月居山 〜名瀑を望む古城の山(後編)〜
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(後編) |
【茨城県 大子町 平成25年3月17日(日)】
茨城県の横綱観光地「袋田の滝」。その傍らで静かに佇む月居山の後編です(前編はこちら)
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町営駐車場にドリーム号を停めて、旧道経由で月居山の山頂(後山)に登ってきました。ここからいったん鞍部に下りて、今度は前山に登ります。そしてそこから袋田の滝に向かって急降下していきます。
はいポーズ |
後山からの下山途中にあった大きな岩。こぶし大の礫が寄り集まった礫岩です。こういうのがあると登ってみずにはおれない妻。後は結構な斜面です。
鞍部 |
鞍部に下りると今度は前山に向かいます。昔この地にあった光明寺の山門越しに鐘楼が見えますね。寺の本堂は幕末の天狗党の乱にの際に焼失してしまったとのことです。登山道はその境内を通って観音堂を経由して頂上まで延びています。
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ほどなく観音堂が現れました。唐突感が満点です。平安初期に建てられ(現在のものは平成13年に修復されたもの)、中には運慶作と伝えられる観世音菩薩が安置されているそうです。
西方向 |
観音堂からの眺め。広々とした眺めです。正面のなだらかな山は太郎山。標高は月居山よりちょっと高いくらいです。この辺りは見渡す限り同じような高さの山が連なっていて、突出した峰はないようです。手前の平地が袋田の集落。今日はあそこから登ってきました。太郎山と平地との間に久慈川が流れ、JR水郡線と国道118号が通っています。
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さあ、前山に向かって階段を登っていきます。かなり急です。
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いったん緩くなった傾斜が再び急になりました。山頂まであとわずかです。
ウスタビガ |
お馴染みのウスタビガの繭。中はもう空っぽです。造形といい色といい冬場の山歩きではよく目立つので、つい拾ってしまうのです。
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12時5分、前山の頂上に到着しました。ごらんのとおり狭いので誰もいません。ここの手前の一段低いところにベンチがあり、そこで1グループ昼食をとっていました。さっき鞍部で出会ったグループのようです。
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yamanekoたちもここで昼食…、ではなくここではコーヒーとおやつのみ。今日の昼食は下山後にここの名物の蕎麦を食べようと考えているのです。
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前山の頂上から見た後山。こうやってみると結構離れているように見えますね。実際には300mほどです。
急降下 |
前山の頂上で20分ほど休憩してから袋田の滝に向かって下っていきます。ここからはほぼ100%階段です。
生瀬富士 |
しばらく下ると木立が開けているところがあって、そこから滝の反対側にある生瀬富士が見えました。生瀬富士は登山意欲をかきたてるなかなかの風格をもっていますが、危険な岩場が連続するので素人は手を出さない方が良いとのことです。標高は月居山とほぼ同じ。おそらく太古にはこの辺りは一連の平坦面だったのだと思います。そこを何万年もかけで滝が後退しながら谷を削っていったのでしょう。その過程を早回し映像で見ることができたらおもしろいでしょうね。たとえばちょうどここの眼下に滝があった頃、ここから見える風景はどんなだったでしょうか。
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月居山では写真のような大きな岩があちこちに見られます。この辺りは日本列島の創世記には浅い海か湖の底だったと紹介しましたが、写真のような礫岩がここにあるのは、海底火山の噴火によるものなのだそうです。太古の海で海底火山が噴火し、溶岩が冷える過程で礫状に砕け、それがまた寄り集まって固まったもので、非常に硬く浸食にも強いのだそうです。月居山の他さっきの生瀬富士や南にある奥久慈男体山など、この辺りの稜線はその硬さゆえに陸地化後に始まった浸食の過程でも削り残されたものなのだそうです。はたして袋田の滝は今後この硬い地層を削ってさらに後退していくことができるでしょうか。
