三頭山 ~晩秋の尾根道を行く(後編)~
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(後編) |
【東京都 檜原村 平成22年11月28日(日)】
三頭山の後篇です。(前編はこちら)
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三頭山の山頂からは初冬の富士山がきれいに拝めました。山並みのグラデーションの向こうに神々しく聳える富士山。外国人観光客が思い描くような「That’s FUJIYAMA」的図柄ですね。
北側の稜線 |
こちらは北側に連なる稜線です。左端のピークが雲取山。標高は2017mあり、東京都の最高峰です(埼玉県、山梨県との都県境に位置しています。)。そこから右に向かって、鷹ノ巣山、六ツ石山、川苔山など奥多摩の山々が居並んでいます。こちら側の稜線との間は約10km。この谷は長い年月をかけて多摩川が削ったものです。
奥多摩湖 |
その谷を覗き込むようにしてみると、はるか下に奥多摩湖の湖水が見えました。小河内ダムによって作られた東京都の水源のうちの一つです。
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三頭山の西峰は山梨県との都県境にあります。昼食が終わったら、ここから東に延びる稜線に沿って下って行き、森林館の背後に位置する鞘口峠で再び正面の山に向かって登ります。西峰と鞘口峠との標高差は-400mくらいです。
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昼食はカップラーメンとおにぎり。ステンレスの水筒に熱湯を入れて持ってきました。入れてから半日経っていますが、水筒をタオルでくるんでいたので、ラーメンを作るのに十分な熱さをキープしています。やっぱり冬場はあったかいものが食べたいですね。
11時45分、さてそろそろスタートしましょうか。
東峰 |
西峰を出発し、ラクダのこぶのような中峰を過ぎるとほどなく三角点のある東峰です。西峰からは5分ほどで到着しました。3つのピークのうちでここが最も高く、標高は1531mです。でも、主峰でありながら人影はまばら。やはりみんな眺めの良い西峰のほうに集まるようです。
浅間尾根 |
東峰の先に展望台が突き出ていて、上の写真はそこからの眺めです。写真中央やや右寄りにある山塊は浅間尾根。奥から手前に向かってほぼ同じ高度で連なっています。その昔、物資の運搬は谷底を通ることなく、この尾根伝いに運ばれたといいます。尾根に上がるまでが大変ですが、上がってしまうとあとはアップダウンのすくない道になるので、往来が楽だったのでしょう。
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東峰からは稜線の南斜面に沿って下っていきます。都民の森ではyamanekoたちのルートとは逆の、ここを登ってくるコースが紹介されていました。なのですれ違う人が結構いました。
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シラカバの幹がチョークのような白さ。バックとのコントラストがくっきりとしています。
展望台 |
小さなアップダウンを繰り返しながら下っていくと、やがて展望台が現れました。何人かの先客が休んでいるようです。
大岳山 |
その展望台からの眺め。方角としては東北東です。遠くの稜線上に飛び出ているピークは大岳山で、その独特な山容から登山者に人気の山です。
三頭山 |
来た方角を振り返ると、木立の向こうに三頭山(東峰)が見えました。もうずいぶん下りてきた感じですね。
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再びずんずん進んでいきます。正面に見える山は鞘口峠に下りてから再び登る山です。この山の名前はどこで調べても分かりませんでしたが、それなりにどっしりとした山です。
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午後からは陽だまりの山歩きとなりました。のんびりとしていて気持ちいいです。
鞘口峠 |
午後1時過ぎ、鞘口峠に到着しました。ずいぶんと歩いた気がしましたが、1時間余りで着いたことになります。ここには半月前にクマが目撃されたとの看板が掲げてありました。檜原村あたりでも時々目撃情報があるようです。そりゃこれほど山が深ければクマもいるわな。
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峠では特に休憩もせず、再び上りにかかりました。それにしても結構な斜度です。上着を脱いだり着たり、忙しいです。
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落ち葉の上にバッタが。気温が低いせいか、葉っぱを持ち上げてもピクリとも動きません。死んでいるのかと触ってみるとようやくジャンプしていきました。体力を温存していたのでしょうか。なんか申し訳ないことをしてしまいました。
アズキナシ |
色に乏しい山道では、こんな木の実でさえ目にとまります。これはアズキナシの果実ですね。すっかり乾燥しています。
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この山も3つのピークからなっていました。上の写真は2つ目のピークから頂上を見上げたところです。ここからまだ結構ありますね。
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膨大な量の落ち葉にくるぶしまで埋まりながら登っていきます。ガサガサと大きな音がしますがまったく重みを感じません。これらの葉はみんな今年の春に芽吹いて、日の光を存分に浴びながら栄養を作り、そしてその役目を終え冬を前にして枝を離れたもの。長い間ご苦労様でした。また来年の春には大量の葉を芽吹かせるのでしょうね。これを毎年飽くことなく繰り返すのですから、植物ってほんとすごいと思います。
1302ピーク |
1時35分、頂上までやってきました。ここから東側の展望が開けているかと期待していましたが、東側はごらんのとおり植林地で見通しは利きませんでした。残念。
また、山頂には山名を記したプレートでもありはしないかと思って探してみるに、どこにもありませんでした。やっぱり名無しの山のようです。
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少し休憩してから直下にある森林館に向けて下って行きました。落ち葉で滑りそうで相当神経を使いました。
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やがてスギの植林地に入り、ジグザグの道になりました。落ち葉がないので歩きやすいです。
ホコリタケ |
おっ、これは。トントンとつつくとポッポッと胞子を吐き出す可愛いやつ。ホコリタケですね。
下山 |
2時15分、森林館の裏手に下山してきました。とりあえず誰も滑ったり転んだりせずに下りてくることができました。中年の一行にしては上出来です。
森林館 |
ほどなく森林館に到着。これで今日の気持ちのいい山歩きは終わりました。
人里に近い山は近代まで炭焼きや生活の薪炭材として伐採が繰り返され、はげ山状態のところばかりだったといいます。そしてその後、荒れた山にスギやヒノキの植林が奨励されていったので、今では、今日歩いたような全山落葉広葉樹といった山はなかなか見られません。しかも巨木があちこちに残されている山となると更に少ないと思います。これが都民の森として開放されているのですから、ありがたい限りですね。
さて、今年も残すところあとひと月。師走も近いです(でも、まだまだ野山で遊ばせてもらうつもりです。)。このまま元気で締めくくりたいものです。
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