2023年11月1日(水)
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里山広場に沿う林縁でアオゲラに遭遇。日本の固有種で、この公園でも普通に見かけます。アオゲラといいつつ緑色をしているのは、古来「青」は緑色のことだから(「瑠璃」が青色)。
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カマツカの実です。大きさは1cm弱。昔食べてみたことがあり、かすかにリンゴの味がしたことを覚えています。一応、リンゴと同じバラ科です。
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この超攻撃的な総苞片、イガアザミでしょうか。針というより錐のようです。ナンブアザミの変種とのことです。
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里の秋を感じさせるヤクシソウ。斜面や石垣などで繁っている姿をよく見かけます。名前の由来は諸説あるようで、根生葉が薬師如来の光背に似ているというものも。確かにロゼット状だと後光に見えないこともないですね。
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ナルコユリ。実が2つずつぶら下がる様子を「鳥威し」の鳴子に見立てた名前です。落ち着いた色の黄葉がいい感じですね。
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モミジバフウが見事に紅葉していました。20m近くになる高木で、望遠で見上げるようにして撮りました。葉腋から球状のものがぶら下がっています。これは刮ハが集まったもの(集合果)。手にとってみるとイガイガしています。
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2023年11月2日(木)
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今年は見られないかと思っていたコシオガマ。意外なところで咲いていました。でももう花の時期は終わりかけ。残り花です。来年もここで見られるか。
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ヤマノイモの黄葉。ハートがポワワーンと次々に浮かび出ているみたいです。
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リュウノウギク。漢字では「竜脳菊」。竜脳とは竜脳樹という木から精製される結晶で、樟脳に似た芳香があることから、古代から交易品として取引されていたものだそうです。ただ、リュウノウギクが竜脳のような香りを放つかというとそうではなく、どちらかというと樟脳の香りに似た香りがあるのだとか(ややこしい)。ちなみに樟脳は高価だった竜脳の代用品とされていたこともあったそうです。
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2023年11月8日(水)
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今年はカリンの実が多めに付きました。青空に映えています。見た目は美味しそうで甘い香りも漂っていたりするのですが、実は木質で硬いうえに渋みがあって生では食べられません。あまりに硬いので切るのにノコギリを使っている人がいました。
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モミジバフウの集合果です。夏場の葉が繁っている頃は目立ちませんが、紅葉が始まり枝の見通しが良くなると、機雷のような形の実が目に付くようになってきます。
名前のとおり葉がモミジのそれに似ていますが、モミジの仲間ではありません。一本立ちする樹形や葉が互生する点がモミジとの相違点です。
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リョウブの実です。熟すと濃い褐色になり、果序の根元から折れるように垂れ下がります。リョウブは古代から救荒植物として利用されていたようですが、それはこの実を食べたのではなく、新芽や若葉を食べたのだそう。確かに食べでのなさそうな実です。
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オニドコロの葉が黄色く色づき始めていました。ヤマノイモに比べハート型が丸っこいです。
トコロは漢字では「野老」と書き、これは根茎にひげ根が多いのを老人に例えたもので、海老に対するネーミングだそうです。ただ、「鬼野老」を字面だけ見ると結構怖いものがありますね。
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葉の少なくなった枝に静かにぶら下がるエゴノキの実。穏やかな秋の午後です。写真右端のものは既に黒褐色に熟した果皮が割れ、中の種子が顔を覗かせています。ヤマガラの好物なのだとか。
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何かの蕾のようにも見えますが、これはナツツバキの果実。こんなに花が付いていたかなと思うほどたくさん実ができています。秋が深まると果皮が固くなって5つに裂け、少しトゲトゲしい印象に。
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クスノキの実はツヤツヤ。熟すとツヤツヤのまま黒くなります。鎮守の杜など各地に巨樹や古木があるクスノキですが、本来の自生種か疑問視されているそうです。遠い昔に誰かが移入したってこと?
