2024年 3月 小山内裏公園MAP
 
 
2024年3月4日(月) その1
 

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 野草見本園で。これはエヒメアヤメでいいのかな。花被片の模様がちょっと派手めですが。
 エヒメアヤメは日本列島が大陸と地続きだった頃にやって来た植物とのこと。中国大陸が分布の中心で、西日本がその南限だそうです。
 
 

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 この野草見本園では1月下旬からフクジュソウが咲いていました。その頃は地面から直に咲いているような状態でしたが、この時期には10cmから15cmほどの花茎が伸びています。
 
 

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 シロバナタンポポです。関東地方より西に分布していて、西日本ではポピュラー。九州や四国の一部ではシロバナタンポポのみの地域もあるそうです。ただ、わざわざ名前に「白花」と付けることからも、タンポポは黄色いものが本家ということなんでしょう。
 
 

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 パークセンター脇の花壇で咲き誇っていたサンシュユ。葉がない時期に花を開くにはそのためのエネルギーをどこかに溜め込んでいたということでしょうね。そこは根なのか、それとも茎なのか。いままであまり気にしていませんでした。
 
 

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 オオイヌノフグリには早春の光が似合います。まだ冷たい風にみんな揃って花を揺らす様子も可愛いです。
 
 

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 大田切池。水面から出ている枯木にカワウが停まってました。yamanekoはこの池でカワウを見たのは初めてのような気がします。この辺りは沿岸部から約30km離れていますが、川に沿って遡ってきたのかもしれません。
 
 

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 鮎道にやって来ました。これはヒメカンスゲ。もともと常緑で冬でも濃緑の細長い葉が茂っていますが、写真のものの葉が短く切れているのはこの一帯で草刈りがされたため。でも、花粉を飛ばす準備はできているようです。たくましいです。
 
 
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 フサザクラの冬芽が少しずつ膨らんできました。開花まではあと半月くらいでしょう。「サクラ」と名が付いていますが、桜とは無縁。むしろこの樹木のどこを見てサクラと名前を付けたのか、不思議です。
 
 

 
 
 
2024年3月4日(月) その2
 

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 ウグイスカグラも葉に先駆けて花が咲き始めます。この株に最初に花が付いたのは半月ちょっと前のこと。ようやく葉が展開してきました。
 
 
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 クサボケは樹木ですが背が低く、花も地面近くに付きます。したがって果実も地面スレスレに実ります。見た目は小ぶりのナシにそっくりで、ぱっと見、ナシが落ちているのかと勘違いしてしまいます。香りもいいですが、、実は木材みたい硬くて食べられません(食べると渋み、酸味があるそうです。)。
 
 

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 先月落ち葉掻きをしたカタクリの自生地です。まだ葉もほとんど出ていないようでした。去年は3月半ばには開花していましたが、今年は遅いようです。
 
 

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 近年樹勢が衰えてきているようで気にかけているダンコウバイ。今年は花もそこそこ付いているようで、少しホッとしました。木全体を眺めると、まばらながらも一応今が満開のようでした。
 
 

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 歩道から鑓水口に出たら尾根道を東へ。トウグミの葉が展開し始めています。花は薄クリーム色の筒状で、表面に斑点のような小さな星状毛が散らばっています。今月下旬には開花するのでは。
 
 

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 早咲きのカワヅザクラが植えられている広場。毎年この桜の開花で春が遠くないことを知らされます。
 
 

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 尾根道脇に植栽されているヒイラギナンテン。常緑樹の紅葉は光沢があるものが多く、特にヒイラギナンテンは見事です。茎頂で葉が八方に伸び、その中央に花序が付きます。株によってはもう花が開いているものもありますが、この株はまだ蕾は小さそう。
 
 

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 ジンチョウゲが開花し始めました。蕾が寄り集まっていて、全部咲くと半球状になって可愛いです。香りも甘く華やかなんですよね。
 
 

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 南広場へ。大きなエノキの根元にポツンと緑の葉が茂っていました。スイセンの葉に似ていますが、やや幅広です。ツリガネズイセンかもしれません。以前この辺りで見たことがあるので。
 
 



 
2024年3月11日(月)
 

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 東展望台の先の尾根道を東へ。陽射しがずいぶん明るい感じになってきました。
 
 
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 ヤマハンノキが開花していました。垂れ下がっているのは雄花序で、開花前はもっとキュッと締まっていました。伸びて花と花の間に隙間ができることでそこから花粉を飛ばすという仕組みです。一方雌花序は小さく、雄花序の根元付近にポチッと付いています。
 
