2024年 11月 小山内裏公園MAP
 
 
2024年11月7日(木) その1
 

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 今年はサザンカの開花が早かったです。10月中旬には咲き始めました。唱歌「たきび」ではサザンカは落ち葉焚きの頃、すなわち木々が落葉する頃に咲く花として歌われていましたが。
 
 
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 野草見本園へ。これはナギナタコウジュの花序。既に花は落ちてしまっています。花序はやや反り気味で、その片側のみに花が並ぶ様子を薙刀の刃に例えた名前だそう。コウジュは「香◯(草かんむりに需)」と書き、この花を乾燥させた生薬の名前だそうです。
 
 

B
 初冬の花、ツワブキ。この花を見ると冬が近づいて来ていることを感じます。そういえば今日は二十四節気の立冬。月日が過ぎるのは早いです。
 
 
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 高さ3mにもなるコダチダリア。皇帝ダリアという名前の方がポピュラーかもしれません。中南米の高地(1600m前後)が原産で、現地では冬が終わった頃に咲くそうです。日本では日が短くなるのを契機に急に成長します。
 
 

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 このプロペラみたいなものはトチノキの葉。小葉は乾燥して棒状に丸まっています。トチノキはこのプロペラ状のもの一まとまりで1個の葉。小葉の根元(扇の要に当たる部分)から長い葉柄が伸びているのが分かります。よく似ているホオノキの葉の場合は、1個1個が独立した葉です。
 
 

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 クヌギの黄葉。和芥子のような色合いです。木々の黄葉(紅葉)にも様々な色合いがありますね。
 
 

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 数年ぶりに内裏池でカワセミを見ました。この池は1年前に掻い掘りをしているので餌となる小魚はいないはずですが、ザリガニは多数残っていて、それを目当てに来ているようです。
 
 

 
 
 
2024年11月7日(木) その2
 

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 アキニレ。関東地方以北では自生はないとのこと。街路樹や公園樹として見ることはままあります。葉には光沢があって一見常緑樹のようですが、この後しばらくすると黄葉して葉を落とします。葉の付け根にある薄く丸っこいものは若い果実。
 
 
A
 大田切池までやってきました。展望デッキから水辺を見下ろすと、秋の斜めの陽射しにアシが輝いていました。
 
 

B
 コバノガマズミです。散策路の突き当たり、静かな樹蔭で赤い実を付けていました。秋の深まりを感じます。
 
 

C
 先日、桜が季節を間違えて咲いているのを園内のあちこちで見ましたが、このジュウガツザクラは秋に咲く桜(春にも咲きますが花期は短いようです。)。ただ、この株は生育が良くないせいか、例年花数は少ないです。
 
 

D
 再び野草見本園へ。リンドウは陽射しを受けて開花します。花の重さに耐えかねて茎が横倒しになっていることが多いです。
 
 

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 アワコガネギク。花が泡立つように密集して付くのが名の由来。初めて名前を聞いたときには「泡」ではなく「阿波」と勘違いしていました。海岸に生えるキクに似ていたからですが、内陸性のキクだそうです。
 
 
F
 この禍々しい見た目の花はオヤマボクチ。本来は1m以上にも成長します。葉の裏には白い綿毛が密生していて、これを集めて乾燥させたものが火口(ほくち)という着火材です。また、若い葉をヨモギの代わりに餅に入れる地方もあるそうです。人間は植物を色々活用してきているんですね。
 
 
G
 ヒキオコシの花序。シソ科で、近縁のカメバヒキオコシやクロバナヒキオコシは見たことがありましたが、本種を見たのは初めてです。その昔、弘法大師が行き倒れている旅人に、近くに生えていたこの草を噛むよう教えたところ、旅人は元気になって起き上がり旅を続けたのだそうです。それで名前が「引き起こし」。別名を「延命草」とも。それにしてもこのての話は大概弘法大師か出てきますね。あと役行者とかも。
 
 

 
 
 
2024年11月9日(土)
 

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 今日は公園主催のサンクチュアリツアーの手伝い。
 シロダモは雌雄異株で、これは雌花序。果実は開花の翌年に熟すので、ちょうど今、今年の花と同時に赤くなった去年の果実が枝に見られます。
 
 

A
 まずは大田切北サンクチュアリへ。木漏れ日の下でリンドウが今日の開花に備えていました。花冠が重いので茎が完全に寝ていますね。
 
 

B
 ハダカホオズキの液果。山野の林の縁などで見かけます。茎は枯れて葉は落ちてはいますが、おかげで葉腋から花序を出している様子がよく分かります。
 
 

