宮島・杉ノ浦林道 〜樹木名板のその後〜


 

【広島県宮島町 平成16年7月17日(土)】
 
 6月末から連続して真夏日が続いています。これは観測史上最長だそうで、暑いはずです。
 そんな中、去年宮島パークボランティアで取り付けた樹木名板のメンテナンスにでかけました。去年の様子はこちら

 島の北端にある杉の浦地区から、桟橋の山手、厳島神社の山手をとおって大本公園まで。宮島の街並みの背後をまくように延びていて、海沿いの道がいつも人で賑やかなのとは対照的に静かな佇まいを見せている遊歩道です。それぞれ「杉ノ浦林道」(上の図で赤い線)、「うぐいす歩道」(ピンク)、「もみじ歩道」(黄緑)、「あせび歩道」(水色)という名前が付けられています。

 「さあ、始めるか」

 午前9時、桟橋前の藤棚に集合したのは21人。これを3つのグループに分けて遊歩道を分担します。yamanekoは3班。杉ノ浦林道の担当です。

 ミミズバイ

 歩き始めてほどなく、宮島の植生を特徴づける種であるミミズバイがたくさん花を付けていました(やや盛りが過ぎていたでしょうか。)。
 ミミズバイはフィリピンなど南方の、しかも高地に分布する植物で、これが宮島に自生していることは注目に値することなのだそうです。

 「この辺にあるはずだが…」

 3班が担当する杉ノ浦林道には全部で162枚の名板を取り付けていました。林道の長さは約1.5q。平均すると10mに1カ所の割合で設置されていることになります。
 ところが実際に歩いてみると、本来あるはずの名板がほとんどなくなっています。
 ここにもない、ここもなくなっている。釘ごと引き抜かれているもの、釘を残して名板をもぎ取っているものと様々ですが、単なる通りすがりのいたずらではなく、どうも意図的に取り去っているようなふしがあります。

 引きちぎったときにねじ曲がった釘  ハゼノキには手をつけなかったみたい

 この名板の取り付けは宮島町とPVが環境省の協力を得て行っているもので、この場所が国立公園内であるということもあり、植物自体はもちろん自然へのダメージについても十分に配慮されているものなのです。

 タマミズキ

 頭上からは太陽がジリジリと照りつけてきます。この時期、屋外に出るときには日焼け止めが欠かせません。日焼けがひどいと後が大変ですし、なにより日焼けすると結構体力的に疲れるのです。(美白が目的ではありません。念のため。)
 
 2時間後、杉の浦の集落に到着しました。ここからは海沿いの道を桟橋に向かって戻ります。
 目の前には広島湾。さざめく波頭が一面に光を反射していました。今日あたりは絶好の海水浴日和でしょう。

 カンコノキ

 結局、162枚中で残っていたのは57枚、じつに3分の2の名板をもぎ取られていました。他の班もそれぞれ3分の1程度取られていたそうです。
 ちょっとひどすぎますね。昨年の炎天下での取り付けを思い起こすと、若干空しさを感じます。
 なくなっているところにはまた新しい名板を取り付けることになるでしょうが、そのときには何らかの対策を講じなければならないでしょう。