2024年 5月 小山内裏公園MAP
 
 
2024年5月2日(木)
 

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 今年もマルバウツギが咲きました。yamanekoの特に推しの花です。珍しい植物ではありませんが、なぜか印象に残り、例えば両神山の登山口に咲いていた様子などはよく覚えています。
 
 

A
 尾根道脇に立つホオノキ。大きくて重そうな花を付けています。パラボラアンテナみたいです。花からは甘い匂いが漂っていました。
 
 

B
 ミズキの花序です。よく小さな甲虫などが蜜を求めて集まっています。約一月遅れでよく似たクマノミズキが開花しますが、両者は開花時期だけでなく、葉の付き方で見分けることが可能。ミズキは互生、クマノミズキは対生に葉が付きます。
 
 

C
 シラン。紫蘭の名前のとおり鮮やかな紫色で、よく目立ちます。てっきり園芸用に生み出されたものと思っていましたが、まれではあるものの自生のものがあり、それが観賞用として栽培されたのだそうです。
 
 
D
 ジュウニヒトエのような姿ですが個々の花はキランソウのよう。なんだこれ、と思い調べてみたら、北ヨーロッパ原産のセイヨウジュウニヒトエという植物だそうです。初めて見た気がします。観賞用やグランドカバーとして移入されたものが、逸出して野生化しているのだそうです。
 
 

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 コデマリ。花が丸く集まる様子を小さな手毬に見立てたもののようです。古い時代に中国から入ってきたものだそうで、今では庭木としてポピュラーな存在です。
 
 

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 ユズリハに若葉が展開しつつありました。新しい葉が出てから古い葉が落ちるため、成長した子に後を譲るとして「譲り葉」の名が付いたのだそうです。家が代々続くよう縁起をかついだ名前です。
 
 

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 石垣の隙間にこんな花が生えていました。おそらくモモイロキランソウではないかと思います。
 
 

H
 ヤマツツジはそろそろ花期も終盤。今年も楽しませてもらいました。
 
 
I
 代わって咲き始めたのはトチノキ。花期は短く、あっという間に終わってしまいます。トチノキは渓畔林を構成する樹種。広島県の山奥、水越峠で見たトチノキの花が強く印象に残っています。もう20年ちょっと前のことですが。
 
 

 
 
 
2024年5月3日(金) その1
 

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 南広場の草地で。これはキュウリグサです。花の大きさはわずか3mmほど。よく見ると花冠はスカイブルーとレモンイエローでポップな色合いです。
 
 

A
 ニワゼキショウ。こんなに端正な容姿をしていながら、草地では背景に溶け込んで案外見過ごしがちです。草丈は約10cm、花冠の大きさは約1.5cmと小さくてもアヤメの仲間。
 
 

B
 おお、このでろーんとぶら下がっているものはシュロの雄花序です。大きさは80cmから1mほど。ただ。一つひとつの花は1cmにも満たない小さなものです。
 
 

C
 これはマルバアオダモの花序。花が終わり、これから果実が大きく成熟していくところだと思います。今年も花の時期を見逃してしまって残念。
 
 

D
 白く小さな花を散房状に付けるヤブジラミ。よく見ると可愛い花ですが、名前はヤブにシラミです。ヤブは藪に生えるからですが、シラミは果実が虱に似ているからだとか。写真の花序の右端に1個付いています。
 
 

E
 キハダに若い花序ができ始めていました。これからもう少し花序が展開して、緑色の小さな花がたくさん付きます。花期が終わると落ちた花で地面が緑色に覆われるほどです。
 
 

F
 マユミの雄花。マユミは雌雄異株なのでこの株は雄の株ということになります。この場所から100mほど先に雌の株がありますが、毎年たくさんの実を付けているところをみると、ここから虫によって花粉が運ばれるということでしょう。
 
 
G
 ニワトコに若い実ができていました。今は分かりにくいですが、秋になると赤く色づくのでよく目立ちます。
 
 

 
 
 
2024年5月3日(火)その2
 
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 尾根道を西に向かって歩いていきます。
 これはスイバの雄花。大きさは約6mmと極小です。開いた6個の花被片の中心から6個の雄しべがぶら下がっています。花粉を飛ばしやすい構造です。
 
