東京港野鳥公園 〜寒くても鳥は元気です〜
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【東京都 大田区 平成25年1月20日(日)】
久しぶりに東京港野鳥公園に行ってみました。羽田空港のすぐ近くにある都立の公園です。20年くらい前には足しげく通っていたんですが、ここのところとんとご無沙汰です。(前回記事にした6年前の様子)
野鳥公園はいわば野鳥の楽園。でもこんなに羽田空港に近接していて大丈夫なのかと常々思っていました。何しろA滑走路とC滑走路の延長線上、すなわち進入路に挟まれるような位置に立地しているんです。バードストライクとかで飛行機にとっても危ないでしょうに。それとも、むしろこっちに鳥を引きつけて、空港周辺には鳥が少なくなるということなのか?
エントランス |
首都高の湾岸線を大井南ランプで下りて5分、環七の基点となる「環七大井埠頭」交差点に隣接する位置に野鳥公園はあります。駐車場にドリーム号を停めて、エントランスの坂道をトコトコと登っていきます。昔は駐車場も広かったんですが、いつからかたぶん大田市場関係の倉庫と思われる建物が建って、半分くらいの広さになってしまいました。
管理棟 |
スロープを上りきると管理棟が現れます。入園料は300円なり。券売機でチケットを買って、それを隣の窓口の人に渡して入園するのですが、これって窓口の人に直接300円払えばいいんじゃないのか。
入るとすぐ広場があります。気候の良いときはここにシートを敷いてお弁当を食べたりする人も多いでしょうね。
東淡水池の方に向かって歩いてみましょう。
東京の冬はこんな晴天の日が多くて、yamanekoの故郷とはぜんぜん違います。島根県の沿岸部の冬は、積雪こそ少ないものの北西の季節風が強く寒いんですよね。いきおいどんよりとした曇りがちの日が多くなります。これが性格形成に影響を与えているかというと…、まあ、親戚とか周囲の人間を見渡してみて、それはないようです。
ヘクソカズラ |
こんな地味な色合いのものでも、枯れ野の中ではよく目立ちます。こうやって残っているということは鳥たちも敬遠して食べないんでしょうか。名前も名前ですし。
ソシンロウバイ |
シンとした空気が揺れて甘い香りが漂ってきました。その方角をたどってみるとソシンロウバイが。その名のとおり蝋細工のような花冠をしています。ちょっと冷たい感じか。
ナンテン |
こちらは南天の赤い実。周囲の空気までほのかに赤くにじんでいるようで、ほわっと暖かく見えます。「難を転ずる」との語呂合わせがあるナンテンですが、正しくは「南天」です。これは中国名の「南天燭」を略したものだそうで、灯火のように赤いということなのだそうです。昔の人も暖かみを感じていたんですね。
メジロ |
メジロがうろちょろしています。シラカシの葉の中で保護色のようになっていますね。この鳥の色を「うぐいす色」と思っている人も多いようですが(yamanekoもその一人でした。)、本当のウグイスの色はもっと灰色がかった鈍い色をしていて、日本の伝統色としてのうぐいす色もその鈍い灰色がかった緑色のことを指しています。
どうも昔からメジロとウグイスは混同されることが多かったようですね。親和性が高い場合に用いられる「梅に鶯」という言葉がありますが、実際に梅の花を求めて来るのはメジロで、ウグイスは主に藪の中で暮らしていているので、この言葉は混同からくる誤用か、または見た目のきれいな梅と声のきれいな鶯は良くマッチするという「鬼に金棒」的な使い方の言葉なのかもしれません。
いそしぎ橋から |
公園の東西をつなぐ「いそしぎ橋」からの眺め。下には川ではなくJRの東海貨物線が通っています。
橋を渡って東側のエリアにやって来ました。常緑樹が多いので冬の森という雰囲気があまりしません。
東淡水池の畔に広がるアシ原です。寒風が、ピュルル〜。
ビワ |
ビワの花。今が花の時期です。萼や花序に褐色の毛が密生しているので、全体的にもっさりとした感じになっています。花はすっきりとした印象ですね。
人家の周りでよく見かけるのは、昔から食用として植えられたということですね。もともと中国からやって来たとされるビワですが、西日本で野生のものも見つかっているそうです。どうやって見分けるんだろう? DNA鑑定か?
イスノキ |
この殻は何だっけ? ということで、調べてみたらイスノキでした。イスノキといえば原初のオカリナのような形をした虫コブ(吹くとちゃんと音が鳴る)が思い浮かびますが、当然のことながら実もあって、その実が開裂し、乾燥したものが上の写真です。もう種子は落ちきっていますね。
東淡水池を望む観察舎にやってきました。
1羽につき1本の杭。カワウの休憩場所です。カワウは水に浮かぶのが苦手と聞いたことがありますが、それで杭の上で休んでいるのでしょうか。杭にあぶれたカワウはどうやっているんだろう。カワウ界にも椅子取りゲーム的な争いがあるんですかね。
フライング・カワウ |
東京港の倉庫群をバックに飛翔するカワウ。いわゆる「流し撮り」を試みて奇跡的にクリアに写った一枚ですが、バックが流れていないのでスピード感はゼロですね。
ネイチャーセンター |
トーチカのようなネイチャーセンターの入口。2階建てですが、斜面に建っているのでこの入口は2階部分にあります。
イソシギ |
ネイチャーセンターの暖かい室内から水辺の鳥たちを観察します。イソシギが餌を探して干潟をせわしなく行き来していました。
今日目にした鳥は、シジュウカラ(四十雀)、メジロ(目白)、ヒヨドリ(鵯)、キジバト(雉鳩)、マガモ(真鴨)、ホシハジロ(星羽白)、ミコアイサ(巫女秋沙)、ヨシガモ(葦鴨)、アオサギ(蒼鷺)、ハクセキレイ(白鶺鴒)、ハイタカ(鷂)、キンクロハジロ(金黒羽白)、カワウ(川鵜)、セグロカモメ(背黒鴎)、ハシブトカラス(嘴太烏)、ムクドリ(椋鳥)、そしてこのイソシギ(磯鴫)の17種でした。野鳥の会の人とかと一緒だったらもっと多くの種に気がついたでしょうが、老眼が進行しつつあるyamanekoではこれが精一杯?
ところで、植物にしても鳥にしても名前を記すときにはカタカナを用いますが、漢字を併せてみると新たな気づきがあったりしますね。例えば、シジュウカラの「カラ」は雀のことだったのか。でも「雀」=あのスズメのことなのか、まてよこの場合「雀」=小鳥ということなのかも。とか、ミコアイサの「ミコ」は「巫女」だったのか。巫女さんの姿に似てるということか。そもそも装束は赤っぽくなかったっけ、とか。
コブシ |
ぶらぶら歩きながら管理棟の近くまで戻ってきました。日射しも傾き、空気も冷えてきています。
そういえば今日は二十四節気の「大寒」。一年のうちで最も寒い時期です。コブシの冬芽も寒そうです。でも、寒さがここに極まって、これから春に向かって行くのだと思うと、なんとなく嬉しい気持ちになってきますね。これからの野山歩きは春の兆しを探して歩く楽しみがあります。
さて、次にどっかに出かけるときには少しは春っぽくなっているでしょうか。
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