2024年 7月 小山内裏公園MAP
 
 
2024年7月3日(水)
 
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 オトギリソウが咲き始めました。夏本番です。ヤマトシジミが訪れていましたがもっぱら蕾の方に執着しているよう。何か理由があるのか。
 
 

A
 チダケサシの花序をアップで。繊細ですね。花弁は細長くへら状で、5個あります。雄しべは10個。
 
 

B
 ウマノスズクサの花。パイプ状になっていて、根本の球状の部分に葯や花柱があります。先端が暗褐色になっていますが、そこには内側に向かって細かい毛が生えていて、虫が入りやすく出にくい構造になっているそうです。
 
 
C
 梅雨の期間中に見るツユクサ。もちろん梅雨明けしてからも見られます。
 
 

D
 シオデの雌花序です。3裂した柱頭が目立っています。数年前にテレビでよく見た新型コロナウイルスの顕微鏡画像がこんな感じではなかったか。
 
 

E
 ヒヨドリバナも咲き始めました。花冠から針金みたいに飛び出しているのは柱頭。シオデの柱頭とはずいぶん形が異なります。
 
 
F
 こちらはアキノタムラソウの花序。シソ科に特有の唇形花です。よく見ると花冠が細かい毛に覆われていることが分かります。
 
 

 
 
 
2024年7月8日(月)
 

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 独特の形をしたウマノスズクサの花。これでも花です。この花と馬の鈴にどんな関係があるのかと思いましたが、関係あるのは花ではなく実の方だそう。実が熟すと縦に切れ目が入った男爵いものような形になってぶら下がり、これが馬の首に着ける鈴に似ているということのようです。ところで、その鈴ってどんなんだっけ。んっ!?ジャガイモのことを馬鈴しょというのはこういうことか?
 
 
A
 ミソハギ。お盆の頃に咲き、仏前に供えることが多かったことから盆花(ぼんばな)と呼ばれたりします。ミソハギを漢字で書くと「禊萩」なので、いずれにしても宗教的なものと関係の深い植物なのかもしれません。
 
 

B
 コマツナギの花序。花は下から順に咲いていきます。マメ科の植物で、果実はインゲン豆を小型にしたような形をしています。図鑑には「草本状の小低木」とありました。草ではなく樹木だったんですね。
 
 

C
 クサレダマが咲いていました。本来は直立するものですが、ここで見るものは大概横向きになっています。元々湿原など湿り気のある場所に生える植物なので、ここでは元気良く育たないのかもしれません。
 
 
D
 小さな小さなミズタマソウの花。よく見ると花弁は2個あり、それぞれ2裂しています。果実は丸く、白い毛が密生していて、これが露を集めて水玉のようになるので水玉草と名付けられたそうです。
 
 

E
 これはコゴメウツギの果実。大きさは2、3mmと小さく、それも萼に包まれていてその大きさ。実の本体は更に小さいというわけです。種子は1.5mmほどだとか。そんなに小さなカプセルの中に将来樹木に育つ素が入っているんですから不思議です。
 
 

F
 ハナイカダに黒い実が熟していました。ここに実があるということは、同じ場所に花があったということになります。本来は葉腋(葉の付け根)から柄を伸ばし、その先に花を着けるのが一般的な植物の構造ですが、ハナイカダはその柄が葉の中央の葉脈に沿って合着し、ちょうど葉の中央辺りで花を咲かせているわけです。
 
 

G
 初めジャノヒゲかと思い、しゃがんでよく見てみるとヒメヤブランのようでした。ヤブランの方は花序が長く(20cmくらい)花もたくさん付きますが、ヒメヤブランは背が低く花数も疎ら。また、種子も、ヤブランは光沢ありますが、ヒメヤブランはマットな感じです。
 
 
H
 これはヤブマオでしょうか。茎の上部に付くのは雌花序なのだそうです。イガイガの毛が多く、イラクサの仲間であることが一見して分かります。
 
 
I
 オオバギボウシ。この花を見ると夏がやって来たなと感じます。成長すると花序は写真のように長くなりますが、伸びる前の若い蕾の集まりが百合根みたいな感じ。これが橋の欄干に付いている擬宝珠に似ているというのが名の由来だそう。
 
 

J
 ヨウシュヤマゴボウ。この花序は、先端の方が開花状態で、そこから根元に向かうにつれて実が成熟しつつあります。北アメリカ原産で、明治期に渡来したものだそう。全体に有毒です。
 
 

K
 ヤマユリは花冠が大きく、どれもこんな風に茎がたわんでいます。1本の茎に多いものでは20個ほども花を付けるといいますから、案外茎は強靭なんですね。よくしなるから強いのか。
 