 
A
 その花粉を受けるのがこちらの雌花。雄花より更に小さいです。赤い房状のものが雌しべの柱頭で、ここで飛んできた花粉をキャッチ。その後子房が膨らみ成熟すると写真下部にあるような丸い翼を持った果実になります。
 
 

B
 ヤツデのような大きな葉を持つカジイチゴ。危うく花期を逃すところでした。この場所は数か月前、カジイチゴを保護するために、絡みつくクズや木質化したイタドリなどの除去作業をしたところ。園内ではここともう一か所にしか自生していません。
 
 

C
 雑草の中の雑草、ウシハコベです。花弁は5個で、1個の花弁が深く根本まで裂けているので、花弁が10個あるように見えます。ハコベやコハコベとの違いは雌しべの柱頭の数。ハコベやコハコベは3個、ウシハコベは5個あります。
 
 

D
 背が低く、地面に近いところで咲くツボスミレ。このアングルで撮るには地面に寝そべるしかありません。実際にはカメラのモニターがバリアングルなので、カメラだけ地面すれすれに構えることができますが。
 ツボスミレのツボとは坪=庭という意味だそう。庭先に咲いていたんでしょうか。確かに背が低い花なので草深いところでは見かけません。
 
 

E
 こちらも雑草度にかけては負けていないイヌガラシ。細長い棒状ののもは果実です。アブラナ科なので花の構造は4が基本。萼片も4個、花弁も4個です。
 
 

F
 ハリエンジュの花序。高いところに咲いているので仰角大きめのアングルです。蜜源樹として養蜂家に喜ばれる木です。
 
 

 
 
 
2024年5月11日(土)その1
 

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 季節は春から初夏へ。ヤマホタルブクロが咲き始めました。ホタルブクロとの見分けポイントは、萼の切れ込みの部分。舌状のものがめくれ上がっていればホタルブクロ、ただぷくっと膨れているだけならヤマホタルブクロです。
 
 

A
 マルバウツギです。花冠中央のオレンジ色の部分は花盤と呼ばれるもので、花盤とは子房の基部の花托(茎の先端が変化したもの)が肥大したものだそうです。本来の役割は土台となって花冠を支えるということでしょうが、オレンジ色で目立って虫を呼ぶことにも貢献しているのかもしれません。
 
 

B
 茎に剛毛があるコウゾリナ。さわるとゴワゴワした感触がありますが、痛いというところまではいきません。
 頭花は舌状花が集まったもので、数えてみると、左のものが33個、右のものは37個ありました。
 
 

C
 エゴノキの花が輝いています。下向きに咲く筒状の花の中央に雄しべがぶら下がっています。花が散る際にはこの筒状の花がスポッと抜けるように落下します。残されるのは細長い柱頭のみ。落ちた花冠にはと雄しべがそのまま残っているのですが、よく見ると雄しべの根本が筒状花の内側の壁に密着していて、そこから生えているよう。いわば溶接ではなく削り出しの一体成型みたいな感じで。
 
 

D
 カキノキに花が付いていました。ちょっと肉厚の筒状花です。雌雄同株で、同じ株に雄花と雌花が付きます。写真は雄花。雄花は数個ずつ付き、雌花は1個ずつ付くそうです。
 
 

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 5mmほどの小さな花をつけるコゴメウツギ。ネーミングはこの花が小米のようだということのようです。どっちかというと実のほうが米っぽいですが。ちなみに本家ウツギとは無縁のバラ科の植物です。
 
 

F
 マユミの雌花です。マユミには、雌しべが短く雄しべが長いタイプと、反対に雌しべが長く雄しべが短いタイプの花があり、前者を雄花、後者を雌花として、雌雄異株とするのが一般的です。また、前者には実が稔らず、後者では稔るということで、そういう意味ではまさに雌雄異株そのもの。ところが、実は「稔らない」ではなく「稔りにくい」というのが正確で、雌雄異株とは言えないとする説もあるのだそう。図鑑によっては雌雄異株か雌雄同株かを明らかにしないものもあるようです。
 
