大和葛城山 〜晩秋の幸せ野山歩き(後編)〜


 

 (後編)

【大阪府 千早赤阪村・奈良県 御所市 平成30年11月18日(日)】
 
 晩秋の幸せの山歩き。大和葛城山の後編です。(前編はこちら

 Kashmir 3D

 9時10分に水越峠の手前のバス終点を出発。ダイヤモンドトレイルを北にたどって山頂直下までやってきました。

 大和葛城山山頂

 11時ちょうど、大和葛城山の山頂に到着。どうですかこの開放感。
 山頂部は若干のアンジュレーションはあるものの平坦で、かなり広い空間になっていました。仮にここで雷に見舞われたら逃げ場がないですね。

 三角点

 山頂の二等三角点。ほぼ埋まっています。なんで?

 西方向

 さて眺望は。
 こちらは西側、大阪方面です。北摂から泉南までかなり広い範囲が見渡せています。大阪湾とその沿岸が一望といった感じでしょうか。六甲山系もくっきりです。

 東方向

 こちらは東側、奈良方面です。こちらも先ほど稜線上から見渡したときよりもかなり広い範囲が見えています。大和平野北端部から南は紀伊半島中央部の大峰山系まで。写真右奥に見えるピラミダルな山は白鬚岳(1378m)です。

 大和三山

  6月に訪れた大和三山をアップで。そういえばあそこからここ葛城山を眺めたりしました。(こちら



 山頂部を南に移動してベンチを探します。ススキがいい感じ。秋ですね。

 昼食

 昼食はカップラーメンと、デザートにあんパン。コーヒー付き。写真はメインディッシュが終わった後です。



 昼食を終えひと心地ついて、秋の空を眺めると…、んっ?



 おお、パラグライダーではないか。さっきすれ違った人たちですね、きっと。



 山頂で1時間ほど休憩した後、下山開始です。丘を下りたところでダイヤモンドトレイルと別れ、右手へ。ロープウェイの山上駅の方へ向かいます。



 この道は軽装の観光客が通るので舗装路になっています。ここからも奈良方面の眺めを楽しむことができました。



 もうそろそろ紅葉の時期も終わりかけですが、風情のある色づき方に趣を感じます。

 イロハモミジ

 これはイロハモミジでしょうか。

 カラマツ

 この黄色っぽいのはカラマツ。針葉樹では少数派の落葉樹です。

 サラサドウダン

 この葉はツツジですね。サラサドウダンかな。



 道は尾根沿いにどんどん下っています。この時間からでもまだまだ上がってくる人も多いです。

 コマユミ

 この紅色系の紅葉はコマユミか。枝に翼があるとニシキギと呼びますが。いずれも深紅に色づくのが特徴です。

 登山道へ

 坂道を下りきると看板が。その脇から右手に下っていきますが、先日来の台風の影響でこの先のコースが一部閉鎖されているようで、代替ルートが設けられているとの注意表示がありました。ちなみに写真奥に直進するとすぐにロープウェイの山上駅に至ります。



 看板のところから急な坂を谷筋に向かって下っていきます。いきなりの急坂です。



 立ち枯れた木も目立ちますが、その様子から最近のことではないようでした。倒木更新がなされる前にササに覆われたといった感じでした。

 ブナ

 この黄葉はブナか? ブナですね。



 谷筋でありながら日当たりが良いのか、紅葉が鮮やかです。



 谷の底まで下りきると、今度はその谷筋に沿って高度を下げていきます。足元には一面に紅葉の絨毯が敷きつめられていて、もう見事としか言いようがありませんでした。



 「紅葉谷」と命名してもまったく名前負けしないくらい、谷中が落ち葉で覆い尽くされています。

 フレディ?

