生駒山 〜足早に過ぎる春を楽しむ(後編)〜


 

  (後編)

【大阪府 東大阪市 平成30年4月21日(土)】
 
 早くも初夏のような輝きを見せる生駒山。後編です。(前編はこちら

 Kashmir 3D

 近鉄石切駅から歩き始め、日下コースを辿って生駒縦走歩道へ。山頂はもうじきです。



 木漏れ日、と言うにはやや強めの陽射し。日陰がなければ暑く感じてしまうほどです。

 コナラ

  見上げるとコナラの花序がたくさんぶら下がっていました。この花序、枝にあるうちは良いのですが、花期が終わってこれらがみんな落ちてしまうと、下にある植物の葉や花に引っかかって残念というか、正直小汚いんですよね。カメラを構える前に一つ一つ取り除いてから撮ったりします。



 しばらく歩いた後、管理道を離れて左手の階段を登っていきます。ここからは再び山道です。



 この山道は、この先つづら折れに高度を上げていく管理道を串刺すようにショートカットして上っていきます。途中木立の間から山頂方向がチラリと見えました。



 林床まで明るいコナラの林。この中を上っていきます。なんか晴れ晴れとした気持ちになります。来てよかったー。

 ウリハダカエデ

 これはウリハダカエデの雄花序。この木は紅葉も素晴らしいのですが、新緑もまたみずみずしくていいですね。ウリハダとは漢字では「瓜肌」と書き、これは樹皮がマクワウリの皮の模様に似ているからだそうです。



 11時55分、急に視界が開けました。山頂部にある遊園地の駐車場です。その名も「生駒山上遊園地」。分かりやすいですね。



  車道を渡り、駐車場をかすめて、山頂に向かう階段を登っていきます。これが結構こたえました。

 大阪平野

  階段途中で小休止。おお、眼下には大阪平野が。

 生駒山上遊園地

 なんだこりゃ。山頂がこんな感じになっている野山歩きは初めてです。登山の格好をしている人もチラホラ見かけますが、もう完全にアウェーな感じです。生駒山には一等三角点が置かれているはずですが、汽車の遊具のエリア内にあるとのことで、目視で確認することはできませんでした。きちんと探していれば見つけられたかもしれません。

 鉄塔群

 この遊園地は入場無料なので、するっと入ってするっと出て行く感じです。
 遊園地の先には鉄塔群が。主に大阪府と奈良県をカバーするテレビとFMのアンテナのようです。地理的にこの辺りに設置するのが一番良さそうですもんね。なんかこっちも遊園地っぽいです。

 アケビ

 テレビ塔エリアを過ぎると再び静かになりました。
 フェンスにアケビが繁っています。薄紫色の花がなんとも儚げでいい感じですね。雌花の中央にミニバナナのような雌しべがありますが、これが秋に美味しい実になります。
 そういえばアケビもしばらく食べてないな。もう10数年も前、広島の阿佐山で食べたきりです。(こちら

 分岐

 この分岐は右手に。ここから摂河泉展望コースになります。「摂河泉」(せっかせん)とは、旧国制の摂津国、河内国、和泉国のこと。現在の大阪府の全部と兵庫県の南東部になります。

 ツボスミレ

 分岐を過ぎるとつづら折れの道となり、ぐんぐん高度を下げていきます。足下には小さな白いスミレ。これはツボスミレですね。ツボは「坪」と書き、これは庭のこと。つまり庭に咲くスミレということなのだそうです。



 写真では平坦な道に見えるでしょうが、実は急降下しています。気を抜くとズリッと滑りそうです。

 アオキ

 少し季節外れではありますが、アオキの実があまりにつややかだったので、写真を撮らずにはおれませんでした。この実を食べる鳥はヒヨドリのほかは知りません。あまり好まれないからこうやって遅くまで残っているのでしょうか。

 ヤマツツジ

 山の斜面にヤマツツジが。野生のツツジの中では最もポピュラーな種だそうです。

 ヤマブキ

 ヤマブキの残り花。周囲にある星形のものは既に散ってしまった花冠の萼片です。これはこれで小さな花みたい。しかし、4月中旬で既に山吹の花が散ってしまっているとは。



 山頂方向を振り返ります。もうずいぶん下ってきました。



 登山道脇にまだ満開の桜がありました。これはおそらく植栽された園芸種でしょう。ぼってりとした八重咲きの白い花冠。名前はちょっと分かりません。

 ホタルカズラ

 いきなり現れたコバルトブルーの群落にはっとしました。ホタルカズラです。わずか1m四方に何株も。宝石をちりばめたようでしたが、気づかずに通り過ぎる人もいました。もったいない。とても自然界の色とは思えない、鮮やかな深みのある碧色です。

 双子塚分岐

 1時10分、双子塚という分岐までやってきました。ここは右に進路をとり、額田山展望台を目指します。



 正面のこんもりしたピークを越えて下っていきます。これが額田山のピークなのかな?



 広葉樹の明るい林床を歩きます。なんと気持ちのよいことか。



 おお、道の先に展望が開けているようです。



 両サイドに木立はありますが、大阪市内が一望できます。なかなかの眺めですぞ、これは。

 枚岡公園 中展望

 いよいよ麓に近づいてきました。もう既に枚岡公園(ひらおかこうえん)のエリア内で、ここは「中展望」という展望台です。標高が低くなった分、民家の屋根に手が届きそうな感じ。ドローン視線といえば分かりやすいでしょうか(かえって分かりにくいか。)。

 大阪平野

 それにしても真っ平らなこの大阪平野。今見えている範囲は、太古、上町台地(現在大阪城がある辺り)を北側から迂回して湾入する内海で、それが湖になりやがて潟になって(最終的には5世紀頃の干拓によって)、広大な平野が形成されたものだそうです。

 管理事務所

 枚岡公園の管理事務所が見えてきました。この公園は、額田山、枚岡山の二つの尾根とその間の谷をエリアに持つ自然豊かな公園。桜の名所でもあるとのことです。

 重願寺

 公園を抜け、住宅地を額田駅に向かって歩いて行きます。途中、重願寺という立派なお寺がありました。立派すぎて中に入るのはやめておきました。

 額田駅

 1時35分、近鉄額田駅に到着しました。今日の野山歩きのゴールです。スタート地点の石切駅の一つ手前の駅になります。かなり簡素な駅でした。
 ここでリュックを下ろして、電車を待って、往きの路線の逆をたどって帰りました。そういえばまだ昼ご飯を食べていません。乗り換えの河内永和駅か久宝寺駅辺りで食べることにしました。
 
 今日はまるで梅雨入り前のような強い日差しの中での野山歩きになりました。大阪に引っ越してきて初めての野山歩きでもあり、楽しかったです。
 これから、あちこちの山に出かけたいと思います。