黒檜山 〜深まる秋を感じに(後編)〜


 

 (後編)

【群馬県 前橋市 平成23年10月9日(日)】
 
 黒檜山登山の後編です。(前編はこちら

 黒檜山大神

 黒檜山山頂を後にして駒ヶ岳を目指し歩いていると、分岐点を過ぎてすぐに岩だらけの開けたところがありました。最も高いところに鳥居があり、額には黒檜山大神と書かれています。そしてその奥に石造りの祠が。こっちの方が山頂っぽくて、駒ヶ岳方面から登ってきた人はここが山頂だと勘違いしてしまうかもしれません。


Kashmir 3D

 これから駒ヶ岳との間の鞍部まで一気に下って、また登り返します。駒ヶ岳から先はまた急な道を下り、下山後は覚満淵を散策してみたいと思います。

 

 水沼、大間々方面との分岐点。ここから一気に下っていきます。

 

 天気が良ければ、小沼や長七郎山なども見下ろしながら歩けたんでしょうが。返す返すも金曜日の飲み会が悔やまれる…。それにしても結構急な傾斜です。余計なことを考えていると、すっ転んでしまいそうです。

 駒ヶ岳

 雲の中の駒ヶ岳。次の目標はあそこです。

 大タルミ

 11時15分、大タルミまでやってきました。ここが鞍部になります。ということはここからまた上りです。
 15年前に来たときは確かGW中でしたが、この辺りにはまだ雪が残っていました。残雪の上を滑らないように気をつけて登った記憶があります。

 

 めずらしくモミジ系の紅葉が。コハウチワカデですね。見頃はもうちょっと先のようです。

 サラサドウダン

 こっちは既に真っ赤のサラサドウダン。ぷっくりとした実が付いています。

 

 山頂直下の階段。あと少しです。日射しがなく気温が低いので、この程度の階段では汗はかきません。

 駒ヶ岳山頂

 11時35分、駒ヶ岳山頂に到着しました。先客は数名です。山頂は狭く、妻の足下はすぐに大きく落ち込んだ斜面になっています。晴れていればここからの眺めも雄大で…、いや、もう言いますまい。
 お昼に近くなったのでここで昼食です。何か着込まなければ寒いくらい。リュックの底からレインウエアを取り出して羽織ることにしました。冷たくなった弁当に冷たいお茶がダブルで体を冷やします。

 リンドウ

 今日初めての花、リンドウです。よく開いていてくれました。

 

12時15分、じっとしていると寒いので下山開始です。体を動かすとホッとしますね。

 

 しばらく行ったところで稜線を離れ、大沼湖畔に向かって急降下します。鉄製の階段が数箇所あり、幅の狭いステップから足を踏み外しそうになりました、何度か。また、ところどころステップが前のめりに傾斜している箇所があって、これがヒヤッとするんです。何かのトラップか、これは。

 

 土の道になるといい雰囲気で楽しい下り道です。

 ベニサラサドウダン

 たまにこういうのに出会うから森の中も飽きません。

 

 午後1時、車道に下りてきました。ふぅ、やれやれです。ここから駐車場に戻らずに、覚満淵に寄り道です。

 ナギナタコウジュ

 道ばたで見つけた小さなナギナタコウジュ。高さは10センチほどで、この花に特有の薬臭い匂いはしませんでした。

 

 ほどなく覚満淵の入口に。獣よけ(おそらく鹿よけ)に張り巡らされたネットをくぐって中に入っていきます。

 アサギマダラ

 なんと息絶え絶えのアサギマダラを見つけました。標高1300mを超える山上まで登ってきたのは渡りの途中だったのか。命の尽きるときをここで迎えるとは。

 覚満淵

 覚満淵は大沼の南に位置する高層湿原ですが、元は大沼と一体となった大きな湖だったのだとか。大昔に水位が下がって今のような形になったのだそうです。標高差から計算すると20m以上は水位が下がったことになります。

 

 雰囲気のある立木。マユミでしょうか。山頂からのパノラマは雲に遮られましたが、ここ覚満淵ではこの白い幕のような空気のおかげで侘び寂感が醸し出されています。絵になりますね。

 ズミ

 湿ったところを好むズミ。春に純白の花をたくさんつける木です。

 

 最奥部から覚満淵全体を見渡したところ。実際にもそうでしたが、この写真からも静寂がが伝わってくるようです。

 

 覚満淵でしっとりと落ち着いた気持ちになれて満たされた感じです。そして2時、駐車場に戻ってきました。相変わらず黒檜山の山頂は雲に覆われています。
 
 装備を解いてから湖畔にあるお土産屋を覗いてみました。店内でお土産を見て回っていると、お店の人が熱いお茶を出してくれました。何件かお土産屋が集まっているところですから、お客さんを他店に取られないようにするための工夫でしょう。品定めの邪魔になるし、普段だったらノーサンキューって感じになるのですが、店主の方から人の良さそうなオーラが赤外線ヒーターのように出ていて、押しつけ感もなかったので、ありがたくいただきました。ひょっとしたら接客のプロなのかも。昭和型の観光地でやっていくのはいろいろ大変なんでしょうね。