 春先に芽吹き、一生懸命に光を浴びて栄養を作り出し、今その役割を終え土に還る。十分に生きたかい?と心の中で問いかけます。



 途中、山腹をトラバース気味に渡るところが大きく崩壊していました。既に階段が掛けられているところからすると、崩落は最近のことではないでしょう。



 崩落場所を真上から。ここから滑落すると、場合によっては命を落としかねません。



 崩落地からしばらく行くと左手に進入禁止の表示が。本来ならここを左に折れて谷筋に下っていくのですが。ここが閉鎖されているルートの分岐で、今日は直進し、尾根沿いの道を下っていくことになります。



 森の中を下って行くと見事なモミジの紅葉に出会いました。ちょうどそこだけに光が差し、スポットライトに浮かび上がっているようです。



 植林地を歩きます。山道が雨水で浸食されていることはままありますが、ここはのその源頭部です。実際この先に下っていくとそのえぐれはどんどん深くなっていき、最終的には人の背丈以上の「谷」にまでなっていました。この源頭はこれからも上に向かって延びていくんでしょうね。



 先ほどの進入禁止の分岐から15分ほど下ると、そのルートとの合流点に至りました。もちろんこちら側からも進入禁止になっていました。



 木立の先に明るく開けたところが見えました。もうずいぶんと下ってきたので、そろそろ山麓に近いのかもしれません。



 おっ、ロープウェイの登山口駅が見えました。でも麓の町はまだかなり下にありますね。

 葛城山ロープウェイ

 休憩がてらしばらくゴンドラが通るのを待っていると、案外速いスピードで通り過ぎて行きました。



 谷筋に降りてきました。砂防ダムでせき止められた大量の土砂で河床が高く幅広くなっています。ゴール地点はここを右に折れますが、左手すぐに「くじらの滝」という滝があるとのことなので、向かってみることに。

 くじらの滝

  「ザ・滝」、絵に描いたような滝でした。何がクジラなんだろうと調べてみたら、くじらは「鯨」ではなく「櫛羅」と書くのだそうで、この辺りから麓にかけての地名だそうです。調べてみると、大正時代半ばまでは櫛羅村という村だったようで、更に遡ると明治の廃藩置県直後には櫛羅県として存在していたのだとか。えっ?県? 「県」からイメージするエリア感からするとちょっと不思議ですが、この時期県の数は全国で300に達していたとのことで、現在の奈良県のエリア内に10の県があったそうです。



 あらためてゴールの山麓駅に向かいます。砂防ダムの先は再び渓谷に。



 これは、シラネセンキュウ?  セリ科の何かです。

 ゲート

 獣除けのゲートが現れました。登山道はここでおしまいです。

 登山口駅

 標高320m、盆地面からの比高230mにあるロープウェイの登山口駅山麓駅です。この先のバス停をゴールとしましょう。

 バス終点

 この広場が奈良交通バスの終点。葛城ロープウェイ前バス停です。だだっ広いのは回転場になっているからです。

 大和葛城山

 13時40分、無事にゴールに到着しました。時刻表を見てみると1時間に1本のバスが16分後に出ます。
 バス停のベンチに腰掛け、靴紐を緩めながら葛城山を見上げます。ロープが架かっているピークは葛城山の山頂ではなく、東側に張り出した支尾根の先です。



 このあたりは大和盆地の南の端。静かな里の秋の風景が広がっています。さて、ここから近鉄御所駅に向かいます。
 ほどなくバスがやって来て、麓の町を目指して坂道を下っていきました。途中確かに櫛羅という集落がありました。

 御所駅

 御所駅は近鉄南大阪線から分かれてわずか3駅ほどしかない御所線の終点。なんでこんな短い路線があるんだろうと思っていましたが、どうやら計画ではこの先五條市や橋本市の方まで延伸する予定があったのだとか。その計画はとうに沙汰止みになっているようですが。どうりでホームの様子が終着駅っぽくないなと思いました。
 この後2回乗り換えて藤井寺駅まで戻り、バスで帰宅。晩秋の野山歩きを無事に終えました。