鋸山 〜新春・岩山歩き(後編)〜


 

 (後編)

【千葉県 富津市 平成24年1月7日(土)】
 
 新春の鋸山歩き、後編です。 (前編はこちら


Kashmir 3D

 「東京湾を望む展望台」から鋸山山頂に至る道、更にはそこから東に延びる稜線上の道は、もともと千葉テレビのアンテナ(山頂の手前にある)の保守用として用いられていたもので、登山道として整備されたのは比較的新しいのだそうです。

 稜線の道はこんな感じ。明るくて北側の崖下とは全然雰囲気が違います。

 12時ちょうど、鋸山の山頂に到着しました。8畳間ほどの広さに樹木が伐採されていて、北側にのみ眺望が開けています。一等三角点が設置されていたところからすると、昔はもっと広々としていたのかもしれません。

 鋸山山頂から

 北側に富津岬が見えました。そしてずっと奥にうっすらとスカイツリーも。

 アオキ

 山頂で昼食にしようと思っていたのですが、山頂の広場は日陰で寒かったので、展望台まで戻って食べることにしました。
 アオキの実が赤く色づき始めています。実も葉も光沢があって生き生きとしていますね。

 展望台

 12時20分、展望台に戻ってきました。こっちは燦々と日光が降り注いでいます。

 ランチ

 昼食はカップラーメンとおむすび。冬場の山歩きの定番です。ここで昼食をとりながら、たっぷりと日光を充電しましょう。

 急降下

 さて、午後1時。食後の休憩を終えて、これからは日本寺に向かいます。まずは午前中に登ってきた階段を下りて、崖下へ。

 分岐

 長い階段を下りきって分岐に戻ってきました。午前中はこの分岐の右手から上がってきたのです。これから分岐を左に折れて石切場跡に向かいます。

 この分岐のあるところも石切場の跡なんですが、もっと大規模なところがこの先にあるそうなのです。

 こんなところを通り抜けて…

 細かくアップダウンを繰り返しながら、崖下を水平移動。(日陰は寒々としています。)

 すると、こんな大規模な石切場に出ました。写真には収まりきりませんでしたが、下に向かってもずいぶん深く掘られていました。まるで何かの遺跡のようでもあります。

 地獄覗き

 またしばらく歩いて見上げると、おお、あれが「地獄覗き」では。

 石切場跡

 やがて広いホールのようなところに出ました。ここが石切場跡です。正面や側面に聳える壁面もあまりに大きいため、とても写真には収まりきりません。ベンチがたくさんあるのは、以前ここでコンサートなども行われていたからだとか。今ではそのベンチも傷んでいて、最近活用されたような形跡はありませんでした。
 左手の壁面に階段が設けられているようなので、ちょっと登ってみましょう。

 階段はやがて行き止まりでしたが、そこから広場全体を上から眺められるようになっていました。眼下にある作業用の重機はどうも展示してあるようでしたが、いい具合に朽ちていて、廃墟感を醸し出すのに一役買っていました。
 ここの石切場は、江戸時代から最も有力だった石材店の石切場だったそうで、横浜開港時には護岸用にここの石材が沢山用いられたのだそうです。他にも靖国神社や早稲田大学の大隈講堂とかにも。

 再び登山道に戻り、しばらく行くと、下から上がってくる道との分岐がありました。ここは短距離コースを辿った道が合流してくるところになります。yamanekoたちはここを左上に登っていきます。

 分岐からは胸を突くほどの急な階段。ここからまた稜線を目指すのです。

 日本寺北口

 階段を登っていくと、両側が切り立った壁になっている峡谷のようなところに出ました。そしてそこに小屋が。ここが日本寺の北口で、この門をくぐると日本寺の敷地内に入ることになります。入場料、いや拝観料は600円なり。

 中に入って振り返ると、ちょうど北口の真上あたりに「地獄覗き」があるではないですか。ここまで上がってくるのにもかなりの崖だったのに、更にその上空高くに岩が突き出ています。
 日本寺の敷地内には沢山の観光客がいて、その足回りからしてもみんなロープウエイかマイカーで上がってきた人たちだと思います。

 百尺観音

 日本寺の本堂などの建物は、山の南斜面に点在しています。この寺は奈良時代の初期に行基によって開かれた古刹だそうで、その由緒は北門の近くにあるこんな巨大な磨崖仏からも…、って、この仏様は明らかに石切りが始まってからのものですよね(昭和41年完成だそうです。)。

 地獄覗き

 「地獄覗き」を真横に見ることができる位置まで上がってきました。あの先端近くまで行けるようですが、高いところが苦手なyamanekoとしては足場が斜めになっているのが気になります。
 しかしこの出っ張りは意識的に残したのでしょうか。関東大震災の時には石切場で死傷者が出たらしいですが、去年の地震のときは大丈夫だったということですよね。

 立派な鉄柵があるのでなんとか先端までは行けそうです。そこから覗いて見えるのは、はたして地獄かそれとも極楽か。

 ほとんど航空写真といってもいいような眺め。足場のことを気にしなければ、ずーっと眺めていたい景色です。

 「地獄覗き」から戻って、反対側の広場には削り残された岩の展望台が。さっき「東京湾を望む展望台」(奥に見えるピークのところ)から見えていたところです。

 ひとしきり眺望を楽しんだらロープウエイに向かいます。日本寺の敷地内には写真のような遊歩道や階段が網の目のように(やや大げさ)巡らされています。

 西口

 やがて西口に到着しました。この門をくぐると日本寺の敷地を出ることになります。

 門をくぐるとロープウエイの山頂駅までこんな石段。日本寺の敷地内の舗装路からすると、なかなかの悪路でした。お年寄りにはちょっときついかも。

 14時30分発の便がちょうど発車するところだったので、急いで切符を買って乗り込みました。

 そして所要3分半で山麓駅に到着しました。
 待合室の土産物売り場で千葉名産の豆絞り煎餅を購入。駐車場で待っているドリーム号のところへ戻ってきました。これで新年最初の山歩き、無事に終了です。
 
 帰りの高速道路は、驚くべきことに渋滞はまったくなし! アクアラインも首都高もスイスイでした。