2024年10月2日(水)
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クサギの果実が熟し始めました。赤い星型のものは萼で、花後に子房を包むように閉じていたのが、果実が色付くにつれて開いたものです。花序の右手のものはまだ萼が閉じている状態です。
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アカネの花。茎には下向きに棘が生えていて、フェンスや他の植物を足がかりによく茂ります。花冠の大きさは3、4mmと小さく、花の時期よりも特徴的な四輪生の葉が展開する時期の方が良く目立っています。
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ヤブマメ。マメ科特有の蝶形花です。先日から似たような形状のトキリマメ、ノササゲの花が見られましたが、トキリマメはタンキリマメ属、ノササゲはノササゲ属、ヤブマメはヤブマメ属とそれぞれ違う属に分類されているようです。いったい何に着目した分類なのか?
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内裏池の畔にやって来ました。ミゾソバの花は可憐です。花弁の先端がほのかに桃色になっているのがいいですね。写真右のものは開花前の状態です。ソバと同じタデ科の植物です。
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野草見本園へ。他の植物の根際でホトトギスが咲いていました。しかしこれほど面白い構造の花も珍しいです。6個の花弁のように見えるのは外花被片(幅が広い方)と内花被片(狭い方)。花冠中央の柱頭は3つに分かれて平開し、その先端が更に2つに裂けています。雄しべはその後ろ側に6個あります。単子葉植物は基本構造が6のものが多いですが、それにしても造形の神の悪戯かと思うほど複雑です。
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2024年10月3日(木)
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里山再生の作業でどんぐり畑の斜面へ。6月に保護作業をしたナンテンハギが勢いよく茂っていました。小葉がナンテンの葉に似ているからこの名前になったそうです。別名をフタバハギといい、これは小葉が対になって2個付くことから。一対しか付けませんがこれでも立派な偶数羽状複葉だそうです。
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アキカラマツの花序。細い糸状のものをよく見ると、細長い萼片と花糸の先に葯をつけた雄しべの2種類があることが分かります。名前は「秋唐松」ですがもっぱら夏に咲く花です。
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2024年10月7日(月)
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アキノウナギツカミの花序です。まだ開花はしていない状況。すぐ近くに生えているミゾソバと同じタデ科で、花序や花冠の構造もよく似ています。
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内裏池脇の東屋の奥にツクバトリカブトの保護エリアがあります。今年も咲き始めました。花茎は1mを超えますが周りに寄りかかるものがない限り直立することは稀で、だいたい根際から倒れています。
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このイヌショウマも保護エリアに生えています。ツクバトリカブトよりも花茎は強く、直立か、倒れるにしても弧状になっていることが多いです。花は白い髭のようなものが目立ちますが、これは雄しべ。萼や花弁は早いうちに落ちてしまうのだそうです。
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津島トンネルを抜けて調整池の近くまでやって来ました。これはカワラケツメイの果実です。この鞘の中に黒く四角い豆(種子)が5、6個入っています。この果実や葉を乾燥させて煮出し、豆茶として茶の代用としたそうです。現在も製品として販売されています。なんか薬効がありそうですね。
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イヌタデ。葉に辛味がないことをもって「イヌ」の名を冠したようです。焼きアユを食す際に欠かせない蓼酢はピリッとした辛味が身上で、これはヤナギタデの葉から作られます。イヌタデにはその辛味がないことから、人間様の役には立たない(すなわち、イヌ用にするくらいがちょうど良い)ということで名がつけられたようです。期待する効果が得られないようなものに「イヌ」と付けるのは植物の名前あるあるです。
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2024年10月11日(金) その1
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南広場の芝生の上に愛嬌のあるキノコが。大きさはテニスボールくらいで、数個のかたまりが1mくらいの間隔で弧状に生えていました。調べてみたところどうやらオオシロカラカサタケのよう。中華まんみたいで美味しそうですが、有毒だそうです。
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ノダケの花と果実。背景と色合いが被って分かりにくいですが。暗紫色ものが花序で、これがしばらくすると左上のように結実していきます。茎は人の背丈ほどに伸びるので、撮影にも工夫がいります。
