古賀志山 〜関東平野北辺の展望台(前編)〜


 

 (前編)

【栃木県 宇都宮市 平成27年11月21日(土)】
 
 季節は秋から冬へ。例年この時期にはぐずついた天気の日が続くものですが、今年はそれが長引いているみたいで、なかなか野山に出かけるチャンスがありませんでした。それでもこの三連休は初日は好天との予報だったので、家の用事は後回しにして出かけることにしました。目的地は栃木県の古賀志山。宇都宮市の北西部に位置する標高583mの低山です。
 
                       
 
 午前5時45分、まだ暗い中をドリーム号で出発しました。圏央道から久喜白岡JCTで東北道に入り、鹿沼ICで一般道へ。10月末に圏央道が東北道に接続したので、かなりの時間短縮になりました。東名、中央、関越、東北にそれぞれ直結し、次は常磐道にもつながるので、圏央道はどんどん便利になります。

 古賀志山

 鹿沼ICからは田園地帯を北上します。しばらく行くと古賀志山の南面を望める場所に出ました。標高の割にはなかなかの威容。山高きが故に尊からず、ですね。車を停めてまずは挨拶をしておきました(写真を撮っただけ)。
 古賀志山は、東西に長く南北の幅が狭い、鋸の刃を上に向けて立てたような形状をしています。いくつかのピークで一つの山塊となっていて、写真の右から2つめのピークが古賀志山、小ピークを2つ挟んでその左が御嶽山、さらにギザギザの尾根を過ぎて山塊の左端が赤岩山。これら全部合わせて古賀志山と呼ぶこともあるそうです。今日は写真右端に位置する宇都宮市森林公園から登りはじめます。

 森林公園駐車場

 8時40分、森林公園の駐車場に到着しました。この時間、けっこう多くのサイクリストが集まっていました。ここの森林公園ではアップダウンに富んだ自転車コースが設定されていて、毎年10月には自転車の国際大会、ジャパンカップが開催されているそうです。自転車乗りには人気の場所なんでしょう。


Kashmir 3D

 今日のコースは、駐車場からダム湖に向かって歩き、北登山道から古賀志山山頂へ。その後御嶽山まで進んでから、南登山道経由でダムに下り、駐車場に戻ってこようと考えていましたが、この秋の台風の影響で北登山道が閉鎖になっていたので、往きはその南側にある林道を通ることにしました。

 9時ちょうど、駐車場を出発しました。今日は気温が高めのようで、スタート前の準備体操の時点で汗ばんできたので、アウターを脱いでしまいました。

 カラマツ

 青空にカラマツの黄葉がいいですね。カラマツは針葉樹では少数派の落葉樹。漢字でも「落葉松」と書きます。

 ダム湖の左岸は公園になっていました。植栽されたものだと思いますが、ここの紅葉が見事でした。写真右端のツインピークスに見える山が目指す古賀志山です。東側から見ると奥に連なる稜線が見えないので、独立峰のように見えます。

 公園のモミジ。朝陽に照り映えています。

 紅葉が見頃なので、今日はこれから人出が増えるのだと思います。ここで一日のんびり過ごすのもいいかもしれませんね。

 9時15分、林道との分岐までやってきました。 直進すれば北登山道に続いていきますが、やっぱりロープが張ってあって通行を遮断してあります。やむなくここを左に折れて林道を上っていきます。

 林道は舗装されていますが、車両の通行は禁止されていました。自転車は通行可能のようで、何台も追い抜いていきました。。

 しばらく行くと道はつづら折れとなり、ぐんぐん高度を上げていきます。自転車の人は喘いでいました。

 ヤマナラシ

 林道脇にひときわ鮮やかなレモンイエローの木が。風に吹かれて葉がカラカラと鳴っています。これはヤナギの仲間のヤマナラシ。葉柄の断面が偏平な形をしていてしなりやすく、弱い風でもひらひらとはためくのです。

 分岐

 林道の分岐にやってきました。直進すればここから坂を下っていきますが、右折すると山頂方面に向けて更に上っていきます。ここは右折です。

 この道も舗装されています。でも路面に落ち葉や小石が散乱していて、あまり自転車も入っていない感じです。

 ヤブムラサキ

 森の中にヤブムラサキの実。

 サワシバ

 この黄葉はサワシバですね。山中の湿気のあるところを好むようです。

 更に分岐

 長かった舗装路にもここでお別れ。右手に折れて登山道に入っていきます。

 やっぱり土の道は気持ちいいです。でもすぐに長い階段になってしまいましたが。

 コアジサイ

 コアジサイの葉の黄葉は侘び寂び感があります。

 岩場へ

 やがて道が二手に分かれました。右手は古賀志山の山頂へ直登するコースで、多少岩場あり。左手は古賀志山と御嶽山の鞍部に出る階段の道です。ここは右手を選択。で、早速ロープが現れました。

 直登と水平移動を繰り返し急な斜面を登っていきます。足場の幅はやや狭めです。

 アカマツ

 岩場の痩せた土地で優勢に育つアカマツ。逆に栄養豊富な土壌では他との競争に負けてしまうのだそうです。

 そろそろ息が切れてきました。紅葉を愛でながら小休止を。

 岩の上に落ち葉が降り積もっていて滑りやすい。こんなときは鎖やロープを使うより、手を使って登る方が安定感があります。斜面には適度に木が生えているのであまり高度感はありません。

 ちょっと登ればすぐに山頂かと思っていましたが、意外と岩場が続きました。

 しばらくして見晴らしの利く岩に出ました。空が青いです。

 東南東方向

 岩の上に登っての眺めがこれ。正面は東南東方向になります。登り始めの赤川ダムが足下に見えています。その向こうの二つの山は、右が多気山、左が雲雀鳥屋(ひばりがとや)。更に奥には宇都宮の市街地が広がっています。写真右端の空と大地が接するあたりには、筑波山が島のように浮かんでいるのが見えます。

 ドウダンツツジ

 再び岩場を登ります。これはドウダンツツジですかね。

 おお、なんか頂上っぽくなってきました。

 古賀志山山頂

 何人かが休憩しているのが見えますね。古賀志山の山頂に到着しました。時刻は10時20分。わずか1時間20分の行程でした。

 南方向

 山頂は南方向(今直登してきた方向)のみ眺望が開けていました。遙か遠くまで関東平野が広がっています。

 あらためて山頂の標識を。まだ新しいです。去年の10月に設置されたものだとか。

 東稜展望台へ

 山頂には長居せず、東稜の展望台(東稜見晴とも)に行ってみることにしました。一旦下ります。

 北登山道との分岐

 標高差にして20mくらい下ると、左から北登山道が合流してきました。ここは直進です。

 東稜展望台

 歩くことしばし、東稜展望台に到着しました。

 古賀志山山頂よりこっちの方がずっと眺望が開けています。正面が南東方向。最奥に筑波山が見えていますね。写真中央のやや右に丘陵地が見えていますが、このページの最初の写真はあの丘陵地の縁から撮ったものです。
 さて、もうしばらくここで眺望を楽しんでから山頂に戻り、その先の御嶽山に向かいます。(続きは後編で)