2023年 9月 小山内裏公園MAP
 
 
2023年9月6日(水)
 
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 鮎道脇に咲くヤブラン。この株はまだほとんど蕾の状態です。一列に並んで付いているようですが、よく見ると一か所に数個ずつ付いています。開花した後より今の状態がすっきりしていて、藪の中でも涼しげです。
 
 
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 ツルボの花序。秋の初めに咲く花です。ツルの名が付いていますがツル性の植物ではありません。春に葉を出し一旦枯れて、また秋に葉を出して花茎を伸ばすのだとか。なぜ?暑い夏は消耗するので地上部をなくすのでしょうか。
 
 

B
 ツリガネニンジンです。本来は円錐状の花序になるのですが、写真のものは既にほとんどが実になっていて、先端に残った最後の花のようです。実は萼片が残っていてタコみたい。花の形は釣鐘そのものですね。雌しべが突き出している様子は、釣鐘というより銅鐸か。
 
 

C
 敷石の目地に沿って生えていたメリケンムグラ。いわゆる雑草としてあまり注目されることのない花です。北アメリカ原産で、温帯に広く帰化しているそうです。海辺の砂礫地でも見たことがあり、なかなかタフな植物のようです。
 
 
D
 カラスウリの若い実。先端にまだ花の根元の部分(萼筒)が残っていますね。実は秋には朱色になり、木々が葉を落とした林縁でよく目立ちます。
 
 

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 野草見本園へ。今年はカリガネソウの開花が遅かったような。ようやく花数が多くなってきました。
 
 

F
 カワラケツメイの開花が今盛りです。1cmに満たない小さな花ですが、花冠の中に雄しべや雌しべがちゃんと揃っているのが見てとれます。マメ科の花の多くは蝶形花が主流ですが、このカワラケツメイは違っているよう。いわゆる普通の5弁の花の形です。
 
 
G
 公園の正面入口脇に茂るヤブツルアズキ。この花は蝶形花ですが、花を構成する旗弁、翼弁、竜骨弁がそれぞれ捻れ、特殊な形になっています。細長くぶら下がっているのは豆果。小豆の原種とされています。
 
 
H
 アレチヌスビトハギ。この花が蝶形花の典型例です。北アメリカ原産で、日本では昭和初期に確認されたそう。この辺りでも道端で普通に見かけます。
 
 

 
 
 
2023年9月12日(火)
 

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 アキノノゲシ。大型のキクで、高さ1mを優に超えます。舌状花は薄ベージュ色で柔らかい色合いです。
 
 

A
 ヤクシソウが咲き始めました。頭花は1cmくらいで、斜面を覆うように繁る様子をよく見かけます。
 
 

B
 キク3連発。これはノコンギクです。舌状花は薄紫色ですが、この野草見本園のものは特に色が薄く、ぱっと見白く見えるものも多いです。
 
 

C
 ツリフネソウはこれからが花の盛り。花冠はなんだかカメレオンみたいです。湿った環境を好む花です。
 
 

D
 地面から筆のようなものがニョキニョキと。これはヒガンバナの花茎です。伸び始めると数日で80cmくらいに達し、名前のとおりお彼岸の頃に花を付けます。
 
 

E
 耕作していない畑を覆っているのはメヒシバ。茎の先端で果序の枝を放射状に広げます。そこに小穂を密生させるのですが、イネ科だけあって小穂の付き方は米と同様です(小穂は稲でいうところの籾)。
 
 
F
 再び野草見本園へ。ハバヤマボクチが成長してきましたね。頭花は完全に開花するともう少し大きく、そして厳つくなります。
 
 

 
 
 
2023年9月20日(水) その1
 

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 湿地に生えるイボクサ。パークセンターの近くのビオトープに咲いていました。ツユクサの仲間で、ツユクサと同じ一日花です。名前は、葉の汁を付けるとイボが取れるという習俗から。
 
 
A
 今日は彼岸の入り。ヒガンバナは毎年この彼岸の期間をピンポイントで狙ったように開花します。ジョイナーの爪のような花被片を持つ花が6個ほど集まって一つの花序を形成しています。色といい形といい華やかです。
 