 

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 葉を内側に巻いた状態で冬を耐え忍んできたスイカズラ。春が近づきどことなく生き生きとした感じに見えます。
 
 

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 ニワトコの冬芽がほころび始めていました。混芽といって、「葉芽」と花芽の両方が入っています。
 
 
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 今年もキブシが目覚める時期になったんですね。花序を揺らす風はまだ冷たいですが、見ていて穏やかな気持ちになります。
 
 

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 芝地広場のクスノキ。冬芽は今はまだ黄緑色ですがこれから赤味を帯びていきます。そして葉が展開し、その葉の腋から花序を伸ばします。開花はGW前頃。
 
 

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 公園の東端にある多目的広場。あまり訪れることのないエリアですが、植栽されている樹木も何種類かあってそれなりに楽しめます。
 
 

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 その植栽されている樹木の一つ、ヤマモモ。これはまだ未熟な雄花序で、ぶつぶつしているのは雄花の葯です。成熟するとそれぞれが少し太って裂け、花粉を出します。ヤマモモは雌雄異株で、この木は雄の木。公園樹としては実が成らない方が管理しやすいですから、ヤマモモの他にもイチョウなども雄の木が植えられていることが多いようです。
 yamanekoが子供の頃、山間にある親戚の家に行く際、バス停からの山道にあったヤマモモの実を採って食べながら歩いたことを、なぜか今でも覚えています。そういうピンポイントの記憶ってありますよね。
 
 

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 トサミズキの花序。この株は満開状態でしたが、数十m離れたところにあるものはまだ冬芽の状態で、やっぱり株によって個性があるようでした。トサミズキは公園樹としてはポピュラーですが、名前のとおり自生地は高知県内の狭いエリアに限られるのだそうです。
 
 

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 内裏池でカルガモのつがい(?)がのんびりしていました。この池は昨晩秋に「掻い掘り」が行われているので少なくとも魚はいないはずです。ただ、調べてみると、カルガモは小魚や水生昆虫なども食べるものの主には植物食とのこと。いらぬ心配だったわけですね。
 
 
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 パークセンター脇のフェンスに絡みついているミツバアケビ。いつから生えているものか分かりませんが、ここ数年秋に実を付けているのを見ています。写真は冬芽。先端部分が冬芽で、その下のゴツゴツした部分は成長を重ねた短枝になります。
 
 

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 野草見本園でセリバオウレンが開花していました。数年前まではもっと株が多く勢いがありましたが、今は何とか生命をつないでいるといった感じに。写真のものは雄花で雌しべは退化しています。セリバオウレンには雄花、雌花、両性花があり、最も多く見られるのは雄花、次に両性花だそうで、雌花は少ないのだそうです。
 
 

 
 
 
2024年3月18日(月)
 

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 ジンチョウゲが満開状態に。辺りに強い甘い香りを漂わせていました。花は形態的には両性花ですが、株によって実が成るものと成らないものがあり、雌雄異株とされているようです。花の機能以外の要素で結実する、しないが分かれることがあるんですね。
 
 

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 コブシが咲き始めました。まだ花被片を開いている途中です。青空に純白の花が映えますね。
 
 

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 オオアラセイトウが群落を作っていました。南向きの斜面で、毎年ここでは他に先駆けて咲き始めます。別名をショカツサイ(諸葛菜)といい中国原産だそう。ハナダイコンとも呼ばれています。
 
 

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 今年もヒサカキの花が咲く時期になりました。ヒサカキは雌雄異株で、これは雌株。雌花の中に子房と雌しべの柱頭があることが分かりますね。雄しべは退化しています。
 
 
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 フサザクラも咲き始めました。園内ではここ以外に、大田切り歩道橋近くと九反甫谷戸にもあります。赤く束になっているように見える一つ一つが雄花で、それには花弁も萼もなく、雄しべの葯が見えている状況。雌花は黄緑色をしていて小さく、雄しべの束の根元でひっそりとしています。
 
 

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 エノキの高いところに寄生していたヤドリギ。その株の半分くらいが折れて地面に落ちていました。ヤドリギも雌雄異株で、写真の葉の間にある奴さんみたいなものは雌花。どうやら開花する前に落ちてしまったようです。開花といってもこの蕾が十文字に裂けて開き、中の雌しべが露出するという極めて地味なものですが。
 
