2022年 4月 小山内裏公園MAP
 
 
2022年4月2日(土) その1
 

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 まだ緑のない斜面にゼンマイが伸び始めていました。現状、背の高い方が「男ゼンマイ」(後の胞子葉)で、根元近くの背の低い方が「女ゼンマイ」(後の栄養葉)です。
 ゼンマイと言えば、昔の時計だとかからくり人形の動力装置として使われていた、渦巻き状に成形した金属の細い板を思い浮かべます。これがゼンマイ(植物)の名の由来かと思いきや、更に大元があって、それは「銭巻き」だそう。穴あき銭の穴に紐を通して束ねたもので、銭形平次が腰に下げているあれですね。あれ自体渦巻き状になっているわけではないですが。
 
 

A
 今日も野草見本園にやって来ました。
 オオアラセイトウです。別名をショカツサイ(ゥ葛菜)ともハナダイコン(花大根)とも呼ばれています。
 
 

B
 ヒトリシズカ。名前に反して、大人数だし賑やかそう。名前の由来は、静御前とのことで、単体で見ると舞を踊る静御前と言われて納得できないこともないような。
 
 

C
 イカリソウです。距が四方に張り出し、和船の碇のような形をしていますね。花の色は白色から赤紫色まで。その中間色もあります。
 
 
D
 こちらはキバナイカリソウ。野生種のキバナイカリソウは距は長いとのことですが、これは園芸種で、とてもイカリソウには見えない姿をしています。
 
 

E
 路傍のナズナ。普段あまり目を向けることはないですが、探そうとするとなかなか見つからないというパターンの花です。花の大きさは5mmほど。逆三角形の実が三味線のばちに似ているので、「ぺんぺん草」とも。春の七草のうちの一つです。



F
 小山内裏公園にはヤマザクラが多くあります。定番のソメイヨシノとは異なり花と同時に葉も展開するので、全体の姿から穏やかな暖かみが感じられます。
 
 
G
 キブシ満開。キブシは株ごとに雌雄が分かれていて、これは雄花。一つ一つの花の中を見ると、雄しべがたくさんあるのが分かります。雌しべもありますが小さく、本来の役割は果たせないよう。
 
 
H
 こちらは雌花。花の中に緑色の雌しべが見え、雄しべは退化しています。花序の見た目としては、雌花序は雄花序に比べて短めで、花の色も若干黄緑色がかっています。
 
 

I
 ミツバアケビの若い花序。先端部のつぶつぶが雄花、基部に近い方にある花っぽいのが雌花です。これからもうちょっと伸びると思います。
 
 

J
 これはミミガタテンナンショウでしょうか。仏炎苞が横に張り出して、耳たぶみたいだから「耳型」。(その2へ続く)
 
 

 
 
 
2022年4月2日(土) その2
 

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 この時期、1回の散策でたくさんの草花に出会います。
 鮎道へ。これはクサボケ。地面すれすれのところに花を付けます。「クサ」といいつつ、樹木です。
 
 

A
 クロモジです。葉は上に向かって、花は下を向いて付いています。
 
 

B
 モミジイチゴも葉が展開し始めました。花弁は輝くような白さ。初夏にできる果実は輝くようなオレンジ色です。
 
 

C
 鮎道。左手はサンクチュアリ、右手は園外になります。
 
 

D
 アマナです。「甘菜」というからには比較的美味しい部類だったんでしょうね、えぐみの強い野草が多い中では。
 外見はか細い感じで、陽が陰ると花を閉じてしまします。
 
 

E
 赤く長い葉柄が特徴のユズリハ。枝の先端に次の花芽ができていますね。新しい葉が伸びると、代を譲るかのように古い葉が落ちます。自生のものは関東には少ないとのことで、そのぶん公園樹として多く植栽されているそうです。
 
 