北東方向 |
こちらは袋田の滝の上流側にある生瀬集落の方向。滝の下流側とは約100mの標高差があります。写真左下の岩壁は袋田の滝の側面にある壁です。
生瀬の滝 |
急な階段をどんどん下っていきます。やがて遠く下の方から滝の音が聞こえてくるようになり、しばらく行くと木立の向こうに生瀬の滝が見えました。袋田の滝の上流にある滝です。横綱の後に控えていてほとんど名前を聞くことはありませんが、これが単体であったとしらそこそこの観光資源だと思います。
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午後1時、分岐に到着。写真右手から下りてきて、写真奥側に下ると生瀬の滝へ。手前側に下ると袋田の滝です。まだまだ下りは続きます。
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最後は鉄製の非常階段のようになっていました。ここをジグザグに下っていくと、滝の下流側の川岸に下り着きます。
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1時10分、川岸に到着。上の写真は上流側、すなわち滝の方を向いた写真です。吊り橋の先で川は右に直角に折れていてその先に袋田の滝があります。これからあの吊り橋を渡ってすぐにトンネルに入り、正面の要塞のようなところに出てきます。するとそこから滝を正面に眺めることができるはずです。
滝川 |
吊り橋の真ん中から下流側を見るとこんな感じ。浸食により削り出された礫岩がゴロゴロしています。
袋田の滝(の一部) |
そして反対側を見ると滝が。4段あるうちの下2段部分が見えています。冬場の渇水期なので残念ながら流れ落ちる水は少ないようです。滝の目の前にある構造物は、先ほど要塞と書きましたがあれは第1観瀑台。さて、トンネル入口で入場料300円を支払って観瀑台に向かいましょう。
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トンネル内を少し歩くと第1観瀑台に出ました。思わず早足になります。
ドドーン |
おお、これが袋田の滝か。確かに大迫力ですが、あまりに近すぎて上の段の方は見えません。紅葉の季節が最も人気だそうですが、真冬に全面凍結するときも素晴らしいとのことです(しかもその凍った滝を登る(そういうスポーツ)人もいるそうです。)。
ここにエレベーター? |
第1観瀑台からいったんトンネル内に戻って少し奥に向かうと、そこには2機のエレベーターが。これで一気に40m上昇し、第2観瀑台へ上がることができます。
第2観瀑台に上がると両側にそそり立つ岩壁が迫ってくるようでした(写真はイメージ重視で加工)。そして正面には…。
袋田の滝(ほぼ全景) |
ここからだと袋田の滝の全景を見ることができます(写真の下にもう1段あります。)。やはり水量が少ないせいで、2段目は滝が一筋の流れになってしまっていました。
月居山 |
月居山とのツーショット。ここが全面紅葉したらそれは確かに素晴らしいでしょうね。
正面入口 |
第2観瀑台で結構時間を費やし、再びトンネルに戻りました。そして吊り橋につながる分岐を素通りして、川の下流側のトンネル出口から外に出ました。一般の観光客は通常こちらからトンネルに入っていきます。ここから川に沿ってお土産やさんとか食堂とかが並ぶエリアになりますが、シーズンには観光客が奔流のようにさかのぼってくるのだと思います。
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いいかげんおなかが空いたので、店の前の看板に惹かれて双葉という食堂に入ることにしました。奥に広い座敷もありましたが、靴を脱ぐのが面倒だったので入口近くのテーブル席へ。黒枠写真のようですが、実はこのサイズの小窓があって、客席側から蕎麦打ちをしている部屋の様子が見えるようになっているのです。
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蕎麦押しのメニューの中から選んだのはボリューム重視のこちら。現在栄養指導を受けている最中ですが、今日は特別に天ぷら解禁としました。美味かったです。
お腹がいっぱいになったところで、駐車場に戻ることに。ここからは1q弱。ちょうどいい腹ごなしです。
今日は天気も良く、のんびり楽しい山歩きになりました。でも、大量の花粉を吸い込んだような気も…。これから本格的な春がやって来ます。花粉をものともせずにあちこち出かけたいと思います。
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