北本自然観察公園 〜荒川中流の秋・11月〜


 

【埼玉県 北本市 平成23年11月20日(日)】
 
 秋も深まってきましたね。ひと雨上がるごとに空気が冷えていくのがわかります。季節は晩秋、木枯らしの季節はすぐそこです。
 今日の北本自然観察公園も底冷えのするような…、と文章をつなげていきたいところですが、今日は季節外れに暖かいです。天気もまずまず。上着はいらないくらいです(この日の熊谷の最高気温は21.1度。前日の最高気温は13.9度とのことでした。)。

 

 いつものようにまず観察会の申し込みを済ませてから園内をぶらぶらと観察してみます。

 マユミ

 マユミの実が熟しています。四角錐を逆にしてぶら下げたような形状をしていて、4つの稜の部分が裂けて写真のような状態になります。一見美味そうではありますが、種に含まれる脂肪分が下痢や嘔吐を引き起こすのだとか。周りの樹木の実がなくなった初冬にも実を付けるため、鳥たちが食べにやって来ます。きっと種は消化せずそのまま排泄するんでしょうね。

 ムクノキ

 一方、こちらのムクノキの実は甘く美味しいです。ちょっとぱさぱさした干し柿のよう。鳥にムクドリというのがいますが、実際、この実を好んで食べ、種子の拡散に一役買っているのだそうです。

 カラスウリ

 特段カラスが食べるという訳でもないカラスウリ。味は激しく苦く、人間様の食用には適さないそうです。でもやっぱり鳥は食べているようで、その味覚の鈍感さには驚かされます。確かに舌は貧弱そうですよね。

 

 園内も晩秋の装い。時折ヒヨドリの甲高い鳴き声が聞こえるのみで、あとは静かな秋の午後です。

 定点写真(高尾の池)

 定点写真のポイント、高尾の池の南側です。空気が澄んでいますね。この辺りにもようやく紅葉の季節がやってきたようで、対岸の森の色が明らかに先月とは異なっています。

 

 向こう側の岸辺にアオサギが1羽。まるで置物のように微動だにしません。

 

 雑木林の方に向き直るとムラサキシキブの実がいい色になっていました。こんな小さな実をいったいどんな鳥が食べるのかと思っていたら、どうやらメジロが食べているようです。メジロならちょうどいいサイズです。

 

 散策路を自然学習センターに向かって戻って行きます。

 

 夏場にアシが生い茂っていたところもこんな感じに。

 定点写真(北側の谷地)

 高尾の池よりももっと劇的に変化があったのがこちらの定点写真ポイント。この1箇月で一気に季節が進みました。

 

 紫外線を多く浴びるほど鮮やかに紅葉するとか。だとするとやっぱり日当たりのいいポジションを得ている木の方が有利です。

 

 午後2時になりました。観察会の始まりです。今日のテーマは「冬の鳥」。まずは双眼鏡の使い方の説明ががありました(子どもたちはほとんど聞いていませんでしたが。)。
 冬場は木々の葉が落ち、鳥を見るのには都合のいい季節。今日は高尾の池の周辺で観察をするようです。

 

 高尾の池に向かう途中、カマキリと卵鞘を見かけました。きっとこのカマキリが作った卵鞘でしょう。警戒しているのか、じっとしていました。命をつなぎ終え、このカマキリも冬を迎える頃には死んでいくでしょう。

 コガモ

 八ツ橋の辺りにさっそく鳥が。冬鳥として渡ってきたコガモです。奥のが雄、手前が雌。つがいでしょうか。

 

 木立の中にも小鳥がいるようです。アオジは「チッ、…チッ」、ホオジロは「チチッ、…チチッ」よく似ていますが、注意して聞けば違いが分かるとのこと。うーん、そう言われても…。

 アカスジキンカメムシ

 鳥を探しているうちにこんなものを見つけました。葉裏に寄り集まっているのはアカスジキンカメムシの終齢幼虫。成虫は緑色の金属光沢に赤い帯模様とド派手なカラーリングですが、ずいぶん印象が違いますね。鳥に食べられるなよ。

 

 高尾の池にはコガモの他、先ほどのアオサギやバンも。子どもたちも一生懸命に双眼鏡を使っていました。

 

 しばらくねばっていましたが、急に暖かくなったからか今日はあまり鳥の姿が見えませんでした。ちょっと残念です。

 

 高尾の池から草地の方を経由して自然学習センターまで戻って行きます。晩秋の午後、のんびりと落ち着いた時間を過ごすことができました。次回はいよいよ最終回。ひょっとして雪でも積もっていたりして。
 
 

  荒川と北本自然観察公園