野冠〜宇賀 〜定点観察・盛夏〜


 

   観察場所はこんなとこ

【広島市安佐北区 平成16年7月24日(土)】
 
 7月の定点観察です。場所は安佐北区安佐町野冠(のかずき)地区から宇賀地区にかけて。何の変哲もない川沿いの自然ですが、2ヶ月前の前回とはまた違った表情を見せてくれるでしょう。

 旧小河内駅

 午前9時、昨年廃線になったJR可部線の旧小河内駅前に集合。ここを出発してから橋を渡ったところが野冠地区。ここから太田川の右岸を2qほどさかのぼったところが宇賀地区です。

 旧可部線

 廃線から半年あまり。レールは赤茶色く錆び、夏草がバラスの中にも入り込んでいます。

 野冠橋 
 (奥には久地冠山)

 小河内駅から線路に沿った国道を200mほど下ったところに野冠橋があります。幅はトラック1台分。橋の中央部分だけが広くなっていて、ここで車が離合できるようになっています。この橋を渡ると野冠地区です。

 観察フィールド

 野冠橋から北の上流側を望むと右岸(向かって左側)に観察フィールドが見えます。
 今日も暑くなりそうです。

 クサノオウ

 この時期花は少ないのですが、それでも注意してみるといくつか見つけることができます。
 クサノオウは茎や葉を切ると黄色の乳液が出るので「草の黄」と記すのだという説があります。この乳液は有毒ですが一方で鎮痛などの薬効もあり、薬草の王様ということで「草の王」だともいわれています。ちなみにクサノオウはケシの仲間です。

 オニドコロ

 つる状の茎にハート型の葉を付けているのはオニドコロ。ヤマノイモの仲間ですが、根茎は苦みが強くて食べられないそうです。ヒメドコロ、カエデドコロ、タチドコロなど、仲間には「トコロ」と名の付くものが多くあります。「トコロ」は「野老」と書き、ひげ根のついた根茎を、老人のひげにたとえたとのことです。

 マルバマンネングサ

 マルバマンネングサの写真を撮ろうとしゃがんだら、足下がヒヤ〜ッとします。なんだ、なんだ?
 よく見ると風穴みたいな岩の裂け目から冷蔵庫の冷気のような空気が出てきているではないですか。みんな、オォーッと驚いています。いったいどこからやってきているのか。冷気は一向に途切れる様子がありません。
 うだるような暑さの中、ほんの一時ですが涼を味わうことができました。

 歩きなれたこのコース。車だと2分くらいで通り過ぎますが、我々のペースではたっぷり3時間はかかります。

 ネコノチチ

 この発光ダイオードのようなものはネコノチチの果実。黒く熟す前にバラバラと落ちていました。

 カタバミ

 図鑑には「世界中に分布する雑草」と記載されています。繁殖力が強いのでしょう。
 でも花をよく見ると、きれいな光沢と調和のとれた形。なかなかのものです。

 クズ

 「ジャパニーズ・グリーン・モンスター」 アメリカではクズのことをこう呼ぶことがあるそうです。
 クズが一気にほかの植物を飲み込んでいくさまはまさにモンスター。

 平成16年7月24日  平成16年5月30日

 ○定点写真
 この2ヶ月の間に大きな変化が…、ないですね。夏だから若干水位が水位が下がっているくらい?
 5月のときは雨模様で靄っていたので奥にある本串山が隠れていましたが、今回はくっきりと見えています。あと、水辺で遊ぶ家族連れがいることも夏らしい風景か。
 9月はどうなっているでしょうか。(大差ないという声も…)

 
 ◎これまでに見かけた植物(気づいたものだけです) ○花、●実

5月 7月 9月 11月 1月 3月
オニタビラコ(キク科)          
ハナニガナ(キク科)          
ヨメナ(キク科)        
ノアザミ(キク科)          
オニノノゲシ(キク科)          
ハルジオン(キク科)          
ヒメジョオン(キク科)          
イナカギク(キク科)          
ヘクソカズラ(アカネ科)          
スイカズラ(スイカズラ科)          
トウバナ(シソ科)        
アキノタムラソウ(シソ科)          
アキチョウジ(シソ科)          
ヤブムラサキ(クマツヅラ科)          
コナスビ(サクラソウ科)          
ヤブジラミ(セリ科) ○●          
ノブドウ(ブドウ科)   ○●        
ナンテンハギ(マメ科)          
カタバミ(カタバミ科)          
ヘビイチゴ(バラ科)          
ユキノシタ(ユキノシタ科)          
ウツギ(ユキノシタ科)        
コガクウツギ(ユキノシタ科)          
マルバマンネングサ(ベンケイソウ科)          
イヌガラシ(アブラナ科)          
クサノオウ(ケシ科)          
タケニグサ(ケシ科)          
ケキツネノボタン(キンポウゲ科)          
ウマノアシガタ(キンポウゲ科)          
ハンショウヅル(キンポウゲ科)        
ウシハコベ(ナデシコ科)          
ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)   ○●        
ヒカゲノイノコヅチ(ヒユ科)          
イタドリ(タデ科)          
ニワゼキショウ(アヤメ科)          
オニドコロ(ヤマノイモ科)          
ヤマノイモ(ヤマノイモ科)          
キツネノカミソリ(ヒガンバナ科)          
オオバギボウシ(ユリ科)          
ウバユリ(ユリ科)          
マムシグサ(サトイモ科)          
オオハンゲ(サトイモ科)          
カキノキ(カキノキ科)          
イボタノキ(モクセイ科)          
ウリノキ(ウリノキ科)          
ヒメコウゾ(クワ科)          
シロダモ(クスノキ科)          
ナガバノモミジイチゴ(バラ科)          
ヘビイチゴ(バラ科)          
ヤマフジ(マメ科)          
ミツバウツギ(ミツバウツギ科)        
キブシ(キブシ科)        
ヤマガシュウ(ユリ科)          
ナラガシワ(ブナ科)          
オニグルミ(クルミ科)          
ノグルミ(クルミ科)          
マタタビ(マタタビ科)          
テイカカズラ(キョウチクトウ科)          
ネコノチチ(クロウメモドキ科)