和泉葛城山 〜台風の傷跡、登山道にも(後編)〜
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(後編) |
【大阪府 貝塚市 平成30年9月23日(日)】
台風の傷跡が残る和泉葛城山。後編です(前編はこちら)。
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Kashmir 3D |
紆余曲折あって岸和田市側の塔原登山口から登始め、山頂までやって来ました。
山頂南側 |
山頂の神社を通り越して反対側に少し下ると、周囲は一気に開けてこんな感じに。舗装路が通っていて、車も結構停まっています。この時は気がつきませんでしたが売店もあったようです。それにしてもこれまで登ってきた登山道の風景とは全然雰囲気が違いますね。
東屋 |
道の向こう側にちょっとした空き地があり、その先に東屋がありました。眺めが良さそうです。
東屋では近隣から来たとおっしゃるご夫婦がピクニックのノリで焼肉(すき焼きだったかも)をしていたので、邪魔にならないように眺望を楽しませてもらいました。
和歌山県側 |
見えているのは和歌山県。眼下には紀ノ川が削った広い谷が横たわり、その向こうには累々と山並みが続いています。右側の台形の山容は龍門山。標高は756mほどで、南北朝時代の古戦場でもあるそうです。
展望台 |
さて、あらためて展望台に向かいます。なかなか立派な建造物ですね。
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北西方向 |
螺旋階段をぐるぐる登って行った先に待っていたのがこの風景。北西の方角、すなわち泉州と大阪湾の眺望です。見えている範囲は北(写真右)は高石市辺りから南は阪南市辺りまで。写真左側には洋上に浮かぶ(ように見える)関西国際空港が見えています。
関西国際空港 |
今月上旬に台風21号が直撃した際には、タンカーが連絡橋にぶつかって、しばらく空港へのアクセスが途絶していました。先日ようやく鉄道が動き始めたところで、車道はまだ下り線が通行止めです。
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南方向 |
一方、こちらは南側。さっき東屋から見たときよりかなり広い範囲が見えています。
真下を見ると、車道から展望台に延びる小道が見えました。随分高いです。 車道の向こうはもう深い谷になっていますね。
ひとしきり眺望を楽しんだ後、下山開始です。車道を歩いて山頂部の北側に回り込み、そこからまた森の中に入っていきます。
ヤマジノホトトギス |
ヤマジノホトトギス。少し花被片が痛んでいるのは、やっぱり台風のせい? それとも単に花期の終わりか。
道は木製の回廊のようになっていて、本来は歩きやすいのでしょうが、いかんせん先日来の雨で濡れていて、ツルツル滑って危ないことこの上ない。
しばらく進むと、往路で階段が始まった地点に合流しました。ここからは来た道を戻ります。
シロツルタケ? |
うーむ、これは何だろう。童話に出てくるようなキノコたちです。シロツルタケかな?
ブナ林の道を下っていきます。気持ちいです。台風で折れた木がありますが。
ムラサキシメジ |
これはムラサキシメジ。 はじめは鮮やかな紫色ですが、傘を開くと徐々に色あせていきます。こんな色をしていますが、火を通すことで美味しく食べられるそうです。
スギ林に入り、やがて下に林道が見えてきました。この辺りでおおよそ3分の1くらい下りてきたことになります。
往きにアンパンを食したところまで到達。ここでまた少し休憩です。
チゴユリ |
これはチゴユリの実。花茎の先端に一つ黒い実を付けます。
ヤマハギ |
ヤマハギ。株全体ではまだ咲き始めの状態でした。小さな花ですが、あらためて見てみると美しいです。
この「萩」、万葉集の中に最も多く出てくる植物の一つだそうです。秋を感じさせる身近な植物だったんでしょうね。
一部区間、車道歩き。短い距離ならこれも気分転換です。
キンミズヒキ |
秋の野山を代表する花(と言っても8月頃から咲いていますが。)、キンミズヒキです。果実には鉤状の突起がたくさんあり、人や動物にくっついて運ばれるようになっています。いわゆる「ひっつき虫」ですね。
タマゴタケ |
おろ?ここにもタマゴタケ。こんなにあちこちにあるのを見たのはあまり経験にありません。気温と湿度がちょうどよい具合なんでしょうね。
タマゴタケは柄がだんだら模様になるのが特徴の一つですが、針葉樹林に生えるものの中には柄が白いものも見られるとのことで、これは別種なのだそうです。猛毒のベニテングダケも柄が白く、ときに傘の上のイボ(これがベニテングタケの特徴)が取れていたりすることもあって、誤食に注意が必要です。
アズキナシ |
登山道にこんな木の実がたくさん落ちていました。これはアズキナシの果実です。名前は小豆のように小さな梨ということでしょう。さすがに梨ほど美味しくはありませんが、酸味も甘みもほどよく、渋みもあり、どちらかというと果実酒向けでしょう。
枇杷平まで下りてきました。
マルバウツギ |
これはマルバウツギの果実です。花はyamanekoのお気に入り。白くて可憐です。
分岐 |
1時40分、分岐が現れました。右下に向かうと、往路で歩いた塔原の登山口に下りていきます。一方、左に向かうと、今朝最初に諦めたBコースの登山口に下りていきます。しばし考えましたが、試しに左に行ってみることにしました。ここには通行止めの表示はないし。
分岐してすぐはこんななだらかな道でしたが、ほどなく急な下りになりました。滑りやすい山道をぐんぐん下りていきます。
クマノミズキの果柄を見つけました。辺り一面に落ちています。薄紅色で珊瑚みたいな姿をしていますね。先端に黒くて丸い果実が付くのですが、すでにみんな落ちてしまってた状態です。
カラカサタケ |
おっ、このキノコはカラカサタケでしょう。高さは25cmくらいあり、柄が細くて不安定な感じです。この様子が唐傘なんでしょうね。柄の鱗模様も特徴的です。
マツカゼソウ |
これはマツカゼソウ。松風とは、文字のとおりマツ林(もっぱら海岸の)に吹きつける風のことですが、この花をマツ林の中で見かけた記憶はあまりないですね。昔、国鉄の特急列車に「松風」というのがありました。関係ありませんが。yamanekoの地元を走っていました。
タマゴタケたち |
あらら、なんともインスタ映えしそうなタマゴタケ。インスタ、していないので上げませんが。
だんだん麓が近くなってきました。
稜線上の分岐から1時間半で蕎原集落に下りてきました。この路地はお地蔵様があったBコース登山口です。
集落の中をバス停に向かって歩いて行きます。うねって先の見通せない道が風情ありです。
アメリカセンダングサ |
路傍のアメリカセンダングサ。秋も深くなってきました。(舌状花が見られないのでタウコギかとも思いましたが、茎が暗紫色なのでアメリカセンダングサでしょう。)
蕎原バス停 |
2時10分、蕎原バス停に戻ってきました。
バス停には60歳代後半くらいの女性が(写真を撮るときには恥ずかしがって席を立ってしまいました。)。ベンチでバスを待ちながらあれこれ世間話をしました。
その女性は、もともとここ蕎原地区の出身で、今は町(おそらく貝塚市の市街地)に子ども家族と暮らしていること、今日はお彼岸なので墓参りに来たこと、若い頃は会社のハイキングサークルで日本各地の山に登ったこと、往時の水間観音はそれはそれは賑わいを見せていたことなどを話してくれました。
そうこうするうちにバスがやって来て、朝と同じ経路を戻って帰宅しました。
今日は、出だしこそバタバタしましたが、山頂からの眺望も良く、静かな山歩きを楽しめました。これからまた他の野山も訪れて関西の秋を満喫したいと思います。
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