茅ヶ岳 〜秋の花と眺望を楽しむ(後編)〜


 

 (後編)

【山梨県 甲斐市 平成28年9月5日(日)】
 
 秋の花を楽しみながら登る茅ヶ岳。後編です。(前編はこちら


 Kashmir 3D

 8時15分に駐車場をスタートして2時間。山頂手前の稜線までやって来ました。

 ああ、こういう雰囲気の山道は最高ですね。 木漏れ日も心を明るくしてくれます。

 コアジサイ

 コアジサイ。葉の色が若干薄くなってきています。これから黄葉していくんでしょう。

 岩場の道

 山頂に近づくにつれ大きな岩が続くようになりました。それを乗り越えて進んでいきます。

 こういった場所ではどういう足の運びをすれば良いか考えて登らないと。

 アキノキリンソウ

 日当たりの良い場所のアキノキリンソウは、全体にがっしりしています。これもキク科でアキノキリンソウ属。もう花期は終わりかけですかね。

 山頂

 おっ、視界が開けました。山頂です。

 10時30分、山頂に到着。天気はまずまずですが、周辺の山々にはまだ雲がかかっています。山頂は学校の教室ほどの広さで、眺望を確保するためか木立はありませんでした。河童の頭状態です。
 山頂には大量のトンボが飛び交っていました。その数にも驚きましたが、これだけの数のトンボが食べる餌があるということにもびっくりです。

 南アルプス

 雲間から覗く南アルプスの稜線。見えている範囲は、甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳、鳳凰三山あたりです。幸い雲は徐々に取れていきつつあるようです。

 三角点

 山頂の三等三角点。三角点の石柱は地中に約1m埋まっていると聞いたことがあります。これを担ぎ上げたんですね、国土地理院の人が。それとも委託業者の人か。

 シモツケ

 山頂にもいくつか花が見られました。これはシモツケ。小さな株でした。

 大地溝帯

 北西から南西にかけてのパノラマ写真。写真右端(北西)のツインピークスは金ヶ岳。ここ茅ヶ岳からは尾根続きです。その左奥の山塊が八ヶ岳。左に行くとフォッサマグナ西縁の低地を挟んで南アルプスです。ずいぶん雲が晴れてきました。

 富士山

 南の方角には富士山。秀麗ですね。手前には甲府盆地が広がっています。

 リュウノウギク

 これはリュウノウギク。登山道で見かけた同じキク科のシロヨメナとは異なり、 葉も厚く 頭花も弱々しさがありません。リュウノウギクはキク属になります。

 ウスユキソウ

 ウスユキソウ。これもキク科なんですよね。ちなみにウスユキソウ属。 今日出逢った8種類目のキク科の花になります。

 ナナカマド


 ナナカマドの紅葉が始まりかけています。実はもう赤く色づいていますね。

 南東方向

 コンビニ弁当を食べ終えたので、休憩がてら360度の眺望を楽しんでみましょう。こちらは南東方向。御坂山地の三ツ峠山、道志山塊の御正体山、その奥には丹沢山地まで見えています。大菩薩嶺や小金沢山は、甲斐の国の郡内地方と国中地方を分ける山々です。

 北東方向

 北東方向には奥秩父山地の山々。金峰山を中心に、左に瑞牆山、右に国師ヶ岳や北奥千丈岳などが見えています。ここ茅ヶ岳も奥秩父山地に属しています。
 ところで、この辺りの山々を奥秩父と呼ぶのには前から違和感を感じているのですが、どうでしょうか。奥秩父と呼ぶのはせいぜい埼玉県エリアまでで、この辺りはむしろ山岳の表銀座。向かいアルプスとでも言った方が良いのでは。

 西方向

 改めて西方向の南アルプス。総延長約120kmのうちの北半分くらいが見えています。ここから最も目立っているのは甲斐駒ケ岳でしょう。鳳凰三山地蔵岳のオベリスク(岩の尖塔)もはっきりと見てとれました。

 北西方向

 北西方向には金ヶ岳と八ヶ岳。青空のおかけで山もくっきり見えるようになってきました。

 八ヶ岳

 八ヶ岳にズームイン。雲が取れ、荒々しい岩肌がはっきりと見てとれます。いま、この時間にあそこを登っている人もいるんでしょうね。遠く諏訪盆地の奥には北アルプスも見えています。ここから約100kmほど離れています。

 大賑わい

 いつの間にか山頂は大勢の人で賑わっていました。 団体さんも上がってきたので、そろそろ下山を開始しますか。

 下山開始

 11時35分、下山開始。来た道を戻ります。

 登ってくるときには気がつきませんでしたが、稜線の道からはときおりこんな景色も望めました。山並みの向こうに富士山。どんな風景に置いても絵になる山です。 手前の山ひだの奥には昇仙峡などもあります。

 ヤマトリカブト

 ヤマトリカブト。見れば見るほど変わった姿をしていますね。しかも猛毒。

 深田久弥の碑まで下りてきました。もうここまで。下るときはあっという間です。

 分岐

 稜線から女岩に向かって下る分岐まで下りてきました。山腹の道は相当ぬかるんでいたので慎重にいかなければ。

 写真では多少分かりにくいですが、落ちていきそうなほどの急傾斜です。しかも足元はズルズル。

 岩が多くなってきました。女岩も近いようです。張ってあるテープは危険箇所を示すもの。木漏れ日は気持ちいいのですが、注意力は足元へ集中させます。

 無事、谷筋に到着。ここから上には遡らないよう封鎖されています。女岩がどんなものだったのか見てみたかったですが。

 今下りてきた岩場を見上げるの図。

 谷筋に沿って下っていきます。相変わらず石がゴロゴロしているので、捻挫とかに気をつけねば。

 黙々と下ること1時間半、深田記念公園との分岐までやってきました。ようやく一息つけます。 往きにパスした公園に行ってみました。

 深田記念公園

 深田記念公園は山の斜面のちょっとした平地を利用した石碑と東屋があるだけの簡素な場所で、公園というイメージではありませんでした。でも綺麗に保たれているので、誰かが掃除とかしているんでしょうね。

 駐車場

 1時15分、スタート地点の駐車場に戻ってきました。まだほとんどの車が残っていました。整理体操をして一息ついて、帰途につきましょう。この時間の出発なら渋滞もそんなにひどくはなっていないでしょうから。

 偽八ツ

 駐車場を出てから韮崎ICに向かう途中、茅ヶ岳を眺望をする場所を探し、あらためて山容を眺めてみました。右のピークが茅ヶ岳です。いつの間にか秋の空になっています。清々しいですね。茅ヶ岳は隣の金ヶ岳と併せて風貌が八ヶ岳に似ていることから、昔から「偽八ツ」(にせやつ)とも呼ばれていたそうです。確かに中央道を東京方面から走っていくと、八ヶ岳より先に茅ヶ岳と金ヶ岳が現れ、一瞬見間違うこともあります。
 
 帰りの中央道は、小仏トンネルの手前が数km渋滞していただけで、まあ順調な部類でした。
 今日は幸運にもピンポイントで良い天気になりました(翌日はまた崩れる予報。)。これから野山歩きには良い季節になるので、天気も安定してもらいたいものです。