包ヶ浦 〜海岸植物群落調査(宮島)〜


 

【広島県宮島町 平成16年5月29日(土)】
 
 午前9時、宮島桟橋2階の自然保護官詰所前に集まったPV(パークボランティア)は20人を超えていました。雨模様にしてはずいぶん集まった方です。
 今日は海岸植物群落の調査。(この調査についてはこちらをご覧ください。)
 宮島PVのメンバーには日本自然保護協会の自然観察指導員となっている人が十人ばかりいます。その指導員のうち先日(5月16日)の調査説明会に参加した人たちをリーダーとして、宮島PVの協力を得ながら宮島にある海岸を調査しようというものです。
 宮島はけっこう広い。リストアップされた海岸は島内で13カ所。広島県全域で43カ所であることを考えると、一大調査地といえます。
 今回の調査は4カ所。PVを3班に分け、1班は長浜と小なきり浜、2班は杉ノ浦、そしてyamanekoがリーダーをした3班は包ヶ浦です。


@長浜
A小なきり浜
B杉ノ浦
C包ヶ浦
 

 島内で人が住んでいるのは北端のほんの一部分。上の写真では@の南にある町並み(グレーの部分)でほぼ全部です。あとはBの杉ノ浦に小さな集落があるくらい。その他は深い森が広がっていて、島を一周する道路すらありません。今後調査する海岸には船を使わなければたどり着かない浜もあります。
 包ヶ浦は民家こそないものの、レクリェーション公園が整備されていて、海水浴場はもちろんキャンプ場やコテージ、テニスコート、野球場などの施設がそろっています。休日には多くの人でにぎわっています。(今日は雨なので閑散としていました。)

 包ヶ浦は長さ約1km。そのうち自然の浜は南東の250mのみ。残りの750mはもともとあった浜によそから持ってきた砂を入れて海水浴場にした半人工の浜です。見た目には分かりませんが、浜の沖合80mの海中には海岸線と平行に堤防のような離岸提が設置されているそうで、この浜の砂が流出するのをくい止めているのだそうです。
 
 海水浴場部分の砂浜のうち大潮でも波に洗われることのない部分の幅は約15m。その先端には波が運んできた木くずやゴミが線状に取り残されていいるので、一目で分かります。その線から先は波打ち際まで緩やかに傾斜していて、潮汐によってその幅は変化します。調査時点ではかなり潮が引いていて、その幅は20mほどありました。
 振り返って陸地の方に目をやると、浜と平行に松の疎林が続いています。「白砂青松」 典型的な日本の海水浴場といえます。
 
 海岸沿いを延々と歩いてきた3班の6人は、とりあえず雨を避けて公園管理センターに。少し早いですが昼食としました。雨足は強くなったり弱くなったり、ピタッと上がったりまた降り出したり。一度雨宿りするとなかなか外に出るきっかけがつかめません。

 海水浴場  自然の砂浜

 海水浴場の浜にはシーズン前にゴミを掻き取る機械(どんな機械か見たことがありません。)が入って、端から端まで掘り起こすそうなので、当然に植物の群落はありません。寂しいもんです。
 自然の砂浜の方にはかろうじてハマゴウの小さな群落が2カ所ほどありました。宮島の海岸ではどこもそうですが、鹿の食害にあって、鹿が好まない植物しか残っていないのです。

 ハマゴウ

 調査は全部で37項目。約1時間ほどで終了しました。
 あとはまた保護官詰め所前に集まって、各班のリーダーから調査を通じて気づいたことなどを発表して、次回の調査に活かしていこうということになっています。

 アカマツの雌花


 本土側に戻って、知り合いに教えられてハマヒルガオが咲いている場所に行きました。

 ハマヒルガオ

 ここは広島電鉄宮島線の線路脇。高さ80センチほどの古いコンクリート製のフェンスが線路と道路とを隔てています。かつてはここが波打ち際で、まさにハマヒルガオが咲くにふさわしい環境だったのです。今では海は100mほど先に行ってしまい、その間には大型ショッピングセンターが建っています。