F
 尾根道に出ました。これはオオシマザクラですね。花弁が純白です。ヤマザクラ同様、花と同時に葉が展開しますが、葉がはじめから緑色なので、全体に涼やかな印象を受けます。葉にはクマリンという芳香物質があり、かつてはオオシマザクラの葉が桜餅の葉として使われていました。
 
 

G
 尾根道に覆い被さるように満開のヤマザクラ。ベンチに座って弁当を広げ、のんびりとお花見をしました。
 
 
H
 昼食後、尾根道を東へ。
 キハダの枝先に芽が出ています。小籠包のような形ですね。
 
 

I
 西展望広場までやって来ました。まだ2時過ぎですが、少し陽が傾いてきたような。
 
 

J
 これはナガバノタチツボスミレですね。葉の葉脈が赤いのが特徴。名前に「長葉の」とありますが、長いのは茎葉で、根生葉の方は丸っこいです。(写真右側の大きい葉はドクダミのもの)
 
 

 
 
 
2022年4月9日(土) その1
 

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 園の東の縁、車道脇にある小さな池です。冬場にはほとんど水がなくなりますが、この日はたっぷりと水を湛え、手前の土手の下から水がにじみ出ていました。
 
 

A
 完全に池の水の中に立っていたこの木、タチヤナギでしょうか。花の時期は既に終わり、実が成熟しつつあります。やがて一つ一つの実が割れ、柳絮と呼ばれる綿毛を纏った種子が現れます。
 
 
B
 この牛の角のようなものは? サイズは大きめの餃子ほどはあります。
 これはハリギリの新芽です。タラの芽と同じウコギ科で、これも山菜として重宝されていたそうです。
 
 

C
 白く輝くような若葉。これはコナラですね。既に花序が伸びてぶら下がっていますね。開花はまだのようです。
 
 

D
 小さな小さなキュウリグサの花。摘んで揉むとキュウリの香りがするからこの名になったということです。花冠の直径はわずか5mmほど。パステルカラーで可愛いですね。
 
 

E
 ミズキの葉が展開し始めています。これを見るのが毎年楽しみ。こんな淡い色をしているのはこの時期だけです。しなやかで柔らかそうですね。
 
 

F
 カラスノエンドウはマメ科特有の蝶形花。よく見ると面白い構造をしています。ちなみに名前は「烏の豌豆」ではなく「烏野豌豆」です。
 
 

G
 足下に小さなスミレが。これはノジスミレ。スミレに似ていますが、花の奥をよく見ると側弁の根元に毛があるかないかで違いが分かります。ノジスミレには毛がありません。また、全体的に小ぶりです。
 ちなみにスミレは「スミレ」という名のスミレ(??)。サクラという名のサクラやキクという名のキクはないですが、スミレという名のスミレはあるのです。根生葉が細長いのが特徴の一つ。
 
 

H
 多摩丘陵ではまだあちこちでカントウタンポポが見られます。春の陽をたっぷり浴びて、元気はつらつな感じですね。(その2に続く)
 
 

 
 
 
2022年4月9日(土) その2
 

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 ミツバアケビの花序。上の方にある花っぽい形のものが雌花、その下にぶら下がっている粒々のようなものが雄花です。甘いアケビの実は当然に雌花のところに付きます。
 
 

A
 ホバリングするクマバチ。ヤマザクラの周りをスーッと移動したり、しばらく止まったり。忙しそうでした。
 
 

B
 茎を15cmくらい立ち上げてその先端に花を付けるタチイヌノフグリ。花の大きさはオオイヌノフグリよりも一回り小さいです。海外(ユーラシア大陸)から入ってきたものだそうです。
 
 

C
 尾根道を東へ。緑のトンネルです。
 
 

D
 イロハモミジの花です。まだ開花していないものが多いですね。
 
 

E
 サルトリイバラの花が咲いていました。雌雄異株でこれは雌花の花序です。花冠の中央から雌しべの柱頭がのぞいています。よく見ると山羊の角のようにくるんと巻いた形をしているのが分かります。
 
