大町自然観察園 〜下総台地の四季・10月〜


 

【千葉県 市川市 平成22年10月16日(土)】
 
 10月です。このところ、たまに夏日になったりしますが、さすがに秋めいてきました。さて、秋の長田谷津はどんな様子でしょうか。

 北総線大町駅

 今月は車ではなく電車で行くことにしました。中央・総武線の浅草橋駅で都営浅草線に乗り換え、北総線直通の電車で大町駅に下りるのが便利かつ早い(それでも1時間かかります。)のですが、乗換検索サイトで調べてみると、浅草橋駅をやり過ごし、千葉の西船橋駅まで行って、そこで武蔵野線に乗り換えて3駅、東松戸駅で北総線に乗り換えるルートにすると、乗換は1回増えますが料金が200円近く安いということが判明。時間帯によってはこちらの方が早いことも分かったので、後者のルートにしました。自分で調べていたら決してたどり着かないだろう選択肢に出会える。ネット社会の功罪の「功」の方の効果ですね。

 湧水

 駅から300m、ほんの数分で長田谷津の一番奥まった部分に着きます。道路脇から見ると上の写真のような感じ。台地の上から谷津に下りていく形になります。

 入口

 開園時間や注意事項(ペットの持ち込み禁止とか)が書いてある看板があるだけで、入園無料です。

 池の畔で出会ったツリフネソウの実。左の写真は中に熟した種子を詰めた莢。これを指でちょんと触れると、ビンッとはじけて種子を撒き散らし、右の写真のようになります。知らずに触れるとビビリますよ。

 

 湧水は幾筋かの流れになって谷津の中を潤していきます。

 カナムグラ

 一見、ホップのようなカナムグラの花序。これから紫褐色に色づいていきます。華奢なイメージのあるヤエムグラやクルマムグラはアカネ科ですが、「鉄(かな)」の字が付くほどたくましいこのカナムグラはアサ科です(以前はクワ科に分類されていたそうです。)。葉がアサのそれに似ていますね。ちなみにホップもアサ科です。

 カラスウリ

 カラスウリの実がたわわに実っています。里の秋です。

 ツルマメ

 ツルマメの莢には毛が密生しています。大きさは3pほど。これが大豆の原種といわれています。ということは、これで枝豆が作れるのでは。ちっちゃいけど。

 ミゾソバ

 実の写真ばかりが続きましたが、初夏から咲き始めるミゾソバはこの時期でもしっかり咲いています。むしろ他の植物の勢いが弱くなってくるこの時期の方が勢力を拡大しているようです。

 ムクノキ

 2箇月前にはまだ緑色で固そうだったムクノキの実ですが、今ちょうど食べ頃に。いくつか試食させてもらいました。味は干し柿に似た甘さがあります。野山で遊ぶときには格好のおやつですね。

 ノブドウ

 ノブドウの実も色づいています。ヤマブドウがジャムなどに利用されるのに対して、ノブドウの実は食用にはなりません。もっぱらこの微妙な色あいを楽しむ観賞用です。

 アキノノゲシ

 アキノノゲシの淡い黄色。野山に馴染んでいます。

 

 いつものコースを逆に辿っていきます。ここは木道ではなくコンクリート製。確かに耐用年数は長いでしょうね。

 池の奥に何か光るものが。おお、久しぶりにカワセミに出会いました。今年の暑い夏を乗り切ったんだね。カワセミは水辺の土手に横穴を掘って営巣するので、この辺りは棲みやすいでしょうね。

 定点写真

 先月に比べて明らかに茶色っぽくなってきました。あと空が高く、筋雲も。秋を実感しますね。

 「ア゛ー」

 発声練習でもしているかのようなカルガモ君。長閑ですな。

 フジの黄葉

 フジの木も秋の表情を見せています。暖かみのある黄色です。

 

 自然観察園の南端までやって来ました。今日はここから写真奥に向かって引き返していきます。

 シラヤマギク

 シラヤマギク。「野の菊」というとヨメナのようなキクを連想しますが、「山の菊」というとこの系統のキクを思い浮かべます。

 

 アシ原もずいぶん秋色になりました。

 セイタカアワダチソウ

 花粉症の原因と誤解されている気の毒な花。小さな黄色い花がきれいでyamanekoとしては好きな花です。もともとは観賞用に移入されたものですから。
 ひところ聳え立つように大きな株の集団をよく目にしましたが、最近あまり見かけません(あるところにはあるのかな。)。セイタカアワダチソウは周囲の植物の成長を抑える物質を放出して自らが優位に成長していくそうですが、周囲をあらかた駆逐した後には自分がダメージを受けたりするそうです。なので、ある程度栄華を誇ったら自然と衰退していくのかもしれません。

 アメリカザリガニ

 ちょっとしたよどみにアメリカザリガニを見つけました。子供の頃よく採りに行ったものですが、採った後どうしたのかは思い出せません。逃がしていたのか?

 イシミカワ

 イシミカワの実は丸い苞葉のすぐ上に付くので、まるで皿の上に盛られた団子のような外観になります。色もいいですね。これでもタデの仲間です。

 

 さあ、もうすぐスタート地点(谷津の北端)に戻ります。今日の長田谷津は人影も少なく、静かな秋を満喫することができました。さすがに花より実の方が多かったですね。
 今年は冬は雪が多く寒かったし、夏は記録的な猛暑でした。これから深まる秋はどうでしょうか。来月がまた楽しみです。
 
 

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