宮島・杉ノ浦旧道 〜炎天下の樹木名板付け〜
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【広島県宮島町 平成15年8月23日(土)】
8月も下旬を迎える頃になって遅ればせながらの猛暑がやってきました。
午前9時、すでに気温は30度を超えています。セミの声が容赦なく降り注いできて、体感気温は50度くらい(?)。暑い…
今日は宮島PVで樹木の名板の取付けをします。(宮島PVについてはこちらを参照)
宮島桟橋前の藤棚に集合したのは15人ほど。早くも汗を拭く姿も見受けられます。
集合 |
宮島を訪れる観光客は年間約240万人。その多くは宮島桟橋から右手に進み、海岸沿いに厳島神社に向かって、その後水族館、紅葉谷、大元公園などを散策するパターンだと思います。ところがこの人の流れを山肌に沿って迂回する形で桟橋から大元公園までをつなぐ自然豊かな遊歩道があることはあまり知られていません。この遊歩道には「うぐいす歩道」、「あせび歩道」などといった名前が付いていて、たぶんこの宮島でしか見られないであろう「モミ−ミミズバイ林」などを目にすることができます。
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過去数回の名板取付けで「ウグイス歩道」や「アセビ歩道」に沿いの樹木には名板を掛け終えているので、今回は宮島桟橋から杉ノ浦に山越えでつながる旧道を歩きながら名板を取り付けていきます。
名板 |
用意した名板はおよそ200枚。10p×8p程度のプラスチック製のもので、文字部分が彫り込んであるなかなかしっかりした作りです。文字が単にプリントされているだけのものははがれて消えやすいのだそうです。
「えーっと、この木は…」 |
木漏れ日の歩道とはいえ炎天の日差しが暑く、はじめは上り坂ということもあって汗が噴き出てくるような感じです。それでも植物についてのいろいろなエピソードなどを話題にしながら作業をしていると、そんなに苦にはなりません。新たな発見もたくさん。
「このあたりでOK」 |
名板は人目に付きやすいように目の高さの位置に取り付けます。つる性の植物の場合には名板に針金を通して輪っかにしてぶら下げますが、幹がしっかりしている樹木の場合には釘で軽く打ち付けます。釘を使うことについては抵抗を感じる方も多いようで、自分も初めて見たときにはギョッとしましたが、樹木に与えるダメージという点で考えるとこの方法が最も良いとのことです。
カクレミノ |
道の両側にはウリハダカエデ、カクレミノ、ヤブツバキやアラカシなどが多く目につきます。みんな真夏の光を存分に浴びてフルパワーで光合成しているでしょう、きっと。
足場の悪いところも |
それにしても暑い! スポーツ飲料のペットボトルがあっという間にカラになります。そしてそれもまた汗になって流れていくようです。
箱の中の名板は順調に減っていきます。ときには用意していない樹木も出てきますが、そんなときには幹に番号を書いたテープを貼って、その場所を地図に記録しておいて、後日取り付けにきます。
スタートから2時間半で杉ノ浦に到着。ここで折り返して、今度は海沿いの道を通って宮島桟橋にもどります。
藤棚の下で弁当を広げ、ひと休みした後に、午後は「うぐいす歩道」を歩いてみることにしました。
イロハモミジ |
もみじの緑のグラデーションが目にしみるよう。ときおり吹き抜ける風が梢を揺らし、その下にいる自分たちにもつかの間の涼をもたらしてくれます。あと2か月もするとこの緑が見事な紅葉に変わり、また別の感動を与えてくれるのです。
ヒナノシャクジョウ |
「珍しいものがあるよ」の声に走り寄って覗いてみると、わずか3pほどのヒナノシャクジョウが木陰にそっと生えていました。辺りを見回してみるともう2株ほど。しかし、こんなに小さな植物によく気がついたものです。突起のひとつひとつが花で、普通6〜10個付くそうですが、これは12個付いているようです。
漢字で書くと「雛の錫杖」。錫杖とは僧侶が持つ杖の一種で上端に数個の輪が付いているもののことです。「雛の」というのはお雛様が使うほどに小さいという意味で、植物の名前ではときどき用いられます。
このPVは普段は中高年パワーで活動しているのですが、今回は東京で環境ボランティアについて勉強している合原さんという学生さんが飛び入りで参加してくれました。自らのボランティア体験についてレポート提出するために、ボランティア情報誌の中から選んで自分で自然保護官事務所にアポ取りをし作業の内容や日時を確認して、そして一人で集合場所にやってきたのだそうです。学校の課題とはいえ、大人に混じっても物怖じすることもなく、テキパキと作業を手伝う姿には感心することしきりです。十分に戦力になっていました。、感謝、感謝。
時計を見るともう2時半。そろそろ解散の時間です。いったん宮島町役場前にもどって借りていた道具を返して、横山会長から閉会の挨拶。
ほんと、今日は酷暑の中、ご苦労様でした。誰一人として体調を崩した人がいなかったのがなによりです。
閉会 |
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