西丹沢渓谷 〜梅雨明け前の渓谷歩き〜


 

【神奈川県 山北町 平成28年7月18日(月)】
 
 今日は国民の祝日「海の日」。随分新しい祝日のように感じていましたが、制定されてからはや20年になるそうです。そういえば当初はハッピーマンデーではなく、7月20日に固定されていました。で、今年の海の日。この土日はぐずついた天気でしたが、ようやく今日は晴れたので、海ではなく山に出かけることにしました。場所は西丹沢渓谷。訪れるのはかれこれ10年ぶりになります。(前回の様子はこちら
 
                       
 
 のんびりと起き出して家を出たのは10時50分。国道129号線を南下して、相模原愛川ICから圏央道へ。厚木JCTで東名高速に入って西に向かいました。大井松田ICで高速を下りて更に西へ。神奈川県山北町の清水橋交差点を右折して山の中に分け入っていきます。

 丹沢主稜遠望

 西丹沢渓谷には子どもたちがまだ小さかった20年くらい前にはときどきキャンプやらバードウオッチングやらで訪れていました。その後広島に引っ越して、再び東京に戻ってきたときに妻と一度訪れたきりです(それが10年前)。 12時40分、県立ビジターセンターの西丹沢自然教室手前の前にドリーム号を停めました。この辺りは結構な山奥ですが、キャンプや川遊びに訪れる家族連れなどで賑わっているようでした。正面に見えている山は大室山(標高1588m)。丹沢主稜を構成するピークの一つです。


Kashmir 3D

 今日のコースは…、というほど今日は歩くわけではありません。西沢に沿って小一時間散策する程度です。

 フサザクラ

 まずは駐車場付近を散策。このみっしりと寄り集まっているのはフサザクラの実。よく見ると一つ一つはしゃもじのような形をしています。種子は中央部にあって、その周囲は薄く、落下時にこれが翼の役割をするそうです。ちなみに名前はフサザクラですが、サクラとは無関係の種。

 ホソエカエデ

 これはホソエカエデの実。このカエデは自生地が限られていて、なかなか目にすることはないのだとか。

 リョウブ

 リョウブの花。ここではまだ咲き始めのようで、花穂のほとんどが蕾の状態でした。

 西丹沢自然教室

 これが西丹沢自然教室。登山届はここでも受け付けています。相変わらず何人かの行方不明者の張り紙がしてあって、丹沢の山の険しさを再認識させられました。

 ヤマユリ

 自然教室の前庭に咲いていたヤマユリのその咲きっぷり、見事でした。

 西沢に入る前に河内川の河原に下りてみました。見上げると吊り橋が。これからこの橋を渡って西沢に入ります。

 瀬に跳ねる飛沫がキラキラ輝いています。大きめの岩に腰掛けて汗を拭うと、この風景のおかげで少し涼しくなったような気がしました。

 クマシデ

 河原で一休みしてから西沢へ向かいます。吊り橋は渡ってみると案外揺れました。
 橋を渡った先にクマシデが。これは果穂ですね。大きなホップみたいです。



 西沢をゆっくりと遡っていきます。水の透明度に感動。

 ダイコンソウ

 ダイコンソウ。花の少ないこの時期、地味目のこの花でも出会うとハッとします。

 ヤマアジサイ


 これはヤマアジサイの花です。いい感じで並んでいます。自然が作ったポーズには無理がありませんね。

 西沢に流れ込む支沢。薄暗い幽谷、差し込む木洩れ陽。奥からふっとシシ神が現れそうで、なにか身震いをするような感じを覚えました。クマの心配がなければ一日中でもここにいたいくらいです。

 堰堤

 前方に砂防堰堤が見えてきました。水音が体感温度を下げてくれます。ここは左手の山際にある階段を登って堰堤を越えていきます。

 ヤマユリ

 斜面に咲くヤマユリ。遠くにあって正面に回り込めないのが残念でした。

 堰堤を越えるとこんな感じになっていました。砂が積もって広い河原のようなスペース。ここに溜まっている量だけ山が削れたのかと思うと、浸食という作用を実感できたような気がしました。

 これが流れの本体。川幅は2mほどです。

 マツカゼソウ

 マツカゼソウです。小さな花を付けていますね。これがミカンの仲間だとは。

 堰堤の奥からまた渓谷の中へ。 こんな橋を何度も渡りながら渓流の右岸、左岸を歩いていきます。

 ヘイケボタル

 ノキシノブの先端に何か黒いものが。近づいてみるとヘイケボタルでした。背中の羽がちょっと傷んでいました。



 いい雰囲気の渓谷です。ここにサマーベッドでも持ち込んで、日がな一日ゴロゴロしていたいです。

 ウスヒラタケ?

 この白いキノコはウスヒラタケか。

 このまま歩いて行くと畦ヶ丸山まで行ってしまうので(そんな装備もしていないので)、そろそろ引き返すことに。
 川の中に大きな板状の岩が横たわっています。壊れた砂防堰堤のコンクリじゃないかとジッと見ましたが、やはり河床の岩板のようです。でかいです。



 堰堤まで戻ってきました。堆積した土砂が広い河原のような景色を作っているのがこちらからの方がよく分かります。正面に見えているのは板小屋沢ノ頭というピーク。標高は1100mちょっとです。

 ヤマホタルブクロ

 堰堤を下りてまた森の中を歩きます。これはヤマホタルブクロ。少し盛りは過ぎた感じか。

 ムラサキホウキタケ

 おっ! 面白いものを見つけました。これはムラサキホウキタケですね。なんとも毒々しいいでたち。図鑑などによると食感や風味が良く美味しいとのことですが、個人的にはどう頑張っても食欲は湧いてきません。

 吊り橋のところまで戻ってきました。河原にはキャンプ場。綺麗に整備されていますが、急な出水などのときは怖そうな感じです。

 キハギ

 再び自然教室の周辺で観察を。これはキハギですね。

 ぶなの湯

 14時10分、今日の観察は終了。まだ時間は早いので、ここから数km下ったところにある中川温泉に寄ることにしました。
 ここは町立の温泉入浴施設「ぶなの湯」。キャンプや川遊びに来ている人たちにも人気のようです。入ってみるとなかなかいい湯でした。
 
 帰路は東名高速が事故渋滞していたので、最寄りの大井松田ICではなく、しばらく国道246号線を走って次の秦野中井ICから高速に乗りました。三連休の最終日なのでそれなりに覚悟はしていましたが、それほどひどくはなくラッキーでした。
 さあ、もうそろそろ梅雨も明けてもらわないと。