
今日は妻と二人で静かな散策を楽しみました。行き交う人もごく僅かで、まるで貸し切り状態。
なんとも贅沢な休日です。次は10月下旬、できれば平日の静かなときに来てみたいと思います。
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