2024年 8月 小山内裏公園MAP
 
 
2024年8月1日(木)
 
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 1か月前に花を付けていたオトギリソウ。今は若い実を付けていました。猛暑にも負けていません。
 
 

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 キンミズヒキが咲き始めました。タデ科の植物にミズヒキというものがあり、この花序がミズヒキに似ているからということでのネーミング。特に似ていないと思うのですが。
 
 

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 他の植物に覆い被さるように茂るヒルガオ。なんだかマウント合戦の様相です。ところで、アサガオ、ヒルガオ、ユウガオまではよく聞く名前ですが、調べてみるとヨルガオというものもありました。熱帯北アメリカ原産で、明治初期に移入されたものだそう。やっぱりというか当然花は夜に咲くようです。ちなみに、ユウガオだけがウリ科、あとの3つはヒルガオ科です。
 
 
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 ダイコンソウ。さっきのキンミズヒキと同じくバラ科に属しています。両方とも見た目はバラとは程遠いですね。イガイガのものは先端が鉤形になっている痩果が寄り集まった集合果。
 
 

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 ミソハギは真夏の日差しが似合います。お盆に仏壇に供えるので別名を「盆花」。そういえば8月に入ったのでお盆も近いです。
 
 

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 カリガネソウの開花一番乗り。花の盛りは今月の中下旬です。この花冠の様子から雁(かりがね)を連想したという先人の想像力に脱帽です。
 
 

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 マツカゼソウの小さな花。花冠の中央にもう若い果実ができています。4弁の花といえば多くはアブラナ科ですが、これはミカン科。
 
 

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 ヤブミョウガの果序です。本来は直立するのですが、背が高いのでかしぎがち。果序は階層状になり、丸い果実を疎らに付けます。熟すと色が濃くなり、紺色から黒色へ。
 
 

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 ゴツゴツとしたコブシの集合果。少し色づき始めています。秋になると黒く乾燥し裂けるので、赤い色になるこの時期が一番見栄えが良い時期だと思います。
 
 

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 もうヤマハギが咲き始めました。萩と言えば秋の七草の一つ。連日の猛暑で世間に全く秋の気配は感じられませんが、暦の上ではあと1週間で立秋です。
 
 

 
 
 
2024年8月8日(木)
 

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 盛夏を迎え草花の緑もいよいよ濃さをましてきました。これはガガイモの花。花冠の内側に毛が密生しているので白っぽく見えていますが、元々は赤紫色をしているようです。
 
 

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 先日見たハキダメギクもそうですが、このヘクソカズラもなかなかのネーミング。観賞する気持ちを持ってしっかり見ると、その花冠には中世ヨーロッパの装飾品に通じる気品があるような気もするのですが。(言い過ぎか)
 
 
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 キツネノマゴ。経8mmほどの小さな唇形花を付けています。名前の由来はよく分かっていないそうですが、yamanekoとしてはマゴは「孫」ではなく「馬子」なのではないかと推察。なぜならキツネの孫はやっぱりキツネなのですから。
 
 

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 ミズキが枝先に果実を付けていました。まだ未熟で、これから黒熟していきます。ミズキは 瑞々しい芽吹きや秋の見事な黄葉など四季を通じて楽しませてくれますが、実の色が変化していく様子も面白いです。
 
 

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 九反甫谷戸にやって来ました。今ちょうどタマアジサイが開花しています。西日本では出会うことのないアジサイで、総苞に包まれた開花前の花序がピンポン球のよう。初めて見たときは目も丸くなりました。
 
 
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 キツネノカミソリ。キツネノマゴ、キツネノボタンと共にキツネノ○○シリーズです。それぞれ全く近縁関係はありませんが。
 
 

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 ホソバシュロソウは緑色の花を付けるアオヤギソウの変種で、別名をナガバシュロソウ。細葉でない単にシュロソウというものもあり、こちらもアオヤギソウの変種だそうです。暗紫色の花は、ここに咲いているよと言われないとなかなか気づかないです。
 
 