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コマツナギに果実ができていました。マメ科の植物に特有の形状で、こういう果実を「豆果」と呼ぶそうです。そら豆やえんどう豆と同じ形ですね。
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秋の七草の一つ、ススキ。別名は尾花です。一か所から株立ちに茂るのが特徴で、よく似るオギやアシとはこの点で異なります。ちなみにこれら似た者同士をまとめてカヤと呼ぶことがありますが、これは葉を刈って屋根を葺いたので「刈屋根」、「刈屋」が訛ったものだそうです。
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セイタカアワダチソウ。秋の午後、傾いた陽射しを受け静かに立つ様子に風情を感じます。
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クマシデの果穂が色づいてきました。見た目ホップのようです。これから秋が深まると鱗のような果苞がばらけて落ちていきます。
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ハナイカダの果実は葉の中央に付きます。ということはここに花が付いていたということ。面白いですね。虫にとっては足場が安定して都合が良いのかも。花にとっても虫が来てくれると嬉しいでしょう。
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コセンダングサの頭花。舌状花はなく筒状花のみが集まってできています。この仲間は舌状花の有無や総苞片の形で見分けられるとのこと。名前はセンダングサよりも小型という意味で「小センダングサ」ですが、実際には大きさは同等で特に小さいということはないようです。
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いつもyamanekoを悩ませる野菊。葉や総苞の形で見分けるのが一般的ですが、これがなかなか難しい。これはそんな野菊の中でもメジャーなシロヨメナです。葉柄はほとんどないかごく短いです。
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こちらはシラヤマギク。葉柄は長く翼があります。頭花の舌状花は疎らでやや反り返るところが侘び寂び(大げさか)を感じさせ、秋の野辺によく馴染んでいます。シロヨメナが里のキクなら、このシラヤマギクは野のキクといった印象を受けますす。
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2024年10月11日(金) その2
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鮎道の脇にぽつんとツリガネニンジンが。もう少し明るい場所を好む花ですが。葉は通常3、4個が輪生しますが、写真では下の方は互生、その上は対生になっています。図鑑で調べると稀にそういう例もあるのだとか。萼片が反り返るのはツリガネニンジンの特徴。
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ノイバラの実。正確には果実ではなく偽果と呼ばれるもので、この中に果実が数個から10数個入っています。ノイバラはバラの園芸品種の台木に用いられますが、ノイバラ自体の花も清楚で綺麗です。
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この時期の藪ではカナムグラが旺盛に茂っています。茎や葉柄に下向きの棘が密生していて、他のものに絡みつくのは得意技なのです。雌雄異株で、これは雌花序。なんか戦闘的な見た目ですね。尖っているのは雌花の苞です。
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これはカナムグラの雄花序。円錐型の花序で長さは20cmくらいになります。写真の雄花はまだみな開花前のようでした。
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シャクチリソバ。ソバより後の時代に日本に入ってきたものだそうです。実は普通のソバより一回り大きいです。元々ここが公園になる前からこの場所に生えていたものでしょうが、今はこのエリアを保護して残しています。
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これはイヌゴマだと思います。本来は湿地に生える植物ですが、尾根上のこんな乾いた環境にも生えるものなのか。
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コムラサキの実が宝石のように美しく実っていました。ムラサキシキブやヤブムラサキの実は疎らに付きますが、コムラサキは集まって付くので見た目も華やかで、庭木として好まれます。
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西展望台にあるハナゾノツクバネの垣根で。セイタカアワダチソウにツマグロヒョウモンのつがいが来ていて、一生懸命に蜜を吸っていました。雄の方は羽が随分痛んでいます。一時期、セイタカアワダチソウが秋の花粉症の原因だとする風評がありましたが、本来虫媒花なので(花粉を飛ばす風媒花ではない)これは濡れ衣だということに。この写真を見てもそうと分かりますね。
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センダングサの仲間のようですが頭花に小さな白い舌状花が見えます。これはコセンダングサとシロノセンダングサの交雑種とされるもので、アイノコセンダングサというのだそうです。これが標準和名なのかな?