 

 
 
 
2024年5月11日(土)その2
 

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 鮎の道にやってきました。
 ガマズミです。純白の花が眩しいです。あと、雄しべの飛び出し具合が勢い良すぎです。
 
 

A
 花茎をしならせその葉陰に花を吊り下げるのはミヤマナルコユリ。よく似るナルコユリの葉はササの葉のように細長いですが、ミヤマナルコユリは幅が広く縁は緩く波打っています。花は筒状で、先端が緑色を帯び、わずかに開きます。それが満開の状態。写真はまさにその状態です。
 
 

B
 スイカズラの開花の一番乗り。ちょっと気の早いやつのようで、開花シーズンとしてはこれからです。奥に蕾が写っていますね。


C
 こちらも気の早いテイカカズラ。正面からでは分かりにくいですが、長い筒の先で花弁が開いている構造です。スクリューのような花冠が特徴的。細長い蕾の段階からねじれているので、雨傘を開くときのようにねじれを解きながら開くんでしょうね。
 
 

D
 ヘビイチゴの赤い実。写真下部には蕾のような状態のものが見えますが、もちろん蕾ではなく、中の赤いものは確かに果実です。つまりこれは萼片が貼り付くように実を覆っているのですが、この萼片は花の時期には花弁の後ろで水平に開いていたはず。花が散ると若い実を守るように立ち上がって被さるのだと思います。
 
 

E
 フタリシズカ。白いつぶつぶのようなものが花です。花にもいろんな形があるものですね。名前を意識して果序が2本のものを選んで写真を撮りましたが、1本のものも3本のものも普通にあります。
 
 
F
 サイハイランが咲き始めました。周囲にも元気な株がいくつも立ち上がっていました。今年の冬にボランティアでササ刈りしたことが良い結果をもたらしているのだと思います。
 
 

 
 
 
2024年5月15日(水)
 

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 朝方の尾根道。ガマズミの花が盛りを迎えていました。ガマズミは蜜が多いのか、小さな甲虫がたくさん集まってきます。
 
 

A
 九反甫谷戸にもまだ日差しが届いていません。
 これはオカタツナミソウ。花冠が立ち上がり、それが集まって波頭のように見えるから立浪草だそうです。そして、もっぱら丘陵地の林縁に生えるので「丘」の字が付けられています。
 
 

B
 ハコネウツギが咲き始めるともう初夏です。
 
 

C
 このイカ飯みたいなものはソシンロウバイの偽果。「偽」の字のとおり、果実に見えて果実ではなく、本当の果実はこの中にあります(本当の果実の中に種子がある。)。じゃあ外側もひっくるめて果実でいいじゃないかと思うんですが、違うんでしょうね。植物学的には。
 
 
D
 大田切池にやって来ました。イボタノキの花が見事です。一つひとつの花は清楚な感じですが、房になると一気に華やかな雰囲気になります。
 
 
E
 イボタノキの横にはスイカズラがあります。花は咲き始めは白く、やがて黄色に変わります。これが別名を「金銀花」とする所以です。
 
 
F
 池の畔にはカキツバタが咲いていました。アヤメとノハナショウブとで似た者三兄弟。これらは外花被片の模様で見分けられ、アヤメは文字どおり綾目模様、カキツバタは白い斑紋、ノハナショウブは黄色い斑紋があります。
 
 

 
 
 
2024年5月16日(木)
 

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 先日見かけたヤマホタルブクロのすぐ近くにホタルブクロがありました。しゃがんで萼の形を見てみなければどっちがどっちか分かりません。
 
 

A
 ヤマザクラの果実。なんだかカニの目みたいですね。熟すと黒くなります。
 
 

B
 芝刈りが終わったばかりのテラス前ではムクドリが一心にエサ探しをしていました。またとないチャンスなんでしょうね。
 
 

 
 
 
2024年5月21日(火)
 
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 内裏池の畔に立つコブシの大木。その根本には毎年サイハイランが咲きます。今がちょうどう満開。こんな地味な色合いなのでそもそも目立たないし、気がついても枯れ草みたいに見えるので人が寄って来ないです。それがこのサイハイランにとって好都合なところ。
 