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 オミナエシの白花バージョンのオトコエシ。一応オミナエシとは別種です。オミナエシより全体的に頑丈そうな姿をしていますが、それが男の名を冠している理由か。そういえばオトコヨモギやオトコヨウゾメなど「オトコ」の名が付いている植物はありますが、「オンナ◯◯」というのは思いつきません。なにかあったっけ。
 
 
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 公園の東側にある通称調整池にやって来ました。これはヒメガマ。先端の雄花穂(既に花粉を出し終えている)と雌花穂(いわゆるガマの穂)が離れているのが他のガマと違うところ。間に茎が見えています。
 
 

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 真夏に咲くクサギ。雄しべや雌しべが長く突き出ています。花冠の根元にある薄紫色のホオズキ状のものは萼。秋にはこれが紅くなり星型に開きます。
 
 

J
 ノブドウの実が色づき始めていました。色とりどりなのはタマバエなどの幼虫が寄生するためで、正常に熟すものは少ないのだとか。したがって食べるのには適さないそうです。
 
 

 
 
 
2024年8月17日(土)
 

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 今回は夕暮れからのヤマネコ散歩。尾根道を西に向かいます。
 これはテッポウユリか。よく似たものにタカサゴユリというものもあり、この公園内にも生えています。違いはタカサゴユリの花冠の外側には薄い紫褐色の筋模様が入るところ。写真のものにはそのような模様は見られません。
 
 

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 コヤブタバコの頭花は下向きに付きます。なんだか街灯のよう。名前に「コ」(小)が付きますが、本家のヤブタバコと大きさにはそう変わりはありません。むしろ頭花はコヤブタバコの方が大きいくらいです。
 
 

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 ヤマユリの刮ハ。珍しく茎が直立したままのものに出会いました。ヤマユリは丈が大きく大体はしな垂れてしまい、地面近くの位置から果実だけ立ち上げていたりします。
 
 
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 キンミズヒキ。今が盛りです。この花も頻繁に見かける割には姿勢の良いものにはなかなか出会いません。
 
 

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 オミナエシは秋の七草の一員。数ある秋の花の中で、七草の選定基準はきになるところです。元になったのは山上憶良が詠んだ歌だそうで、「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種(ななくさ)の花」というもの。秋の野原に出て咲いている花を数えたら7種類だった、という意味で、この歌の後に有名な「萩尾花…」の歌が続くのだそうです。なんのことはないたまたまこの7種だったというオチでした。
 
 

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 今年はカリガネソウの花付きが良くないようです。株は勢い良く茂っているのですが。
 
 

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 多摩丘陵の夕暮れ。遠く埼玉方面に入道雲が沸き立っています。青空に純白の入道雲も夏らしくて良いですが、こういうのも風情があります。ヒグラシの寂しげな鳴き声ともマッチしていました。
 
 
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 夜の小山内裏公園。ツクツクボウシの羽化に遭遇しました。殻から抜け出て翅を伸ばし、乾くの待っているところのようです。8月後半になって他のセミが少しずつ少なくなってくると、このツクツクボウシの鳴き声が目立ってきます。
 子供の頃、夏休みの宿題のつじつま合わせで焦っているときに、そういえばツクツクボウシの鳴き声が聞こえていたような気がします。こちらの焦りを更に掻き立てるかのように。これがアブラゼミだと「えーい、もっと遊んでやれ」となるし、ヒグラシだと「ああ、もうムリだわ」となってしまいます(yamanekoの主観)。絶妙な鳴き方なんですよね。
 
 

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 妖艶な美しさを醸すカラスウリの花。真っ暗な中でこの姿をしている意味があるのだろうか。少なくとも人間様にとっては意味のない装いですが、この姿が見えている昆虫がいるのだから自然は不思議です。
 
 
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 メマツヨイグサ(雌待宵草)。カラスウリ同様に夜に咲く花です。日中に既に閉じた花を見ることはままありますが、やはり夜に見ると花が生き生きとしています。よく似るマツヨイグサ(待宵草)は花が萎むと赤くなるので、見分けがつきやすいです。オマツヨイグサ(雄待宵草)は花冠が2回りくらい大きいので、こちらとの違いも明確。これら3種はいずれも外来種です。
 