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エノキの実もだいぶん色づいてきましたね。これから皮がしなびたようになっていき、そうなると素朴な甘い味になります。例えると干し柿のような味。
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ムラサキシキブ。他にも紫色の花や実を付ける植物がある中でこれが紫式部という高貴な名をいただいたのはなぜだろう。少なくとも平安時代までは別の名前だったわけですよね。ネット上には古名が「紫敷実」(ムラサキシキミ)だったからという情報も。鮮やかな紫色なので古名云々がなくても紫式部でも納得ですが、むしろその古名の由来を知りたいところです。
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上品な紅葉を見せるツタウルシ。三小葉が特徴です。ウルシ科の植物の中でもかぶれの度合いが特に強いです(自己の経験に基づく)。
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これはヌルデの虫こぶ。古くから薬や染料に利用されてきたのだそうです。ヌルデの場合、特別なアブラムシが葉に寄生してできます。ヌルデもウルシ科ですが、かぶれの度合いは小さいです(自己の経験に基づく)。
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これはナギナタコウジュの花序ですね。もう花冠は落ちきって花殻の状態になっています。ここに咲いていたとは。花は来年までお預けですが、また楽しみが増えました。
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2023年11月13日(月)
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マルバウツギ。花が散った後にも枯色の花が付いているようです。侘び寂の感がありますね。これは果実で、残った萼片と花柱が花のように見せているのです。
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普段あまり気にとめることはないヘクソカズラの紅葉です。柔らかい色合いですね。この色を上手く表現できる言葉が思い浮かばず、日本の伝統色を調べてみたところ、「蜜柑色」とか「金茶」が当てはまりそうでした。
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センブリです。周囲は刈り込まれ、日当たりを良くして保護されていました。センブリといえば健胃薬として有名ですが、それは明治以降のことで、それより前はもっぱらダニ避けとか虫除けとして使われていたそうです。
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コムラサキの実がいい具合に朽ちつつありました。これも侘び寂の世界観と言ってよいのかも。これまた伝統色で言うと「京紫」とか「紅藤色」とかが近かったです。
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ヤブツバキの果実です。左のは果実が熟した後開裂したもので、中の種子はみんな落ちてしまっています。見たところ果実の大きさは直径8cmくらいあり、一般的なヤブツバキの果実よりかなり大きかったです。単なる環境要因でそうなったのかそれともそういう園芸種なのか。
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枝にわずかに残っていたノイバラの果実。ここのノイバラは栄養不足なのか、例年花数も少ないです。
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秋の花粉症の原因となるオオブタクサ。花粉を大量に飛散させます。北アメリカ原産で、日本では昭和27年に静岡県の清水港で初めて見つかったとのこと。大海原を貨物船に乗ってやってきたんですね。
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2023年11月15日(水)
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野草見本園へ。センリョウの実。生け花の素材や正月飾りなどこれからが活躍の季節です。
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キチジョウソウです。吉事があると開花するという伝説があるそうですが、毎年咲いています。ただ、地面に近いところに花を付けるので、見逃しがちです。
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ムサシアブミの果実。花の時期の仏炎苞もかなり独特ですが、果実も存在感大です。
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いつの間にかキダチダリアが開花していました。見上げるほど背が高い植物で5mくらいになります。もともと中米原産で標高千数百mの高地に育つものだそうです。
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カワラケツメイの実は鯉のぼりみたいに茎から真横に付いています。団体でヒューマンフラッグをしているみたいです。
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カラタチバナもセンリョウと同様におめでたい植物とされています。名前は唐の橘という意味ですが、本来タチバナはミカンの仲間なので、なんでこの名前になったのか疑問です。
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2023年11月21日(火)
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カラスザンショウはサンショウやイヌザンショウに比べてかなり高木になります。今ちょうど実を付ける時期で、見上げるようにして写真を撮りました。本来は傘状の樹冠を形成しますが、この公園のものは度重なる剪定でその特徴は見つけにくくなっています。
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尾根道へ。
虫たちのために残されているススキの群落。秋の陽に輝いていました。
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カエデの黄葉が今盛りを迎えています。紅葉の中では地味な方ですが、関東地方の秋の野山には欠かせない色合いです。
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フェンスに伸びるエビヅル。日本の伝統色に「葡萄色」(えびいろ)というのがあり、このエビヅルの熟した果実の色から名付けられたものだそうです。
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オオニシキソウの果実。大きさは5mmほどと小さいので、目の前を散策する人でもこれに気づく人は少ないでしょう。よく見ると先端に雌しべの白い柱頭が残っているのが分かります。
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トキリマメの果実です。黒く光沢のあるのが熟した種子。右下のものはまだ未熟で薄い褐色をしています。
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果実3連発。ホウチャクソウの果実です。大きさは1cmほどで、深みのある紺色をしています。
目立たない野草の果実でも個性豊かですね。
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2023年11月25日(土)
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曇りがちで薄ら寒い晩秋の朝。南広場に6本あるトウカエデのうち赤く色づいているのはなぜか1本だけです。
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尾根道を越えて里山広場へ下るところからユリノキを見下ろすことができます。和芥子のような色合いに黄葉していました。葉が半纏の形に似ていることから別名をハンテンボクとも。
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ツワブキの花が盛りを迎えています。こんな寒い時期に咲いても虫が来てくれないだろうと思いつつ、写真を撮ろうと寄ってみると、ちゃんと虫が来ていました。ライバルとなる花が少ない時期なので、かえって効率的なのかもしれません。
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野草見本園のヤブコウジ。高さ15cmほどの樹木です。青々とした葉と赤い実の取り合わせで、センリョウやマンリョウと同様にお目出たい植物とされています。
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2023年11月29日(水)
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ネムノキの豆果を陽に透かして見ると、薄い鞘の中に種子があることが分かります。中の種子も薄く扁平な形です。これで子孫を残せるということは、わざわざ種子を大豆のように太らせる必要はないということなんでしょうね。
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ナンテンに実が付いていました。漢字では「南天」と書きますが、同音の「難転」が「難を転ずる」として、正月飾りにされたりします。
ナンテンで思い出すのは雪兎。雪を舟形(チキンライス形)に成形したものをウサギの体に見立て、目の部分にこのナンテンの実をはめ込んだもので、耳はナンテンの葉を差し込みます。いつの間にかそういう風物もなくなってしまいましたね。
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公園の北側の縁を歩いて行きます。ここは陽当たりが良くないので、雪が積もった後などははなかなか融けません。
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アオジの雌です。タマノホシザクラの混み合った枝に停まっていました。嘴の先端が鋭利ですが、長く使っていて欠けたりするようなことはないのでしょうか。
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ナンキンハゼの実。白く見えるものは、熟した実の皮が裂け落ち、種子が露出したものです。種子を覆っている蝋質のもの(仮種皮)が白色で、中の本当の種子は黒褐色をしています。緑色のものはこれから熟す実ですね。
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