 

F
 ミツバツチグリです。よく似た花にキジムシロがありますが、葉の付き方で違いが分かります。ミツバツチグリはその名のとおり3つの小葉からできていますが、キジムシロは奇数羽状複葉となっています。
 
 
G
 タワー状に花を付けるジュウニヒトエ。写真のものはまだ蕾もたくさんあります。盛りはこれからですね。
 
 

H
 ニガイチゴ。苦い苺という意味でしょうか。果実は甘く美味しいですが。よく似るモミジイチゴとの違いは花弁の形。ニガイチゴの方が細身です。あと、葉もニガイチゴの方が丸っこいですかね。(その3に続く)
 
 

 
 
 
2022年4月9日(土) その3
 

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 丘を下りていきます。早くも山吹が咲き始めていました。今年は花の咲く順番がなんか変です。
 
 

A
 「てめえら人間じゃねえ! 叩っ斬ってやる!」って、これは破れ傘刀舟。写真はキク科のヤブレガサです。見たまんまの名前ですね。
 
 

B
 トサミズキの若葉。まだシワシワですが、広がると丸い葉になります。葉の付け根に冬芽だった頃の芽鱗が残っています。くるっとカールした状態で。
 
 

C
 内裏池にやって来ました。このカルガモたちは夫婦かな。それにしてもこの池に餌になるようなものがいるのか。少なくとも魚はいないはず。
 
 

D
 タマノホシザクラの萼筒。花弁が散った後に残ったものです。これはこれで鑑賞に堪え得るような。
 
 
E
 ムラサキケマン。漢字では「紫華鬘」と書き、華鬘とは仏堂の装飾具の一種だそう。そう聞くとなんとなく仏具のシルエットのような。
 
 

F
 マルバスミレ。花の下の方にある葉はまさに丸っこいですが、これはカキドオシの葉。花の後に半分隠れて見えるのがマルバスミレの葉です。
 
 

G
 満開のクロモジの花。花序の上に付く葉とセットで見ると巾着のような形にみえ、ユーモラスです。
 
 

H
 カマツカの葉はわずかに赤く縁取られています。花はまだ蕾の状態。これまでこの時期にあまり注目したことはありませんでした。
 
 

 
 
 
2022年4月16日(土) その1
 

@
 多摩ニュータウン通りから小山内裏公園に上がっていく道。正面の森がいろんな緑色にパッチワークされていました。
 
 

A
 南広場へ。
 むむ、これはコスミレかな。全体の特徴にアカネスミレとの共通点が多く悩ましいです。側花弁の根元に毛があるのはアカネスミレ的ですが、コスミレにも地域によって毛のあるものあるとのことで、最終的には距の形で推定しました。
 
 

B
 草の間にアカスジキンカメムシの終齢幼虫がいたので、見やすいようにちょっと葉っぱの上に乗ってもらいました。体長は1cmほどです。
 
 

C
 枯れ枝にくっついているのはタマキクラゲというキノコ。触るとプルプルしていて、柔らかめのグミみたいです。潰すと、中はゼラチン状。茹でて食用にできるそうです。ちょっと勇気がいるかも。
 
 
D
 ジュウニヒトエ。唐衣を重ね着しているような姿に見えたのでしょうか。
 
 
E
 ホオノキの冬芽の中には花と葉が格納されていて、まず葉から展開していきます。葉は縦に二つ折りになっていて、葉と葉の間には薄い間紙のような、膜のようなものが挟まれています。葉と葉が癒着しないようにしているのでしょうか。
 
 

F
 2週間前に写真を撮ったゼンマイ。もう完成形になっていました。中心から立ち上がっているのが胞子葉、周囲の羽状複葉が栄養葉です。
 
 
G
 野草見本園に下りてきました。エビネが咲いています。高さは15cmほど。小ぶりですが、ここのは毎年このくらいの大きさです。
 
 