 

 
 
 
2024年8月23日(金)
 

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 南広場手前のイヌザンショウ。前の冬に大掛かりに剪定され、見た目枯れ木のようになっていましたが、春になって残された枝に葉を茂らせ、ちゃんと花を付け、そして例年どおりに実をつけました。生命力ありますね。
 
 
A
 ドッグランのフェンスにヤブツルアズキが茂っていました。花は複雑な構造をしていて、一応マメ科に特有の蝶形花(旗弁、翼弁、竜骨弁からなる)ですが、なぜか左右非対称。ねじれまくっています。
 
 
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 夏前に保護作業をしたコバノカモメヅル。周囲の植物に負けずに蔓を伸ばし、花を多数付けました。
 
 

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 野草見本園へ。カワラケツメイがいくつか花を付けていました。
 植物の標準和名には中国での呼び名をそのまま用いているものも多くあります。カワラケツメイは「河原に生える決明」ということで、この「決明」がエビスグサの中国での呼び名。つまり、カワラケツメイとは「夷草(えびすぐさ)に似ていて、河原に生える草」ということになりますね。
 
 

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 パークセンター前の広場に小さな湿生植物コーナーが作られています。そこに咲いていたヒメオトギリ。花の大きさは8mm程度と小さいです。各地の休耕田や野原の湿地などで見られるそうです。
 
 

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 ヤマホトトギス。花期はもう終わりかけで、花序の左側には実ができています。
 
 
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 内裏池の畔へ。キツネノカミソリにも実ができていました。少しずつ秋が近づいてきているようです。
 
 

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 これはセンニンソウか。写真右上にボタンヅルの葉が見えていています。両者の花はよく似ていますが、図鑑を基に見比べると、蕾の先端が尖り気味なところとか、雄しべが萼(花弁のように見えるもの)より短いところなど、センニンソウの特徴を備えていることが分かります。ただ、ボタンヅルの葉があるということは、これからそっちも咲くのかもしれません。
 
 

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 ツリガネニンジンです。これも保護作業を行ったもので、勢いよく花を咲かせていました。もともと多摩丘陵のあちこちで見られたものです。
 
 

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 クサギ。もう花は落ち、ほおずき状に膨らんでいる萼の中に果実ができつつあるのが分かります。今はまだ黄緑色をしていますが、秋が深まると濃いコバルトブルーになります。その頃には萼も星型に開き、安物のブローチみたいな姿になります。
 
 
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 アカメガシワにも実りの季節がやって来ていました。果実が熟すといくつかに裂け、中からツヤツヤした種子が現れます。アカメガシワは大型の木なので、こんな果序をたくさん付けています。鳥たちもこれを好み、キビタキやコサメビタキ、メジロなど小型の鳥にとってはご馳走のようです。
 
 

 
 
 
2024年8月31日(土)
 
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 ノロノロ台風10号の影響で連日の雨でしたが、その合間を縫って散策へ。今センニンソウがあちこちで盛りを見せています。この長い雄しべを仙人の髭とか白髪に例えての名前だとか。
 
 

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 野草見本園へ。コバギボウシは開花後一日でしぼんでしまいますが、花数が多いので次から次へと涼やかな姿を見せてくれます。
 
 

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 大田切池の畔に下りてきました。水面にせり出すように枝を伸ばしていたのはクリ。こんな場所に植栽することはないでしょうから、おそらくもともとここに生えていたものが公園造成に伴い大田切池を造った際にちょうど水際に位置するようになったのだと思います。熟した実は池に落ちてコイやカメの餌になっていそう。
 
 

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 こちらも似たような場所に生えていたクヌギ。昔は谷戸の山際の斜面に位置していたであろうこの辺りは、樹の実や薪・柴など生活の糧を得るための重要な場所だったはずです。
 
 
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 再び野草見本園に戻ってきました。ススキの根元にナンバンギセルが。ススキやミョウガなどに寄生するのが特徴で、これは開花直前の姿です。名前は、開花した状態が南蛮渡来の煙管の雁首のように見えるということでしょう。確かに装飾を施した煙管に見えないこともありません。