 
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 鮎道にやって来ました。ダンコウバイはまだ元気に咲いていてくれました。yamanekoが長く暮らしていた広島あたりではダンコウバイは普通に見かけましたが、多摩丘陵では自生のものはあまりなく、むしろ近縁のアブラチャンが多いのだそうです。そう言われればそういう気がします。
 
 
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 カタクリの自生地へ。今年は株数が少ないように感じます。昨日までは暖かい日が続いていたのですが、今朝の冷え込みでやや弱り気味か。花被片の先端も少し痛んでいるようです。
 
 

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 シュンランの緑色は本当に瑞々しいですね。春の蘭という名を持つだけあって、毎年この花の開花が春を連れて来る感じです。
 
 

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 ヒカゲスゲ。名前に反して陽当たりの良いところを好むスゲです。茎の先端の小穂が雄花、茎の中ほどにある少しもじゃもじゃしている小穂が雌花です。
 
 

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 こちらが大田切歩道橋脇のフサザクラ。今年もたくさんの花を付けています。
 
 
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 鮎道の北側入口に生えているヒサカキ。こちらは雄株です。雄花の中にたくさんの雄しべが見えていますね。雌しべは退化しています。花の大きさは雌花より一回り大きいです。
 ここで花粉を付けた虫はさっきの尾根道にある雌株まで飛んでいってくれるでしょうか。
 
 

 
 
 
2024年3月27日(水)
 

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 ミツバアケビの開花が始まっていました。花弁はなく、花弁のように見える萼の内側にまだ未熟な雌しべが見えています。この部分が太って秋にアケビの実になるのです。花序はまだこれから長く伸びていき、先端に雄花を付けます。雄花にも花弁はありません。
 
 

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 内裏池の谷戸にやって来ました。ここにはタマノホシザクラの自生の株があります。今年は巷では桜の開花が遅れているようですが、この木では限られた枝に数輪開花していました。靖国神社の標本木で言うとようやく開花宣言できるレベルですね。
 
 
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 トサミズキは垂れ下がって花を付けるので見上げるアングルで。花の中の暗赤色のものは雄しべの葯です。
 
 
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 シナレンギョウも咲き始め。なんだかここにきていっぺんに植物が活動を始めた感じです。
 
 

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 こちらはヒュウガミズキ。さっき見たトサミズキとは親戚の関係です。花序は小型で、トサミズキと同様に一応枝からぶら下がる形ですが、ぱっと見は枝に直接付いているよう。土佐に日向ときて他にも何かあるのかと調べると、コウヤミズキやキリシマミズキというものもあるようです。
 
 
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 野草見本園にやって来ました。これはバイモ。中国原産で薬用に用いられるものだそうです。葉の先端が巻きひげ状になるのが特徴の一つだそう。日本には仲間が数種自生しているようです。ホソバナコバイモ、イズモコバイモ、カイコバイモ、ミノコバイモなどなど。
 
 

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 バイモは別名をアミガサユリといいます。その名の由来は花冠を下から覗いてみると一目瞭然。内側に褐色の網目模様があるのが分かります。
 
 

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 キランソウも春を告げる花ですね。これから野山では多くのシソ科の植物が開花していくでしょう。キランソウはその中でトップバッターです。
 
 
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 アケビ。今日最初に見たミツバアケビと同様にこちらも咲き始めです。小葉は5個あって(ミツバアケビは3個)、そのためゴヨウアケビと間違われることも多いようですが、ゴヨウアケビはアケビとミツバアケビが自然交配したもので両者の特徴を合わせ持っているとのこと。個体数も少ないのだそうです。
 
 

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 ヤマザクラの葉が展開し始めました。赤味を帯びているのは葉緑素がまだ十分に作られていからなのでしょう。ソメイヨシノの寿命は60年ほどと聞いたことがありますが、ヤマザクラの寿命は長く、そのため巨樹も多いのだそうです。
 
 

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 モミジイチゴも見上げて撮ることの多い花。青空をバックに純白の花が清々しいです。
 葉が掌状に5裂していて、これが名前の由来。花はモミジのそれとは比較にならないくらい大きいです。
 
 

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 このプヨプヨしたものはタマキクラゲ。きのこの仲間です。食べられるものだそうですが、味はないとのこと。大きさはおはじき(死語)くらいなので、相当な量を食べないと食べた気しないでしょうね。
 
 
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 クロモジの花芽もほころび始めました。雌雄異株ですが、これまで何年もこの株を見ていながら雄株なのか雌株なのか気をつけて見ていませんでした。今年は開花を待って確認してみたいと思います。