中央森林公園 〜「山の日」で秋を満喫〜


 

【広島県三原市 平成17年10月16日(日)】
 
 今年で4年目の「ひろしま『山の日』」。もともとは海の日があるのだから山の日を作ろうという発想で、山や森林に関係する団体でスタートしたイベント。しかも祝日のない6月に、ということで去年までは6月に行われていました。
 今年は広島県植樹祭との共同開催でこの時期になりました。場所は三原市(今年の3月下旬までは豊田郡本郷町)にある中央森林公園。ここは平成5年に広島空港を造成した際にその隣に造った公園です。

 出展ブース数は40を超え、なかなか賑やかです。
 開会セレモニーでは県知事が一言挨拶をして、さっさといなくなってしまいました。黒塗りの車列とともに。
 自然観察指導員連絡会が出展するのはもちろん自然観察会。他のブースではネイチャーゲームやカービング、木工教室など。コンサートや里山整備活動なども行われるようです。

 連絡会のブース
 

 今回の観察会は2コース。午前中はこの公園や空港の全貌を見渡すことができる展望台まで行くコース。午後は公園の東端にある女王滝まで行くコース。それぞれ1時間半から2時間程度の行程です。またブースでは「打ちあげラワン」というちょっとしたおもちゃ作りもやってみたいと思います。

 受付担当の「ブク」
 

 午前10時、この時点で受付を済ませた人たちを連れて2組ほどスタートしていきました。一組あたり2、3人のスタッフがついて案内します。yamanekoはこのあとパラパラとくる人を集めてスタートする役回り。それまでは「打ちあげラワン」の準備でも。

 打ちあげラワン担当のRさん
 

 ラワンは東南アジアの森に生える、高さ40mにもなる大木で、日本には材木として輸入されています。
 この木の種子は2〜5枚の翼を持っていて、クルクルと回りながら落ちていきます。種子が大きく重いので、落下のショックをやわらげるための工夫なのです。その形はちょうど羽根突きの羽根のよう。翼の部分はスチレンペーパーという薄いスチロール板を、種の部分は板磁石(冷蔵庫のドアなどにくっついているやつ)を2p四方に切ったものを使います。

 飛んだー!

 そうこうするうちに3組目がスタートすることに。案内役はMさんとyamanekoです。時計を見ると10時45分。展望台のある丘まで行って帰ると、ここに戻ってくるのは12時半くらいになるでしょうか。
 まずはスタッフの自己紹介。そしてコースの説明(トイレの場所なども)をしてスタートです。

 「マツボックリが…」
 

 初めはサイクリングコース沿いに歩き、丘のふもとまでやってきたら、そこから山道に。でも整備された遊歩道なので小さな子供でも大丈夫です。

 展望台へ
 

 ここ中央森林公園は去年の11月に定例観察会を行った場所です。晩秋の里山を歩いてずいぶんリフレッシュした思い出があります。去年の様子はこちらから

 「なんだろう」
 

 冬眠前のアカガエルがヨタヨタと歩いていました。気温が低くなってきたせいか動きが鈍いです。カメラを近づけようがのぞき込もうが我関せず。こんな調子だったらモズなんかの餌食になってしまうのも分かるような気がします。

 カマツカ  ヤブムラサキ

 展望台の頂上に到着しました。360度の眺望があり、目の前に広島空港の滑走路が見えます。このナスカの地上絵のような飛行場の難点は広島からバスで1時間もかかるということ。これは東京までの飛行時間と同じ長さです。

 take off
 

 飛行機には年に何回かは乗りますが、どう考えてもあんなものが宙に浮かぶことが納得できません。推進力がどうの揚力がこうのといわれても頑として納得しません。

 賀茂台地
 

 展望台から見渡すとあたりは同じような高さの山並みが延々と続いています。世羅台地です。この特徴のある地形については9月の定例観察会のレポートで書いたので、そっちを参照ということで。
 上の写真のちょうど中央部は7月の定例観察会のフィールドとなった棲真寺がある場所。こちら側との間には沼田川が刻み込んだ深い谷があります。
 
 さて、そろそろ丘を下りて出発地点に向かいましょう。お腹も空いてきました。

 コウヤボウキ  センブリ

 コウヤボウキの頭花は小さな筒状の花が寄り集まったもの。花冠の先が反り返っているのが特徴です。高野山の僧侶がこの花の枯れ枝を束ねて箒に使ったことから名が付いたといわれています。
 センブリは健胃薬として有名ですね。そのあまりの苦さから、千回振り出しても苦みがなくならないとして名が付いたといわれていますが、決していやな苦みではないのでこの花を見るとつい葉を囓ってしまいます。胃にもよさそうですし。

 スタート地点のブース前に帰ってきたのは12時半を回っていました。参加者のケガの有無を確認して午前の観察は終了です。午後はというと他のスタッフは女王滝コースの観察にでかけましたが、yamanekoはずっとブースに残って子供達と打ちあげラワンを作っていました。これはこれで楽しいひとときでした。

 今回の観察会に参加した人たちは自然と親しむことができたでしょうか。自然サポーターのすそ野を広げることが我々の観察会の目的。そのためにはまずスタッフ自身が自然の中で楽しむ姿を見せることが大切だと思います。その点においてはyamanekoは自信があります。ともすれば参加者をさしおいて楽しんでしまいがちですから。