 

B
 ホオズキが赤くなっていました。藪に埋もれ、茎が途中でちぎれていて、無造作に草刈りにあったかのよう。去年栽培していたものの残りでしょうか。
 袋状のものは萼が膨らんだもの。中にミニトマトのような液果があります。子供の頃、この実で風船を作って遊んだ人も多いでしょう。実の皮だけ残して中身をほじくり出し、息を吹き込んで膨らませるのですが、途中で破れてなかなか上手くいかないんですよね。
 
 

C
 雑草として扱われ、なかなか顧みられることのないスズメノヒエ。花序をアンテナのように横に開きます。今は開花状態なのですが、花弁はないので、柱頭と葯が成熟して受粉可能な状態になったら開花です。一列に並んでいる黒褐色のものが花粉を受ける柱頭。花粉を出す葯はもう黒ずんで萎んでいます(本来は黄色)。
 
 

D
 野草見本園へ。秋の野花の定番、キンミズヒキです。よく見ると萼筒の縁に小さな鉤状の刺が並んでいて、実になった後この刺で動物や人間様の衣服にくっつきます。
 
 
E
 カリガネソウが舞うように咲き誇っていました。花期はもっと早い時期だったように思うのですが、認識誤りだったか。猿政山で初めてこの花に出会ったのも秋の始まりの頃だったように思います。
 
 

F
 公園と歩道との境界に垣根状に植栽されていたハギ。葉の先端が丸いのでヤマハギではないかと思うのですが、もしかしたらそれを基にした園芸品種かも。
 
 

G
 その垣根の中に白花を付ける株もありました。山野に自生する植物でも白花が出ることはそう珍しいことではありません
 
 

 
 
 
2023年9月20日(水) その2
 
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 ダンドボロギクです。北アメリカ原産で、昭和初期に愛知県の段戸山で発見されたものだそうです。高さは1・5mほど。直立し、姿勢がいいです。
 
 

A
 頭花は細長い総苞にタートルネックのように締め付けられ、開花してもこの状態です。中の種子が熟すと総苞が開き、タンポポのようなふわっとした白い冠毛が現れます。
 
 
B
 名前に反して人々の生活に活用されてきたクズですが、そもそもクズ(葛)は屑から転じたものではなく、奈良県にある国栖(くず)という地名から来たものだそう。そこが葛粉の産地だったということです。
 
 
C
 イタドリがびっしりと花を付けています。雌雄異株で、これは雄株。よく見ると雄しべが5個あるのが分かります(雌しべは退化している)。
 若い茎は食用になるほどしなやかですが、この時期は固く強靭になって、太いものは草本でありながら樹木のような質感になります。
 
 
D
 キバナアキギリが咲いている時期ではないかと思い九反甫谷戸へ。
 花の奥に見える褐色のものは退化した葯で、虫がもぐり込みこれを押すと花の上部に格納されている雄しべの完全な葯が現れ、虫の背中に花粉を付けるという、からくりのような機構を持っています。(花の上部の先から針のように突き出ているのは雌しべの柱頭。)
 
 

E
 内裏池に小さな流れが注ぎ込むあたりにミゾソバがあります。花は10個ほどが寄り集まって付き、見るからに窮屈そう。別名をウシノヒタイといい、これは葉の形が正面から見た牛の顔に似ているからだとか。だったらウシノカオの方がよいのでは。
 
 

F
 カラスノゴマ。この花の種子がゴマに似ているものの人間様の役に立つものではないということで、カラスが食べるに適するゴマという命名だそう。ただ、種子はごく小さいのでカラスであっても見向きもしないと思いますが。植物の名前には動物の名を冠して人の役に立たないという意味のものがままあります。
 
 

G
 クサギの果実。袋状だった萼が星形に開き、濃い紺色の実が顔を出しています。かなり目立とうとしているようですが、鳥はこれを食べるのでしょうか。そんな場面を未だ目撃したことはありません。
 
 

 
 
