沼山峠・大江湿原 〜湿原にははや秋の気配〜


 

【福島県 檜枝岐村 平成28年8月12日(金)】
 
 今年から新しい祝日「山の日」がスタートしました。2年前には既に法改正されていたようですが、国民への浸透を図るため(あと各種カレンダーの修正のため?)、実際の祝日としては今回からです。で、その山の日にどこへ行こうかということで、尾瀬に行くことにしました。今回は福島県側から入って、尾瀬沼周辺を散策したいと思います。
 
                       
 
 午前10時、ドリーム号で出発。遅い出発ですが、これは今日は尾瀬の手前にある檜枝岐村の宿に入るだけなので、夕方までに着けばいいから。尾瀬散策は明日です。あと、遅い時間に出発することで、高速道路の渋滞のピークを避けるという意図もありました。
 圏央道の高尾山ICから高速へ。八王子JCTの手前が中央道山梨方面に向かう車で渋滞していました。しばらく快調に走り、次は鶴ケ島JCTに手前が関越道新潟方面に向かう車で渋滞。またそこを抜けると快調にドライブできました。久喜白岡JCTで東北道に入ると宇都宮の手前から渋滞との情報。通過に2時間にかかるとのことです。午後になっても渋滞が解消しないとは、さすがは足の長い東北道です。

 かぎや旅館

 結局、那須塩原ICを下りたのは午後4時前。そこから一般道を国道400号、121号、352号と走り継いで、午後6時、檜枝岐村の「かぎや旅館」に到着しました。山あいの土地のこと。もう夕暮れが迫っていました。
 夕食はヤマメ(刺身・塩焼き)や裁ち蕎麦、はっとう(そば粉ともち米を練って菱形に成形したもの。)などご当地名物の料理で、どれも美味でした。風呂は総古代ヒノキ造りで、湯も柔らかく、長時間の運転の疲れを癒してくれました。

 歌舞伎舞台

 明けて12日。6時半に朝食を済ませ、手早く準備をして宿をチェックアウト。朝の空気はひんやりとしていました。
 出発する前に宿のすぐ前にある鎮守社へ。ここには有名な檜枝岐歌舞伎の舞台があるのです。以前テレビで村の伝統行事として歌舞伎が行われていることを特集していて、ちょっと興味があったのです。行ってみると、鳥居をくぐったところに舞台の建物があり、その前が広い境内。ここはアリーナ席です。その奥は山の斜面を利用したコロッセオのような観客席があり、その一番上(野球場で言えばスコアボードの位置)に小さな社殿がありました。毎年春と夏の年2回公演されるとのことで、夏は8月18日、つまり来週行われることになっています。

 尾瀬エリア
 Kashmir 3D
〔今回のルートを大きな地図で〕

 尾瀬沼は尾瀬エリアの東側に位置します。今回は沼山峠から尾瀬沼に入り、ぐるっと一周しようと思います。

 燧ヶ岳遠望

 旅館のある檜枝岐村の中心部から、今回の尾瀬散策の起点となる御池までは約12km。車で移動です。途中、燧ケ岳の姿が望める場所があったので、車を停めてみました。尾瀬が近づいてきたとワクワクしてきます。

 御池駐車場

 8時10分、御池に到着。駐車場は3分の1ほど埋まっていました。



 ここから沼山峠の登山口まではマイカー規制がされています。写真右手の小さな小屋がシャトルバスのチケット売り場。片道520円でした。

 沼山峠バス停

 バスに揺られること30分。沼山峠に到着。ここからが歩きとなります。実際の峠はここからしばらく登ったところにあり、なぜこの場所を峠と呼ぶのか少し疑問に思っていましたが、檜枝岐の集落あたりから見ると、この辺りはもう峠そのものと呼んでいいほど高い位置にあることに気がつき、自分なりに納得した次第です。