 

L
 ワルナスビ。悪い茄子というくらいですから、人間にとって厄介な存在だということです。強力な繁殖力であっという間にはびこり、一旦広がると根絶は極めて難しいとのこと。しかも株全体に硬く鋭い棘が生えていて、根も含めて毒性が強いといった次第。実は黄色いミニトマトみたいで、これも強毒。
 
 

M
 コムラサキ。枝に対して葉が対生に付いていて、その葉腋から花序(果序)が出ています。写真右手が枝先の方で、右端の花序はまだ蕾。その左の花序はちょうど開花状態で、その左は花が終わり枯れた萼が残っている状態。更に左は若い果実の状態です。枝の根元側から花が咲いて実になっていくというのが見て取れます。
 
 



 
2024年7月18日(木)
 
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 タケニグサの花序。綿毛のように見えるのは雄しべで、もう仕事を終えて枯れ始めているところです。ちなみに花に花弁はありません。
 
 

A
 ダイコンソウが地を這うように伸びていました。ツル性の植物ではいので、茎が倒れた状態で花を付けたのだと思います。こんな見た目ですがバラの仲間です。
 
 

B
 ヤマブキに実ができていました。「蓑(実の)ひとつだになきぞ悲しき」のはずなのに。
 実ができないのは八重咲きのもので、これは雄しべが花弁状に変化(雌しべは退化)しているから。一重(花弁5個) のものはちゃんと結実するようです。
 
 
C
 ナンキンハゼの若い花序。根元の方に数個の雌花が付き、先端にかけてたくさんの雄花が付きます。雌花はもう結実していますね。
 
 
D
 こちらは雄花が成熟して花粉を飛ばした後。随分花序が長くなっています。
 
 

E
 ヤブガラシ。花弁は緑色でごく小さく、すぐに落ちてしまうので、残ったオレンジ色の花盤がよく目立ちます。そこから大量に蜜を出すのでいつも虫が来ています。今日はマメコガネが来ていました。
 
 
F
 オニドコロ。雌雄異株で、雄の株では花序が直立し、雌の株では花序が垂れ下がります。「オニ」の名が示すように、葉も厚く大きく、つるを絡めて藪を覆うようにく繁っています。
 
 

G
 タマアジサイの名の由来となったのがこの蕾の様子。この中に装飾花と両性花が格納されています。
 
 

H
 これはクサギの若い花序です。この段階では萼は白っぽいですが、もうじき薄い赤紫色になり、その中から花冠が出てきます。クサギといいつつ花には芳香があり、臭いのは葉をちぎって揉んだときとかです。
 
 
I
 ヤブカンゾウも雄しべと雌しべが花被片のように変化して八重咲きになっているものです。したがって結実しません。一方ノカンゾウは一重咲き。ただ、ノカンゾウも普通は結実しないのだとか。別の理由で?
 
 

J
 なんだか禍々しい見た目ですが、これはシャクナゲ(おそらく園芸種)の果実。まだ花柱が残っているのでちょっとエイリアンっぽいです。それともメデューサか。
 
 

K
 トチノキに若い実ができていました。花は塔状に多数付いていましたが、その中で両性花は数少なく、更に果実として育つのは多くて数個です。
 
 

 
 
 
2024年7月25日(木)
 

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 梅雨も明け、猛暑の園内。尾根道を西に向かいます。
 これはシモツケ。花冠から雄しべが長く飛び出しているのが分かります。
 
 

A
 路傍に低く茂るように生えていたハキダメギク。小さく可憐な見た目に反してずいぶんなネーミングですが、有名な植物分類学者牧野翁の名付けたものだそうです。
 
 

B
 シュロの果実。熟すと青黒くなります。大きさはブルーベリーの実ほどで、中に腎臓の形をした種子が入っています。
 
 
C
 ウワミズザクラの果実が色づき始めました。見るからにみずみずしく、美味しそうです。
 
 

D
 九反甫谷戸にやって来ました。キツネノカミソリです。何がカミソリなのかというと、その細長い葉。ただ、実際にササの葉のように切れるというわけではなく、狐が使うのにちょうどよいようなカミソリということだと思います。すなわち人間様の役には立たないがということですね。
 
 

E
 以前より数は少なくなりましたが、この谷戸にはウバユリの群落があります。この状態で満開。開花の時期がやってくると、それまで直立していた蕾が水平に向きを変えて、わずかに花弁を開くのです。背丈は胸の高さほど。これら林立しているのはなかなか壮観です。
 
 

F
 野草見本園へ。コバギボウシが開花していました。涼しげですね。俯き気味に咲くのが特徴です。