 
2023年9月27日(水) その1
 

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 この時期、花壇を彩るのはキバナコスモス。熱帯アメリカ原産だそうです。一年草なので、ここには毎年種を撒いているということなんでしょうね。
 
 

A
 シンロウバイの枝になんだか禍々しい姿のものが。これは偽果で花床(花の基盤の部分)が膨らんだもの。この中に果実が入っています。子房が成熟したものが果実なので、これは果実のように見えても果実ではないということですね。
 
 
B
 こちらはコブシの果実。集合果が裂けて果実が現れた状態です(葉陰にあるゴツゴツしたものが集合果)。果実自体は黒色ですが、それも皮のようにめくれて、中の朱色の種子が目立っています。
 
 

C
 大田切池まで下りてきました。水辺のススキが秋を感じさせます。普通、水辺にはオギが生えていますが、よく見ると株立ちになっているので、これはススキではないでしょうか。
 
 
D
 クズの果実。鞘にビロードのような毛が密生しています。触ると結構な剛毛です。根や茎、葉など利用価値の高いクズですが、果実の利用の話はあまり聞きません。調べたところ、調理を工夫すれば食べられないことはないようです。
 
 

E
 この時期、果実の写真が多くなります。これはゴンズイの果実。赤い実が裂けて中の黒色光沢のある種子が現れています。花は緑色で小さく目立たないのですが、実になると遠目にもゴンズイとすぐに分かりますね。
 
 

F
 キブシの冬芽。開花は早春ですが、花序は前の年の夏くらいから準備されていて、初めは枝に沿うように伸びています。それがこの時期になると垂れ下がり始め、最終的に開花時には玉暖簾のような姿になります
 
 

G
 またまた果実を。これはミズキの果実です。初めは赤い色をしていますがもう黒く完熟しているようです。鳥たちに人気のご馳走ですね。
 枝の伸び方がミズキの特徴を示しています。
 
 

 
 
 
2023年9月27日(水) その2
 

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 これはシロヨメナでしょうか。頭花をひっくり返して総苞を見たところそんな感じでした。花の左に写っている細長い葉がこの花の葉で、一般的なシロヨメナのものとは少し違いますが。
 
 

A
 フジカンゾウ。ちょっと大型のヌスビトハギといった感じの見た目ですが、あまり近縁ではないようです。果実がひっつき虫であるところも似ているのですが。
 
 

B
 キクイモとイヌキクイモ。地面を掘って根茎の太さを見なければなかなか区別は難しいとのことですが、舌状花の数も区別の指標となるそう。図鑑によるとキクイモは10個から20個、イヌキクイモは9個から15個とあります。写真のものはと見ると…、10個です。ここはより中心値に近いイヌキクイモということで。
 
 

C
 ヒガンバナをアップで。花が6個集まって付いていて、全体として球形になっています。隙間があるのでセパタクローのボールみたいですね。一つの花には花被片が6個、雄しべが6個、雌しべが1個あって、それぞれ長く反り返っています。
 
 

D
 シャクチリソバの花が咲いていました。ソバは中央アジア原産で古い時代に渡来したものだそうですが、このシャクチリソバはそれよりも遅れて入ってきたものだそうです。実にはえぐみがあって食用にはならず、もっぱら薬用として利用されてきたのだそうです。
 
 
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 イヌタデの花序が色付いています。まだ開花しているものはわずかで、これからが花期のようです。
 
 
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 植栽のコムラサキの実がいい色になっていました。ムラサキシキブやヤブムラサキに比べて実の付きが良く、ムラサキシキブとして売られているものの多くはこのコムラサキなのだそう。
 
 

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 これはシロノセンダングサでしょうか。白い舌状かが5個見えているのでそうだと思います。コセンダングサによく似ていますが、コセンダングサには舌状花がないので、そこが見分けポイントの一つ。
 
 

H
  オトコエシが満開。花序をアップで見ると沢山のアリが来ていました。アリが花粉を媒介するのか、それともアリは蜜と引き換えに護衛役を担っているだけなのか。調べてもよく分かりませんでした。