H
 イチリンソウ。その名のとおり、一輪で咲くことが多いです。
 
 

I
 一方、こちらはニリンソウ。二輪で咲くものだけでなく、一輪で咲いたり、三輪で咲いていたりします。
 
 

 
 
 
2022年4月16日(土) その2
 

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 ムサシアブミ。武蔵(=板東武者)の馬の鐙という名で、仏炎苞の形が鐙をひっくり返した形に似ているということです。その姿にも逞しさを感じます。
 
 

A
 パークセンター前の畑で菜の花(アブラナ)が満開。
 
 

B
 正面入口のシンボルツリー。ケヤキです。
 
 

C
 カキノキの若葉。しっとりしなやかで、触ると気持ちよかった。ちょっとひんやりした感触も。
 
 

D
 大田切池の畔にやってきました。これはコナラの開花です。花穂が枝にぶら下がっているぶんにはよいのですが、花期が終わると全部落ちて散らばって、汚らしくなるんですよね。でも、それもいつの間にかなくなって(目につかなくなって?)、たぶん大地の栄養になっているんだと思います。
 
 

E
 ウバメガシにもしなやかな若葉が芽吹いていました。そして花穂が。ウバメガシの花は初めて見たような気がします。こんな形だったんだ。
 
 

F
 この白い綿毛のようなものはイヌコリヤナギの柳絮。これからもっともっと出てきて、風に乗って遠くまで飛んでいきます。
 
 

G
 アケビ(五葉あけび)の花が咲いていました。ミツバアケビに比べて淡い色合いです。
 
 

H
 サルトリイバラは雌雄別株。これは雄花序です。花の中に雄しべは見えますが、雌しべは退化していてどこにあるのかよく分かりません。
 
 

I
 シロダモの若葉。ゴールドのうぶ毛に包まれて、光り輝いています。このうぶ毛はきっと若い葉を守っているんでしょうね。やがて毛は脱落して、固くつるっとした緑の葉になっていきます。
 
 

J
 ウワミズザクラの花序です。この姿で桜の仲間とは。似た桜にイヌザクラがありますが、イヌザクラの方が花の付き方がややまばらな感じ。あと、花序の茎に葉が付いているのがウワミズザクラ。イヌザクラの茎には葉が付きません。
 
 

 
 
 
2022年4月16日(土) その3
 

@
 鮎道へ。コバノガマズミが咲いていました。尾根緑道には植栽のガマズミが多くありますが、コバノガマズミはここにあるものしか知りません。おそらく自生のものだと思います。
 
 

A
  フデリンドウが咲きました。高さ10cmにも満たない小さなブーケです。よく似た花にハルリンドウがありますが、こちらはフデリンドウに比べてやや大型。そして決定的な違いはロゼット状の根生葉があります。フデリンドウには写真のとおり、根生葉はありません。
 
 

B
 これもサルトリイバラの花。さっき見たのは雄花序でこちらは雌花序。雌花の集合体です。雌しべの柱頭が膨らんでいるのが分かります。
 
 

C
 カタクリの花が落ち、果実ができていました。先端に枯れた雌しべが残っていますね。
 
 

D
 ヤマツツジが咲く季節になりました。薄暗い林の中に浮かび立つような色合い。そのコントラストが際立っています。
 
 

E
 チゴユリは咲き始め。鮎道のいたるところで出会うことができます。
 
 

F
 クサイチゴは、草といいつつ立派な樹木。背丈の割には花冠は大きく、直径4、5cmになります。高さは20cmから60cmほどです。
 
 

G
 今年はダンコウバイの花を見ませんでした。結局花を付けたのかどうか。でも葉は展開し始めました。特徴のある形です。
 
 

H
 ユズリハ。若葉の根元に褐紫色の雄花が伸び始めています。雌雄別種の木なので、この木は雄の木ということになりますね。花弁も萼片もない花で、褐紫色のものは雄しべの葯です。
 関東に自生のものは少ないとのことですが、ここのものは自生っぽいです。どうでしょうか。
 