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猛暑が長引いた異常気象のせいなのか、この時期になって園内のサクラがぱらぱら咲いています。本来は来春のための花芽だったはずなのに。一方、秋に咲くジュウガツザクラは咲いていません。いったいどういうことなのか。
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秋の陽に輝くチカラシバの穂。猫じゃらし(キンエノコロ)を大型にしたような姿をしています。漢字では「力芝」と書き、その名のとおり引っこ抜こうとしてもそう簡単には抜けません。
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2024年10月16日(水)
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コシオガマ。一年草で毎年種子から育つのですが、他の植物に寄生して育つこともできるのだそうです。この場所では去年はあまり生えませんでした。今年は結構咲いています。
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ヤクシソウが咲き始めました。1cmほどの頭花を枝先や葉腋に数個ずつ付けます。群生することが多く、 黄色い花が斜面を広く覆っているのをよく見かけます。
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2024年10月17日(木)
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大田切東サンクチュアリの最奥部での保護作業。これはホウチャクソウの果実です。大きさは1cmくらいあり、光沢を持っていてなかなか存在感があります。
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ハンショウヅルの果実。果実にも色々な形があるものです。羽毛の付け根にある黒い部分が果実です。人気のない森の中で静かに佇んでいました。
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サンショウの実が赤く熟していました。もうじき実が開裂して中から黒く光沢のある種子が顔を出すはずです。
今回は果実3連発でした。
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2024年10月19日(土)
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シュッと立つヤマハッカ。写真を撮ってと言っているかのようです。名前にハッカと付いていますが、ハッカのような香気はほとんどありません。
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ヤマハッカの花をアップで。シソ科に特徴の唇形花です。下唇は左右が内側に巻いた舟形で、この部分に虫が乗ると中から雄しべと雌しべが顔を出す構造。上唇は立ち上がり4裂しています。シソ科で上唇が4裂するのはヤマハッカだけなのだとか。
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花期が終わった後のヒガンバナ。花茎の先に花が5個から8個付いていたことが分かります。本来であれば先端に果実ができるところですが、日本国内のヒガンバナは遺伝子の構造上種子ができないと言われています。髪の毛のように垂れ下がっているのは枯れた花柱ですね。
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キブシは来年の花芽の準備を既に終えています。花序は今は枝に沿って伸びていますが、開花直前には垂れ下がります。
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2024年10月27日(日)
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ノブドウの実。ヤマブドウは美味しく食用になりますが、ノブドウはだいたい中に寄生バエが入っていて食べられません。
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玉すだれ? これはエゴノキの果実。これから冬になるとヤマガラが好んで食べます。
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ススキの茎にオオアオイトトンボのペアが。上がオスでしたがメスです。オスの尾の先端でメスの首根っこを掴んでいます。この「尾つながり」の状態は交尾後のメスを他のオスに取られないよう拘束しているのだそうです。
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ツマグロヒョウモンのメス。コセンダングサの頭花にやって来ていました。気温が下がってきたからか動きがやや緩慢でした。成虫は越冬しません。
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センニンソウの実。有毒で、別名を「馬喰わず」と言うそうです。
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イヌホオズキ。花弁が反り返るのが特徴。この実も有毒です。よく似る帰化植物のアメリカイヌホオズキというのもあります。
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ササバギンランの果実。高さは25cmほどです。背景に紛れてつい見逃してしまいそう。
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これはアマチャヅルか? 葉は普通5個の小葉からなりますが、たまに3個や7個のものもあるそうです。小葉や実の様子はアマチャヅルそのものです。
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アラカシの果実。ストライプ模様がお洒落な感じです。ブナ科のどんぐりには受粉後その年の秋に成熟するタイプと翌年の秋に成熟するタイプがあります。アラカシは前者のタイプ。
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パークセンターの前に季節の植物などをPRするコーナーがあり、そこにフジバカマが植えられていました。近年、野生のフジバカマを見かけることはほとんどなくなりました。
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2024年10月31日(木)
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野草見本園でキチジョウソウが咲き始めました。漢字では吉祥草と書き、吉事があると開花するとの言い伝えによるものだそうです。この花が咲いているということは誰かに良いことがあったということですかね。
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今日は大田切東サンクチュアリでリンドウの保護。道なき道を行き、谷戸の奥の斜面にようやくお目当てのリンドウを見つけました。周辺のアズマネザサなどを除去して日当たりを確保しました。
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こちらはコウヤボウキ。茎の先に花を1個付けます。線香花火を瞬間冷凍したかのような繊細な美しさです。
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落ち葉の中からひょろっと伸びたキノコ。ハリガネオチバタケです。高さは8cmほど。ちょっと乾き始めているようです。
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