C
 こちらはイヌホオズキ。液果は光沢のない黒色に熟します。別名がバカナスというのは、いくら役に立たないと言ってもちょっと可哀想過ぎ。それにしても、昔の人はこれがナスの仲間だと分かっていたということですよね。驚きです。実など似ても似つかないですが。
 
 

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 秋晴れの下での観察会。手伝いをしつつ自らも楽しんでいます。
 
 

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 ミツバアケビの実が完熟。子供の頃、野遊びの途中で食べていました。メロンやマンゴーに負けないしっかりとした甘みがあります。
 
 
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 野生の豆3連発。いずれも1か月ちょっと前に花を咲かせていたものが、この時期実を付けています。まずトキリマメ。鞘は深い赤色です。もう少し秋が深まると鞘が開き、中から黒く光沢のある種子が顔を出します。
 
 

G
 ビオトープの奥にはノササゲ。とても野生のものとは思えないほどのビビッドな紫色です。歩いていて不意にこれに出会うとテンションが上がりますね。そう珍しいものではないのですが。
 
 

H
 最後にヤブマメ。こちらは緑色です。花は薄紫色を帯びているのですが、面白いものです。津島谷戸サンクチュアリで。
 
 

I
 秋の高い空とモミジバフウ。大渋滞の中わざわざ紅葉の名所に行かなくても、絶景は身近にあるものです。
 
 
J
 野草見本園へ。リュウノウギクが地を這うようにして咲いていました。日当たりの良い場所を好み、普通は50cmくらいにはなります。漢字では「竜脳菊」と書き、葉を揉むと香料の竜脳に似た香りがするからだとか。竜脳がどんな香りなのか分かりませんが、樟脳に似ているとのことで、そう言われるとなんとなくイメージできます。
 
 

 
 
 
2024年11月12日(火)
 
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 ヘクソカズラが蔓を垂らしています。まばらに残る実。秋の薄い陽を鈍く反射していました。
 
 

A
 ガマズミの実は鮮やかな赤色。冬になり葉が落ちきっても枝を彩り続けます。鳥たちにとっては貴重な食糧源ですね。ところで、ガマズミという名前。由来を辿ってみると、漢名の「◯(草かんむりに夾)迷」が元なのだとか。「きょうめい」→「かめ」→「がま」と訛っていって、そこに酸味の「ずみ」が合わさったものだそう。ふーん、というかよくそこまで辿れたなという感想です。
 
 
B
 秋が深まりムラサキシキブの実もすっかり熟したようです。紫式部、今年の大河ドラマで一躍スポットライトを浴びました。式部が活躍する平安中期より前は何と呼ばれていたのか、ちょっと気になりますが、元々は玉紫とか紫重実(むらさきしきみ)とか呼ばれていたようです。旧分類ではクマツヅラ科でしたが、今はなんとシソ科だそうです。
 
 

C
 里山の菊と言えばこのシラヤマギクがすぐに思い浮かびます。yamanekoにとっては自然観察を始めた当初から馴染みのある花です。当時、このシラヤマギクとヤマシロギク(イナカギク)がいつもこんがらがっていました。
 
 

D
 チゴユリ。春には白い花を俯き気味に付けていました。その様子が可愛らしいことから「稚児百合」の名が付いたのだそうです。そして秋、葉が落ち着いた黄葉を見せる頃、茎の先端に黒く熟した実を付けます。
 
 

E
 こちらはキブシの紅葉。なかなか渋いです。木々の紅葉には鮮やかさを求めがちですが、こういうのこそが通の紅葉なのかも。
 
 
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 ホウチャクソウの液果。さっき見たチゴユリとは近縁で、実はチゴユリのものよりも青味がかっています。形はチゴユリがやや楕円形なのに対しこちらは球形。大きさも一回り大きいです。
 
 

G
 南広場近くにあるイヌザンショウ。光沢のある黒色の種子がたくさん付いています。実の果肉は乾燥し裂けて落ちてしまった状態。よくこの枝にキジバトがやってきて、盛んに種子をついばんでいます。鳥が実を食べて種子散布に貢献することはよく知られていますが、キジバトの場合それは期待できません。なぜなら種子を完全に消化してしまうから。ヒヨドリ、ムクドリ、ツグミなどを種子散布者と呼ぶのに対し、キジバトを含むハト類、カモ類、キジ類、アトリ類などは種子を消化する種子捕食者なのだそうです。
 
 

 
 
 
2024年11月16日(土)
 
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 ヤブランの種子。熟すにつれて緑色から黒色になっていきます。それにしてもツヤツヤしていますね。
 
 

A
 自生のセンブリです。尾根道の南斜面のところどころに見られます。ただ、周囲に丈の高い草が密生すると負けてしまうので、定期的に除草をしてやる必要があります。昔は生活の中で人の手が入り、自然とセンブリにとっての適地を作り出していたんでしょうね。
 
