野冠〜宇賀 〜定点観察・初秋〜


 

  観察場所はこんなとこ

【広島市安佐北区 平成16年9月25日(土)】
 
 暑い暑い夏、そして度重なる台風の襲来。自然の過酷な面が目についたこの2ヶ月でした。
 太田川中流域の定点観察も9月で3回目。今回の定点観察ではいったいどんな表情を見せてくれるでしょうか。

 スタートからヤブ蚊が多いのに閉口しました。秋が訪れ少し過ごしやすくなったこの季節は蚊にとっても活動しやすい時期なのだそうです。
 
 ツユクサの花があちこちに咲いています。花自体は一日でしぼんでしまいますが、花期はけっこう長いようです。

 オオハンゲの果実

 オオハンゲの果実がふくらんでいました。納豆みたいです。

 オオハンゲの花

 花はこんなにスマートなのに…。ちなみに、サトイモ科です。

 ミゾソバ

 ミゾソバもまだまだ元気。行程2qほどの観察地点全体にわたってたくさん咲いていました。今回の主役です。
 そういえば、ミゾソバの他にもハナタデ、ミズヒキ、イヌタデ、イタドリと、タデ科の植物が多く目につきました。そういう時期なんでしょうか。

 キツネノカミソリの果実

 キツネノカミソリはヒガンバナ科。同じ仲間のヒガンバナやナツズイセンは普通は実を結びませんが、このキツネノカミソリはよく実をつけるそうです。
 これから秋が深まると影も形もなくなり、そして次の春早くカミソリのような細い葉がたくさん伸びてきます。その葉も夏になると枯れてなくなり、替わりに花茎が伸びて花を咲かせます。花と葉はすれ違いなのです。

 ジョロウグモ

 ジョロウグモです。今はまだスマートですが、秋の深まりとともにプックリと太っていきます。このクモは他の仲間と寄り集まって網を張る習性があるそうで、その際にはお互いに網の一部を融通しあいながら網を張るのだそうです。そういえば写真のジョロウグモの網のすぐ横に他のジョロウグモが網を張っていました。

 増水

 この時期のぐずついた空模様を「秋の長雨」と呼ぶだけあって、先週から降ったりやんだりです。太田川の水位もぐんと上がっていて、岸の砂地や中州は全部水の下。流れも驚くほど速い!

 クサボタン

 クサボタンはキンポウゲ科。この科の花の多くがそうであるように、クサボタンの花弁のように見える部分は萼片です。

 平成16年5月30日
 
 平成16年7月24日
 
 平成16年9月25日

 川幅いっぱいの水。瀬の部分が白く波立っています。
 こうしてみると川面の表情一つとっても変化があることが分かります。5月のときは鏡のように静かですし、7月のときは水位が下がっていて水面にさざ波がたっています。河原の植生にも変化があるように見えます。

 ハキダメギク

 ハキダメギクなんていう名がまったくそぐわない可愛いキク科の花です。東京は世田谷の掃き溜めで見つかったからだとか。オイ、オイ…。5個の白い舌状花はカメノテみたいな形です。花の大きさは直径約8ミリほど。

 水生生物調査

 今回は午後から水棲生物の調査をしました。場所は高山川(太田川の支流)で、流れの幅は約2m。水深は20p〜30pです。

 生き物たち

 流れの中の石をめくって、川下側に構えた網で生き物をキャッチします。(めくった石は必ず元通りに戻します。)
 カワゲラ、サワガニ、ナガレトビゲラ、ヒラタカゲロウ、ヘビトンボと、きれいな水に棲む生物がたくさんいました。まだまだ豊かな自然が残っています。

 懐かしい…

 こんなものまでいました。シマドジョウです。こんなに近くで見たのは子どもの頃以来です。何十年ぶりでしょうか。
 ひととおり観察が終わったら、皆さんもとの川に戻っていただきました。
 

 ◎これまでに見かけた植物(気づいたものだけです) ○花、●実

5月 7月 9月 11月 1月 3月
オニタビラコ(キク科)        
ハナニガナ(キク科)          
ヨメナ(キク科)      
ノアザミ(キク科)          
オニノノゲシ(キク科)          
ハルジオン(キク科)          
ヒメジョオン(キク科)          
イナカギク(キク科)          
ヨモギ(キク科)          
タカサブロウ(キク科)          
ベニバナボロギク(キク科)          
ヒヨドリバナ(キク科)          
ヤマシロギク(キク科)          
シラヤマギク(キク科)          
ハキダメギク(キク科)          
スズメウリ(ウリ科)          
オトコエシ(オミナエシ科)          
ヘクソカズラ(アカネ科)          
オオバコ(オオバコ科)     ○●      
スイカズラ(スイカズラ科)          
トウバナ(シソ科)      
アキノタムラソウ(シソ科)          
アキチョウジ(シソ科)        
ヤブムラサキ(クマツヅラ科)          
コナスビ(サクラソウ科)          
ヤブジラミ(セリ科) ○●          
ノブドウ(ブドウ科)   ○●        
ナンテンハギ(マメ科)        
ヌスビトハギ(マメ科)     ○●      
トキリマメ(マメ科)          
ヤブマメ(マメ科)          
ノササゲ(マメ科)     ○●      
クズ(マメ科)          
ゲンノショウコ(フウロソウ科)     ○●      
カタバミ(カタバミ科)        
ヘビイチゴ(バラ科)          
ユキノシタ(ユキノシタ科)          
ウツギ(ユキノシタ科)        
コガクウツギ(ユキノシタ科)          
マルバマンネングサ(ベンケイソウ科)          
イヌガラシ(アブラナ科)          
クサノオウ(ケシ科)          
タケニグサ(ケシ科)          
ケキツネノボタン(キンポウゲ科)          
ウマノアシガタ(キンポウゲ科)          
ハンショウヅル(キンポウゲ科)        
クサボタン(キンポウゲ科)          
ウシハコベ(ナデシコ科)          
ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)   ○●        
ヒカゲノイノコヅチ(ヒユ科)        
ハナタデ(タデ科)          
ミズヒキ(タデ科)          
イタドリ(タデ科)        
ミゾソバ(タデ科)          
イヌタデ(タデ科)          
ニワゼキショウ(アヤメ科)          
オニドコロ(ヤマノイモ科)        
ヤマノイモ(ヤマノイモ科)        
キツネノカミソリ(ヒガンバナ科)        
ヒガンバナ(ヒガンバナ科)          
オオバギボウシ(ユリ科)          
ウバユリ(ユリ科)          
ヤマジノホトトギス(ユリ科)          
ツユクサ(ツユクサ科)      ○        
マムシグサ(サトイモ科)          
オオハンゲ(サトイモ科)   ○●      
オヒシバ(イネ科)          
チジミザサ(イネ科)          
ススキ(イネ科)          
カキノキ(カキノキ科)          
イボタノキ(モクセイ科)          
ウリノキ(ウリノキ科)          
ヒメコウゾ(クワ科)          
シロダモ(クスノキ科)          
ナガバノモミジイチゴ(バラ科)          
ヘビイチゴ(バラ科)          
ヤマフジ(マメ科)          
アオツヅラフジ(ツヅラフジ科)          
ミツバウツギ(ミツバウツギ科)        
キブシ(キブシ科)      
ヤマガシュウ(ユリ科)          
ナラガシワ(ブナ科)        
オニグルミ(クルミ科)        
ノグルミ(クルミ科)          
マタタビ(マタタビ科)          
テイカカズラ(キョウチクトウ科)          
ネコノチチ(クロウメモドキ科)