東京港野鳥公園 〜臨海の鳥の楽園〜
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【東京都 大田区 平成19年3月18日(日)】
3月も半ばになって、いよいよ本格的な春の足音が聞こえてくるようになりました。街中を歩いていると民家の庭に咲くジンチョウゲなどがそれを教えてくれています。
今日は午前中に済ませる用事があったので、昼から野鳥公園に行ってみることにしました。yamanekoは10年前に東京から広島に引っ越したのですが、ここは鳥を観るために以前よく通ったところです。
公園入り口 |
東京港野鳥公園は「大田区東海3丁目」というところにあり、近くまで行ってみると本当にこんなところに野鳥がやってくるのかという疑問がわいてくるほどの港っぷり。周囲にはコンテナヤードや貨物ターミナル、建ち並ぶ物流倉庫群、そしてすぐ南には大田市場が隣接しています。
駐車場に車を入れてトコトコと坂道を上がっていくと管理事務所があります。場所が場所だけに訪れる人はそう多くはないようです。
芝生広場 |
入園料300円を支払って中にはいると芝生広場です。なだらかな斜面の広場でベンチがいくつか設置されているのみ。まずはここで観察してみましょう。
ユキヤナギ |
本来は川辺に生育するユキヤナギ。街中では道路や民家の生け垣でよく見かけます。しだれる細枝に純白の小さな花をみっしりと付けるので、全体的に豪奢な印象を受けますが、個々の花はこんなに慎ましいのです。春の訪れをいち早く伝えてくれる花の一つです。
コブシ |
♪コブシ咲く〜あの丘北国の〜って、「北国の春」でお馴染みのコブシも咲いています。
モミジの若葉 |
モミジも若葉も広げ始めたばかり。なんか、見るものみんなが輝いていますね。
タネツケバナ |
一方、地面に目をやるとタネツケバナが白く小さな花を付けていました。漢字で書くと「種漬花」。苗代に籾を撒く頃、すなわち苗代のぬるんだ水に籾が浸かっている頃に咲く花ということでしょう。
ウバメガシ |
ウバメガシの若葉。柔らかくしっとりしているのは今だけで、数週間で濃緑の固い葉になってしまいます。もともと沿岸部に自生するこの木。潮風から身を守るためには必要なことなのです。
東海道貨物支線 |
野鳥公園の中央部を南北に貫く形で線路が通っていて、東西に分割された公園は「いそしぎ橋」という陸橋で往き来できるようになっています。この線路は東海道貨物支線といって、旧汐留駅から川崎の鶴見駅までを結んでいます。写真奥に途中駅の東京貨物ターミナル駅があり(といってももちろん人は乗り降りできません)、線路はちょうどここから海底に潜って行きます。そのまま羽田の下を通りぬけ、多摩川河口をくぐり、次に地上に顔を出すのは川崎貨物駅です。
右の写真は左の写真の中央部を拡大したもので、ずっと向こうには品川埠頭のガントリークレーンやレインボーブリッジの橋脚も見えています。(いそしぎ橋の上から撮ったものです。)
東淡水池 |
東側の公園には淡水の池と汽水の池があり、園のほとんどの区域が立ち入り禁止になっています。なので、いくつかある観察施設から望遠鏡で観察することになります。淡水の方の池にはホシハジロやキンクロハジロ、ハシヒロガモなどがのんびりとしていました。もうそろそろ旅の支度をしなくてはならないのでは。
ネイチャーセンター |
汽水の池の畔にネイチャーセンターがあります。丘状の地形を利用して建ててあるので、池側から見ると2階建ての立派な建物ですが、反対側からはこんな感じ。屋根まで土が盛ってあって、入り口はトーチカのよう。鳥たちへのカムフラージュでしょうか。ちなみに入り口は2階になります。
ヒメオドリコソウ |
丘の斜面にはヒメオドリコソウの群落。早春の陽光をいっぱいに浴びています。気持ちよさそうだなぁ。
汽水の池 |
ネイチャーセンターの池に面している側は全面ガラス張り。キャスター付きの望遠鏡がたくさん用意されています。広々としていて、ただボーっとしているだけでも満足。ここには常時学芸員(?)の方がいて、解説や質問にも答えてくれます。
カワウ |
望遠鏡の中には杭の上で休むカワウが。人間に脅かされることのないサンクチュアリでのんびりしているようです。
干潟 |
ネイチャーセンターは高床式の構造になっていて、1階部からさらに下りると干潟に出ることができます。ここでも観察路以外には足を踏み入れることはできず、干潟の生き物に影響を及ぼさないようになっていました。
しばらく見ていると、水際に小さなイソシギが降り立って、餌を探しながら干潟を歩いていました。
しゃがんだ膝を伸ばそうと立ち上がると、青空に巨大な鳥が…、いや、あれは羽田を飛び立ったばかりの飛行機です。
もうすぐ春本番。そろそろ桜の便りも聞こえ始めています。
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