 

I
 アカメガシワの芽吹き。まさにこの時期の芽が赤いからのネーミングです。赤い色の正体は赤い短毛が密生しているから。葉が少し生長して強くなってきたら脱落して、地の緑色が見えてきます。
 
 

 
 
 
2022年4月23日(土) その1
 

@
 尾根緑道。ずいぶんと緑が濃くなってきました。
 
 

A
 アオオサムシが木道の上で小休止していました。陽射しの下で見ると体全体がエメラルドグリーンに輝いて見えるのですが。
 
 

B
 植栽のシロバナトキワマンサク。涼やかです。
 
 

C
 南広場のイチョウに若葉が芽吹きました。葉の大きさはまだ2cmほど。ミニチュアみたいで可愛い。
 
 
D
 もうキンランが咲く季節になりました。里山の宝石です。



E
 いつも薄暗いところで咲いているシャガ。でも、花はバロック様式か(?)と思うくらい豪奢な作りです。
 
 

F
 ホウチャクソウが咲き始めました。白から緑への微妙なグラデーションが、台湾故宮博物館の至宝「翠玉白菜」のよう。
 
 

G
 サンショウの葉の展開。小山内裏公園にはサンショウの仲間が3種類自生していて、これは良い香りでおなじみのサンショウ。あと、カラスザンショウとイヌザンショウというのがありますが、こちらには芳香はありません。(その2へ続く)
 
 

 
 
 
2022年4月23日(土) その2
 

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 ケヤキの若葉。高いところを見上げて撮っています。ケヤキは高木なので普段はあまり視界に入ってきませんね。
 
 

A
 こちらはヌルデの若葉。羽状複葉の葉軸に翼があるのが特徴ですが、この段階で既に翼ができつつあります。
 
 

B
 見上げショット三連発。ホオノキです。陽を透かして緑のステンドグラスですね。
 
 

C
 首がだるくなる四連発目。これはキハダ。中心に若い花序がありますね。キハダは「木肌」ではなく「黄肌」。幹の樹皮を剥ぐと、蛍光イエローの木部が現れます(樹皮の内側も同じ色)。
 
 

D
 ツボスミレ。「坪」=「庭」という意味で、庭先に生えているスミレということになります。高さ8cm、花冠の大きさは1cmに満たない小ささです。
 
 

E
 ヤブツバキの若葉。常緑樹なので若葉の芽吹きはあまり目立ちませんが、蕾の先端から伸び出るように開いていき、生命力を感じます。
 
 

F
 園西部の尾根緑道。今日は気温も高く、もう初夏のような感じです。
 
 
G
 これは植栽されているシラン。おそらく公園外の人が花壇的に育てているものと思われます。
 
 

 
 
 
2022年4月30日(土) その1
 
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 ゴールデンウィークに入りました。
 南広場の縁の林にササバギンランが咲いていました。ギンランとの分かりやすい相違点は、茎葉が花穂よりも高く伸びるところ。
 
 

A
 マルバウツギが咲き始めました。花弁が広く開くので、中心のオレンジ色の花盤がよく見え、それがアクセントになっています。
 
 

B
 ホオノキの花は大ぶり。洗面器くらいの大きさがあります。でも花の寿命は短く、開花するとほどなく雄しべが落ちていきます。
 
 

C
 尾根道から里山広場に下りていく途中に高い木々を上から見下ろせるところがあります。ミズキの花序は葉の上に付くので、下からではこうは見えません。
 
 

D
 これは下から見上げたカツラの葉。丸っこいハート型をしています。
 
 

E
 野草見本園へ。
 ハンショウヅルの花冠は名前のとおり半鐘型。花弁はなく、花弁のように見えるのは分厚い萼片で、縁に白い毛が密生しています。
 
 
F
 エビネ。ラン科特有の複雑な形の花冠をしています。暗褐色の部分は萼片(背萼片・側萼片)、白い部分のうち左右にひろがっているのが唇弁、その上に小さな側花弁があります。エビネの中には側花弁が萼片と同じような姿となっているものもあります。
 
