北本自然観察公園 〜荒川中流の夏・8月〜


 

【埼玉県 北本市 平成23年8月28日(日)】
 
 毎日暑い日が続いています。本格的に夏バテ状態のようで、なんかだるいです。食欲は普通どおりあるのですが(単に物事が面倒くさいだけという説も。)。こんな時には野山に出て、体に活を入れなければ。
 ということで、北本自然観察公園へ。真夏の様子はどうでしょうか。

 定点写真(北側の谷地)

 若干黄色っぽくなってきた感が。なんか暑さ焼けというか、植物に疲労感が出ていませんか? それとも日射しが変わってきたせいか。

 北側の谷地

 いつものとおり自然学習センターで観察会の申し込みを済ませ、始まるまで自主観察会を。まずは北の谷地を歩いてみましょう。

 ヤブラン

 最初に出会ったのは薄紫色の小さな花をつけるヤブラン。この時期の野を代表する花です。yamanekoの脳には、風のない林でヤブ蚊に食われながら写真を撮る花としてインプットされています。(何度も痒い目にあってきました。)

 ヒグラシ

 カナカナカナ…。ヒグラシは夏休み末期の焦燥を諦念へと誘うかのように鳴きます。この声を聞いて宿題を諦めたことが幾度あったことか。ああ、なんで早めにやっておかなかったんだろう。終業式の日に方眼紙に書いた「1日の時間割」はどこに行ってしまったのか。確か毎日午前中に「勉強」の時間があったはずだが…。うら悲しい鳴き声に何十年か前の8月の終わりがフラッシュバックしてきました(懐かしい)。

 キツネノマゴ

 足下にはキツネノマゴが。1pにも見たない小さな花です。花が子狐の顔に似ているとしてこの名が付いたとの説がありますが、定かではないようです。でも、「狐の子」ではなく「孫」なのはなんでなんだろう。
 こんなに小さな花でもれっきとしたキツネノマゴ科の旗艦種です。

 カナヘビ

 ひんやりとしたコンクリート杭の上で体温調節中のカナヘビ。可愛い顔をしています。

 ヤブミョウガ

 立派な葉を茂らせているのはヤブミョウガです。この葉がミョウガの葉に似ていることから名が付いたとのことですが、ミョウガの仲間ではなくツユクサ科に属しています。ツユクサの前衛アート的なイメージとはほど遠いですね。でも同じように一日花で、夕方には枯れてしまいます。
 同じ花茎に雄花と両性花が付くそうで、写真のものは雄花。両性花には長い花柱が突き出ています。

 クサギ

 クサギ(臭木)という名は、花の香りではなく、葉をこすったときに独特の匂いがするからだそうです。林の縁で見かけるのが多いのは、藪が森へと遷移していく過程で真っ先に入り込んでいくパイオニアプランツとしての性質をもっているから。昼間にはアゲハチョウ、夕暮れにはスズメガなど大型の蝶や蛾が、この花のもとに通ってきます。



 ヘラオモダカ

 オモダカを小型にした花。葉が箆(へら)のような形をしているのでヘラオモダカです。仲間にサジオモダカというのもあり、こちらはは葉が匙(さじ)に似て卵形。そのぶん葉柄が長いです。いずれも湿地に見られる植物です。

 ツルマメ

 ツルマメは大豆の原種と考えられているそうです。大豆との交雑ができるので、品種改良にも活用されているとのこと。ところで、枝豆はもともと大豆ですが、枝豆用に種(たね)を大型化した別品種だそうです。

 タコノアシ

 見てのとおり花序が蛸の足に似ている似ているからという、わかりやすいネーミング。秋が深まると褐色になってますます似てくるのだそうです。ベンケイソウの仲間です。

 アシナガバチ

 北の谷地から高尾の池に向かいましょう。
 途中、エゴノキの枝にアシナガバチの巣を見かけました。何匹もの蜂が巣作りに励んでいます。子供の頃よく刺されました、アシナガバチには。納屋の軒下に毎年巣があったなあ。

 コバギボウシです。池の畔の丘の斜面に群落を作っていました。涼しげですね。

 定点写真(高尾の池)

 高尾の池は今月も赤褐色。先月に比べガマの葉の元気がなくなっているような。空は夏の雲と秋の雲が同居しているようです。

 観察会開始

 午後2時、観察会が始まりました。.今回のテーマは「秋探し」です。まずは開会に先立ち危険な生き物についての注意喚起から。

 クズ

 秋を探して園内を歩きます。さっそく見つけたのはクズの花。秋の七草で立派な秋の徴(しるし)です。近づくとファンタグレープそっくりの甘い匂いがします。これから盛りを迎えますね。

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 クズの花序をよーく見てみると、開きかけの花に良く似たものが。これはウラギンシジミの幼虫だそうで、葛の花に擬態しています。

 

 八ツ橋を行く観察会一行。残暑はなかなか厳しいです。

 カルガモ

 高尾の池に定住しているカルガモ。このカモは一年中見ることができます。冬が近づくとマガモやオナガガモもやって来て、春までの間この池も賑やかになります。

 サトクダマキモドキ

 指導員の方が捕虫網で大型のキリギリスの仲間を捕まえてきました。サトクダマキモドキというのだそうです。クダマキとはクツワムシのことだそうで、「里で見られるクツワムシに似た虫」という名前になります。ちなみにヤマクダマキモドキというのもいるそうです。

 カラスウリ

 大きな葉の陰にカラスウリの実が。暑い中でも秋に向けて着実に準備が進んでいるようです。

 

 自然学習センターの方が設置している「ハチの宿」。入口が泥でふさがれているのはドロバチの仲間、中に草が詰め込まれているのはアカバチの仲間の巣だそうです。ちょうどドロバチが獲物のアオムシを抱えて帰ってきました。スルッと筒の中に入っていきましたが、よく自分の巣を間違えないものです。

 

 いつものように観察会はあっという間に終わってしまいました。
 見上げるといつの間にか高い空です。やっぱり季節は少しずつ動いているようですね。今回のテーマ「秋探し」。最後に秋を見つけられました。そういえば、朝夕の涼しい日が何日かありましたが、これからこんな日が増えてくるんでしょうね。過ごしやすくてありがたいです。
 
 

  荒川と北本自然観察公園