 

A
 花序をアップで。これを見て「采配」を連想するとは。深く裂けたラッパ状の花冠の中央に、黄色い花粉塊を付けた蕊柱が見えています。
 
 

B
 ウツギが咲くともう春の花の時期も終盤です。このウツギが卯の花のこと。 唱歌「夏は来ぬ」の歌い出しは ♪ 卯の花の匂う垣根に… ですが、実際には何の匂いもしません。 続いて、♪ 時鳥早も来鳴きて… こっちの方は確かに今日今年始めて鳴き声を聞きました。
 
 

C
 なんとも攻撃的な姿ですが、これはホオノキの若い実。たくさんの袋果が集まった集合果と呼ばれるもので、トゲのように見えるのは雌しべの名残です。
 
 

D
 地面に広がるように生えていたキノコ。ひっくり返すと傘の裏側は密にひだがあるタイプで、柄は太く短かったです。いろいろ調べましたが結局何であるか不明。
 
 

E
 クリの若い花序。長く伸びているのは雄花序。この時期、雌花はその付け根で小さくなっています。
 
 

F
 これはオオフジイバラか。葉は奇数羽状複葉で、小葉は2〜3対。先がやや細く尖るのが特徴です。
 
 

G
 ここにユリノキがあるのは知っていましたが、花を見たのは初めてのような気がします。大きさは湯呑みくらい。この外観からチューリップツリーとも呼ばれています。ユリノキの花は甘い香りがし、蜜も大量で、それを求めて鳥も虫もやって来るそうです。
 
 

 
 
 
2024年5月29日(水)
 
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 これはネズミモチか。それともトウネズミモチか。一つひとつの花を見るとトウネズミモチのようですが、花序の様子はネズミモチのよう。
 
 

A
 これはコガタスズメバチの巣の初期段階。切られたコブシの枝に付いていました。本来は細い口を下にして葉陰に吊るされるように付いています。中には幼虫が数匹いました。今は女王バチが一匹で巣作りをしている段階で、夏前には働きバチも動員しバレーボールくらいに大きくしていきます。
 
 
B
 自然見本園へ。これはヤセウツボ。枯れているように見えますが、ちゃんと元気に生きています。マメ科やキク科、セリ科の植物に寄生していて、相手の根を案外ガッツリと自分の地下部に引き込んでいます。種子は粉のように小さく、1本の花茎に平均7万個の種子を付けると聞いたことがあります。
 
 
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 内裏池の畔にやって来ました。今年もオモダカ(もしかしたらアギナシかも)が葉を伸ばしました。毎年工事とかなにがしかの撹乱があって、なんとかようやく生き延びているといった感じです。ここで花を付けているのを未だ見たことがありません。
 
 

D
 トサミズキの若い果序。花は柔らかな感じでしたが、実になるととたんにゴツゴツ感が出てきます。
 
 
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 これはツルニンジン。ツル性の植物で、竹の棒に巻き登っています。ここ数年園内で花を見ていないので、今年は秋が楽しみです。
 
 

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 ニガナ。ごくありふれた野辺の花です。舌状花は普通5個ですが、写真のものは6個ありました。よく見ると端正な姿をしています。
 
 

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 これはナルコユリ。花がぶら下がる様子を鳴子に例えた名前です。鮎道でよく見かけるミヤマナルコユリより葉が細いです。
 
 

H
 この時期、園内でもっとも勢いがあるのがこのドクダミ。薬草として有名です。この花を見るとそろそろ梅雨も近いと感じます。
 
 

 
 
 
2024年5月30日(木)
 

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 キンシバイが綺麗に咲いていました。日差しを跳ね返す鮮やかな黄色をしています。
 
 

A
 ヤマグワの実。赤くなっていますがまだ熟しているわけではありません。完熟すると黒紫色になります。甘くて美味しいですが、手で取るとすぐに潰れて指が紫色になります。。
 
 

B
 これはツルマンネングサか。帰化植物で、古い時代に中国から渡来したものだそうです。