 準備運動をして靴紐を縛りなおしてから9時10分、歩き始めました。今日の晴天に感謝です。

 マイヅルソウ

 早速出会ったのはマイヅルソウの実。マーブル模様が綺麗です。熟すと深紅に変わっていきます。

 歩き出しは針葉樹林の中を行きます。木漏れ日が気持ちいい。

 モミジカラマツ

 これはモミジカラマツの実ですね。

 ツルリンドウ

 ツルリンドウ。もう秋の花が咲き始めています。

 トンボと目が合ったので記念に。

 まだまだ元気な妻。足どりも快調です。

 ムシカリ

 ムシカリの実はもう熟し始めていますね。春の白い花の頃も良かったです。

 タケシマラン

 タケシマラン。これも春に来た時には花の時期でした。

 シャクジョウソウ

 yamanekoが見逃していても妻の鬼の目が頻繁に面白いものを見つけてくれます。このシャクジョウソウもそうでした。シャクジョウソウは漢字では「錫杖草」と書きます。錫杖とは旅の僧侶が持っている杖で、上部に金属製の輪っかがいくつか付いているヤツのこと。形が似ているということでしょうね。

 尾瀬沼遠望

 いつの間にかピークを超えていたようで、遠くに尾瀬沼が見えました。道の脇に展望ベンチもあり、沼山峠では唯一この場所からのみ尾瀬沼を望むことができます。正面の尖った山は荷鞍山、鞍部を挟んで右の山は白尾山です。

 ヨツバヒヨドリ

 ヨツバヒヨドリの花が満開です。小さな花が寄り集まっていて、ヒゲのように見えるのは花冠から飛び出ている雄しべです。

 ヤマハハコ

 ヤマハハコ。まだ開花前ですが、これはこれで可愛いです。

 シラフヒゲナガカミキリ

 気がつくと妻のズボンにカミキリムシが止まっていました。その場ではゴマダラカミキリだと思っていましたが、帰ってから写真をよく見てみると触覚が白黒ではなく黒一色なので、図鑑で調べなおしました。その結果シラフヒゲナガカミキリであることが判明。生息地も一致していました。 確かにヒゲがすごく長いです。

 ツリガネニンジン

 峠を越えると日当たりが良くなり、花の種類も増えてきました。これはツリガネニンジンですね。

 ???

 この黄色い花は? 葉も茎にも総苞片までも毛が密生しています。…分からない。

 アカモノ

 アカモノの実。見ての通りの名前ですが、花は白いんです。 実には無精髭のような毛がまばらに生えています。

 エゾスズラン

 花期が過ぎた感じのエゾスズラン。名前はスズランですがカキランの仲間で、姿もカキランに似ています(スズランはラン科ではなくユリ科。)。もともとランの仲間なのにわざわざランの名を持つユリ科の花の名を用いるとは、ややこしい。

 シラタマノキ

 アカモノを白くしたようなこれはシラタマノキの実です。こちらは無毛です。

 ゴゼンタチバナ

 こっちはゴゼンタチバナの実ですね。いろんなものが出てきます。

 ホウキタケ

 ホウキタケ。勇ましい姿をしていますが、これは高さ4cmほどのちびっ子です。

 オヤマリンドウ

 オヤマリンドウが現れました。もうここは秋ですね。湿原に下りるとよく似たエゾリンドウが咲きます。

 ヤマハハコ

 ここのヤマハハコはもう咲いていました。

 花に出会うたびに足を止めていたのでずいぶん時間がかかってしまいましたが、ようやく大江湿原まで下りてきました。時刻は10時20分です。

 大江湿原

 広々とした風景。湿原を渡る風が気持ちいいです。

 イワショウブ

 湿原に下りたら下りたで、また違う花々が次々に出迎えてくれています。これはyamanekoの大好きな花。イワショウブです。可憐です。

 オゼミズギク

 ちよっとくたびれたオゼミズギク。

 イワオトギリ

 湿原にはイワオトギリの小さな花が。

 ウメバチソウ

 秋の野を代表する花、ウメバチソウです。

 ミヤマトウバナ

 次から次へと花が出てくるので、なかなか進めません。これはミヤマトウバナ。

 アブラガヤ

 これも尾瀬の湿原を代表する植物、アブラガヤです。

 ミヤマアキノキリンソウ

 ミヤマアキノキリンソウ。これも高原の花ですね。

 オクトリカブト

 おお、オクトリカブト。今が盛りのようです。

 尾瀬沼に向かってまっすぐに延びる木道。さあ、これからどんな自然と出会えるのか。(尾瀬沼(前編)に続く)