尾瀬ヶ原 〜厳しい季節を迎える前に(前編)〜


 

 (前編)

【群馬県 片品村 令和元年10月14日(月)】
 
 去年1年間、大阪で暮らしていたyamaneko。それまで毎年訪れていた尾瀬に行くチャンスがなく(大阪からは想像していた以上に時間がかかる)、この秋、2年ぶりに訪れることができました。元々は9月下旬に計画していたのですが、天気が良くなく10月に延期。今回も直前に上陸した台風の影響を心配し、あちこちから情報を収集しました。幸い大きな影響は受けていないようで、特に今回予定している鳩待峠〜山ノ鼻〜尾瀬ヶ原ではほぼ影響ないとのこと。天気は下り基調ではあるものの、満を持して久しぶりの尾瀬に会いに行くことにしました。

 
                       
 
 今回の尾瀬行きは職場の仲間、Mさんと二人連れです。午前5時過ぎ、JR高尾駅でMさんをピックアップして、出発。本来なら圏央道の高尾山ICから高速に乗るのですが、台風の影響で八王子JCTを中心として前後の区間が通行止めになっていたので、しばらく下道を走り、あきる野ICから圏央道に上がりました。
 家を出た辺りでは小雨がパラついたりしていましたが、高速道路を北に向かうにつれて、雲の切れ間も見え始めました。

 尾瀬エリア
 
Kashmir 3D
〔今回のルートを大きな地図で〕

 沼田ICで関越自動車道を下りて、国道120号線を片品村方面へ。戸倉の駐車場に着いたのは8時前でした。ここからは乗り合いバスで移動。戸倉ではバスとワゴンタクシーが順次出発し、待ち時間はほぼありません。料金はどちらも同額です。
 ちょうどバスが出るタイミングだったのでこれに乗車。ほぼ満席で出発しました。

 鳩待峠

 乗車時間30分強。峠手前の駐車場でバスを降りるとかなり肌寒く、たまらずフリースを着込むことに。
 50mほど先の峠の広場に移動して、軽くストレッチをしてから出発しました。時刻は8時30分です。



 山ノ鼻に向かって下っていきます。
 歩き出しは雨上がりといった感じの空模様。紅葉も終盤を迎え、全体的に茶色です。



 しばらく下ると雲が切れはじめ、明るくなってきました。これまで茶色に溶け込んでいた赤や黄色が発色し始めたかのようです。



 小さな流れを渡ります。前日までの雨のせいか水量は豊富でした。



 これこれ、この感じ。こういう青空の下で尾瀬散策がしたかったのです。



 今年も尾瀬に来られて良かったなあと、しみじみ思いながら歩いていきました。ただ、足元の木道は濡れていて、ちょっと油断すると滑ってしまうので、ぼんやりとはしていられません。尾瀬エリアでの過去の事故の例を見ても木道上でのものが多いのです。

 至仏山

 木立の間から至仏山の山頂が顔を出しました。至仏山は尾瀬を代表する山の一つで、尾瀬ヶ原の西端にどっかと腰を下ろしています。



 木道は、小さなアップダウンを繰り返しながら山ノ鼻に向かって緩やかに山腹を下っていきます。いかにも滑りそうですね。

 至仏山

 おお、秋空の下の至仏山。尾瀬のもう一つの名峰燧ヶ岳よりもうんと古い地質でできた山だそうです(2億年以上前とも)。どっしりとした雰囲気があるのはそのせいかもしれません。

 オオバクロモジ

 これはオオバクロモジ。クロモジの仲間ではありますが、主に日本海側の雪の多い地域に分布するのだそうです。



 ずんずん下っていきます。この辺りはかなり渋い感じの紅葉になっていますが、それでもバックが青空だとそれなりに綺麗ですね。



 鳩待峠から山ノ鼻に下りていく間に、こんな感じで支沢を渡るところが何箇所かあります。足を滑らさないように要注意。

 ツタウルシ

 ミズナラの幹を登るのはツタウルシですね。多くの人は触るとかぶれてしまいます。yamanekoも以前大変な目にあったことがありますが、それ以来なんだかウルシ全般に耐性ができてしまったようなんですよね。そんなことってあるんでしょうか。



 なんだかんだで今年も秋が深まる季節になったんですね。一年がホント早くて困ります。



 急な階段で山腹を下ってきた木道が、この先で河原の高さに下りきります。そこからは川に沿う形で傾斜が緩やかになります。

 ヤマウルシ

 これはヤマウルシの葉ですね。奇数羽状複葉で、葉柄側から先端に向かって小葉のサイズが大きくなっていくのが特徴です。

 アサノハカエデ

 黄葉しているこれはアサノハカエデ。麻の葉がそうであるように、葉の基部から三方に伸びる葉脈がくっきりと目立っていることからこの名が付いたとのことです。



 この区間で唯一小広い園地のような場所に出ました。春には一面のミズバショウで綺麗なところです。



 なんか再び曇り空になってきました。それでもちょうど盛りの紅葉は見事なものです。



 なかなか見事な紅葉ですね。滲むような赤が印象的です。

 マルバダケブキ

 これはマルバダケブキの花殻ですね。枯れてなお背筋を伸ばして立ち続けています。



 傾斜がなくなってしばらくすると橋が現れ、ここで川を渡ります。ここまで来れば山ノ鼻もすぐそこです。

 川上川

 橋の上から上流側を臨む。これは鳩待峠の下から流れる川上川。台風の影響はほぼないようです。

 マユミ

 橋を渡った先に鮮やかなマユミの実が。枝いっぱいに付いていて、遠目にはまるで春先のモモの花のようでした。

 ヤマトリカブト

 この変なものは?これはヤマトリカブトの刮ハです。なんか美味しそうですが、猛毒ですので。



 木立の向こうに建物が見えてきました。山ノ鼻に着いたようです。なんとか滑ったり転んだりせずにここまで来られました。

 山ノ鼻

 9時45分、山ノ鼻に到着。ここにはビジターセンターと3軒の山小屋があります。以前は屋根付き休憩所だったところがカフェっぽい店に変わっていました。ここを訪れる人が増えているということでしょうか。
 
 一瞬晴れたのもつかの間、空模様は崩れつつあります。まあ、雨も尾瀬の風景の一部。楽しむことです。(続きは後編で。)