 

B
 野草見本園へ。リンドウが群生しているように見えますが、これは横たわった長い茎に花が上向きに付いている状況です。一番右の花筒にはちょうどハナアブが頭を突っ込んでいました。
 
 
C
 これはムサシアブミの果実です。高さは20cmほど。有毒で、口内や消化器官の炎症、腎機能障害など比較的強い中毒症状が出るそうです。特に根がヤバいとのこと。
 
 

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 カツラの黄葉。樹の下に立つと甘い香りがしてきます。日差しを受けて黄色く輝く葉もきれいですが、曇天の下での黄葉も味わい深いです。
 
 

 
 
 
2024年11月22日(金)
 

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 園を東西に貫く尾根道の東側半分にはガマズミが多数植栽されています。毎年鮮やかに色づくのですが、株によって朱色に近いものから赤黒いものまで様々です。
 
 

A
 小山内裏公園の木々も少しずつ紅葉していきました。全体としてはまだまだ緑色のものが多いですが。
 
 
B
 ナンキンハゼの実です。緑色の果肉が乾燥し褐色になると3裂し、中から種子が出てきます。ただ、その表面は純白の仮種皮に包まれていて、種子本体は見えませんが。この仮種皮から蝋を採るために昔は各地に植えられていたそうです。
 
 

C
 ヤマコウバシが渋い色に紅葉していました。赤色というより茶色に近いです。冬になると薄いベージュ色になりますが、そのまま春まで葉は落ちません。商機に目敏い人がこの葉を受験のお守りに加工して売り出したとかしないとか。
 
 
D
 内裏池の畔。未明の冷え込みで露が下りた草の葉に朝陽が当たり、白い湯気が立っていました。冬ももうすぐそこです。
 
 

E
 九反甫谷戸の奥へ。これは朝露を湛えたジョロウグモの巣です。巣全体の大きさは直径1m近くありました。巣は横糸のみに粘着物質が付けてあるので、それに露が付くのではないでしょうか。
 
 

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 今年はどの山に行ってもドングリが大量に落ちています。確かに秋以降、熊出没のニュースを聞かなくなりました。山に食料が豊富にあるんでしょうね。秋に食糧事情が良いと雌熊の出産数が多くなるといいます。翌年は子連れ熊との遭遇のニュースが増えるのではないでしょうか。
 
 
G
 ヤマノイモ。葉は対生に付きます。秋の野山を彩る名バイプレーヤーです。
 
 

H
 ヤブムラサキ。葉を触るとビロード触感の毛が密生しています。この毛は細枝や果実にまでも。仲間のムラサキシキブの実はツルッとしていて、この見た目で区別が付きます。
 ヤブムラサキはこの公園では少なく、yamanekoもこの場所の数株しか知りません。
 
 

I
 サルトリイバラの果実。美味しそうにも見えますが、中はスカスカです。
 
 

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 歩道を覆い尽くすミズキの落葉。レモンイエローの絨毯になり、yamanekoの好きな風景の一つです。
 
 

K
 ナンテンの実も色づきました。難を転ずるからナンテン、といいますが、漢字では「南天」なので、こじつけでしょうね。中国原産で中国名が南天(「南天竺から渡来」の意)だそうです。咳止めの成分はこの実から抽出されるとのこと。ところで最近南天のど飴、見かけませんね。。
 
 

 
 
 
2024年11月27日(水)
 

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 野草見本園で。これはセキヤノアキチョウジ。普通のアキチョウジよりも花筒が長いのが特徴。あと、萼の裂片の尖り具合が鋭いとかも。
 
 
A
 ユリノキの黄葉。半纏の形をした葉が高さ10mもあろうかという木全体を覆っていました。見事でした。
 
 

B
 園内のあちこちでゴンズイの赤い実が見られるようになってきました。中の黒い種子が露出するのが成熟したサイン。
 
 

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 ケヤキの黄葉は黄色というより茶色。やがて落葉しますが、そのとき葉は一個一個にばらけず、葉が数個付いた状態で枝先ごと落ちます。
 
 

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 シャクチリソバの実です。普通のソバの実に比べ3倍くらい大きいです。一般的に食用にはしません。
 
 

 
 
 
2024年11月28日(木)
 
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 センリョウの実が色づき始めました。もうすぐ師走。正月用に用いられるので、これから店頭に並ぶことの多い樹木です。
 
 

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 ツワブキの花は今が盛り。葉もツヤツヤしています。それで「艶蕗」。
 
 
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 バーベキュー広場のメタセコイアです。午後の日差しを浴びて自ら発光しているかように輝いていました。