 

G
 ホタルカズラ。見事な瑠璃色の花冠です。大きさは500円硬貨ほど。花冠の裂片ごとに背骨のような隆起があるのにはどんな意味があるんだろう。(その2へ続く)
 
 

 
 
 
2022年4月30日(土) その2
 

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 公園の北側の縁に沿って歩道を歩きます。これは街路樹として植えられているアキニレ。若葉が展開し始めていました。
 
 

A
 この若葉、一見モミジのように見えますが、これはモミジバフウ。関西風とかの「風」ではなく、フウという樹木の種類です。葉がモミジの形に似ているので「もみじ葉フウ」ということ。まあ、もみじテイスト(風)というネーミングであることには間違いないですが。



B
 小山内裏トンネルの北側出口の上から。多摩ニュータウン通りです。去年の夏、オリンピックの自転車競技(ロードレース)のコースでした。
 
 
C
 トチノキの花は円錐花序。蜜を求めてアオスジアゲハが来ていました。花序は高いところに付くので、地面からは見上げるような角度になります。
 
 

D
 ツリバナ。漢字では「吊り花」。まさに枝から吊り下げられたように花が付きます。当然に実も。
 
 

E
 カラスザンショウにも若葉が展開し始めていました。成長すると、それこそカラスの羽根のようなごっつい感じの葉になるのですが、どの樹木でも若葉は瑞々しいものです。
 
 

F
 葉陰にウニみたいなものが。これはヒメコウゾの雌花です。ウニの刺みたいなものは雌しべの花柱。写真中央下の丸っこいものが雄花です。
 
 

G
 コゴメウツギの花は直径5mmほど。花弁はへら状で、花冠から飛び出しているように見えます。その間にある短いのが萼片です。(その3へ続く)
 
 

 
 
 
2022年4月30日(土) その3
 

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 アカシデにもう若い果穂が育っていました。小さな葉のように見えるのは果苞で基部に果実が実ります。花穂の姿はイヌシデによく似ていますが、葉の先端が尻尾のように伸びるのがアカシデの特徴。
 
 

A
 イヌザクラの花穂。一つ一つの花は5っmほどとごく小さいです。これでもサクラの仲間。同じように穂状の花を持つサクラにウワミズザクラがあります。ウワミズザクラが花穂に花を密に付けるのに対し、イヌザクラは写真のように若干抜けている部分が目立ちます。
 
 

B
 九反甫谷戸にやって来ました。フサザクラの特徴的な葉を見上げると、光を透かして綺麗です。こちらはサクラの名を持っていてもサクラの仲間ではありません。
 
 

C
 多目的広場に植栽されているハリエンジュ。ミツバチにとっての重要な蜜源植物です。明治時代に北米から渡来し、各地で砂防用に植えられたそうです。
 
 
D
 ギンランです。葉の長さを見るとササバギンランとの違いは一目瞭然ですね。高さ20cmほどで、ササバギンランよりやや小ぶり。キンランと比べるとずいぶん小型です。
 
 

E
 サワフタギの花を久しぶりに目にしました。花期が短いのか、タイミングを逸してしまいがちなのです。名前は、沢に覆い被さるように繁る姿から、「沢に蓋をする木」ということのようです。
 
 

F
 これはミヤマナルコユリですね。近縁のナルコユリとの主な違いは、葉の幅(ナルコユリの葉は幅が狭く被針形)と茎の断面の形(ナルコユリは丸、ミヤマナルコユリは稜がある)。
 
 
G
 こちらがキンラン。高さは30cm。ずいぶんひょろ長い印象を受けます。生育環境としては木漏れ日の差す林の中などが適しているようです。見つけると嬉しくなる植物ですね。